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Redfors B et al Pretreatment with P2Y12 receptor antagonists in ST-elevation myocardial infarction: a report from the Swedish Coronary Angiography and Angioplasty Registry
結論 ST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者において,P2Y12阻害薬の前投与は臨床転帰を改善しなかった。
コメント 北欧諸国の臨床データベースは充実している。本研究はスウェーデンの全国データベースの解析である。ST上昇型心筋梗塞症例にて,事前にP2Y12阻害薬を投与することの意味を考えた。ランダム化比較試験ではない。実臨床の実態をみる限りでは,事前にP2Y12阻害薬を投与しても予後は変わらなかった。ACS一般であれば,差があった可能性はある。観察研究としては意味がある。今後RCTを行って検証するほどの重要性はないと考える。(後藤信哉

目的 STEMI患者に対するP2Y12阻害薬の前投与に関するエビデンスは不足している。本研究では,スウェーデンの全国規模のデータベース(SCAAR)を用い,初回経皮的冠動脈インターベンション(PCI)をうけるSTEMI患者における死亡,梗塞関連血管の開存性,ステント血栓症,心原性ショック,出血,神経学的合併症に関し,P2Y12阻害薬の早期投与と投与なしを比較した。主要評価項目:30日後の死亡率。
デザイン コホート研究。
セッティング 多施設(30施設),スウェーデン。
期間 登録期間は2005年1月1日~2016年11月1日。
対象患者 44,804例。登録期間中にPCIをうけたSTEMI患者全例。
【除外基準】非スウェーデン人の患者,PCI施行前にアセチルサリチル酸を投与されていない患者,血栓溶解療法施行例,データ欠損例。
【患者背景】平均年齢は前投与群67歳,非前投与群68歳。それぞれの男性71.6%,70.4%。糖尿病14.7%,17.6%。高血圧45.1%,49.6%。心筋梗塞既往15.6%,24.7%。PCI施行歴12.3%,17.8%。
治療法 患者を前投与群(37,840例。カテーテル室外の初回診察時に,clopidogrel,ticagrelor,prasugrelをすでに処方されていた患者),非前投与群(6,964例。初回PCI施行時にカテーテル室にてP2Y12阻害薬を投与された患者)に分け,プロペンシティスコアで調整後,解析を行った。
前投与群におけるP2Y12阻害薬の内訳は,clopidogrel 26,136例(58.3%),ticagrelor 15,792例(35.3%),prasugrel 2,352例(5.3%)。
追跡完了率
結果

●評価項目
P2Y12阻害薬による前投与のベネフィットは認められなかった。
死亡:OR 1.08,95%CI 0.95-1.24,p=0.313。
梗塞関連血管の開存性:OR 0.98,95%CI 0.92-1.05,p=0.608。
ステント血栓症(definite):OR 0.99,95%CI 0.69-1.43,p=0.932
心原性ショック:OR 1.03,95%CI 0.88-1.20,p=0.717。
院内出血:OR 1.05,95%CI 0.89-1.26,p=0.526。
神経学的合併症:OR 0.72,95%CI 0.43-1.21,p=0.210。

●有害事象

文献: Redfors B, et al. Pretreatment with P2Y12 receptor antagonists in ST-elevation myocardial infarction: a report from the Swedish Coronary Angiography and Angioplasty Registry. Eur Heart J 2019; 40: 1202-1210. pubmed
関連トライアル ACCOAST, ACCOAST-PCI, ATLANTIC, GEMINI-ACS-1, Olier I et al, PCI-CLARITY, PLATO primary PCI, SCAAR upstream clopidogrel treatment
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