抗血栓トライアルデータベース
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AUGUSTUS
結論 最近急性冠症候群(ACS)を発症または経皮的冠インターベンション(PCI)をうけ,P2Y12阻害薬を投与されている心房細動患者において,apixabanを含む抗血栓療法(aspirinは併用しない)は,ビタミンK拮抗薬(VKA)かつ/またはaspirinを含む抗血栓療法にくらべ,出血および入院を抑制し,虚血性イベントには差はなかった。
コメント ARBなどが特許切れしたのち,循環器領域にて市場規模の大きな薬剤はNOACのみとなった。NOACとして非弁膜症性心房細動の市場は十分に獲得しているため,NOAC間の競合に競り勝つための適応拡大試験の結果が多く報告されている。冠動脈インターベンションを受ける症例ではY12 ADP受容体阻害薬が標準治療なので,心房細動を合併した場合にNOACを重視するか,抗血小板薬を重視するかは個別に選択すべき問題と考えるが,ランダム化比較試験が多数施行された。
 適応拡大を目指す試験ではあるが,完全な仮説検証試験ではない。最近PCIを施行された・急性冠症候群を経験した心房細動症例を4群に分けた。アスピリン/プラセボ,VKA/アピキサバンが比較された。クロピドグレル・チカグレロールなどは基盤治療として全例に施行されている。
 アスピリンには抗血小板効果があるので,プラセボよりも出血は多かった。VKAは標的INRを2~3にすればアピキサバンよりも出血が多かった。新薬の開発試験ではないので,TTRは59%と低かった。死亡,虚血イベントには大きな差はなかった。試験としては既知の直感を確認したような試験であったが,市場の大きなNOACが特許切れすれば,ランダム化比較試験に投資する企業もなくなるだろう。臨床試験が過剰に行われた時代は騒々しかったが,何も行われない時代は寂しくなるかもしれない。(後藤信哉

目的 最近ACSを発症またはPCIをうけ,P2Y12阻害薬を投与されている心房細動患者において,標準用量apixabanとVKAを,低用量aspirinとプラセボを比較した。主要評価項目:ISTH出血基準大出血または臨床的に問題となる非大出血
デザイン ランダム化,2×2ファクトリアル試験。apixaban対VKAはオープン,aspirin対プラセボは二重盲検。NCT02415400。
セッティング 多施設(492施設),33ヵ国。
期間 登録期間は2015年9月~2018年4月。
対象患者 4,614例。18歳以上,既往/持続性/永続性/発作性心房細動かつ経口抗凝固薬長期投与の予定,ACSを最近発症またはPCIを施行/ P2Y12阻害薬を6ヵ月以上投与予定の患者。
【除外基準】人工弁など他の病態のために抗凝固薬を使用,重篤な腎不全,頭蓋内出血既往,CABG施行歴またはその予定,血液凝固障害または現在の出血,VKA/apixaban/ P2Y12阻害薬/aspirinに対する禁忌。
【患者背景】年齢中央値70.7歳。女性29.0%。白人91.8%。血清クレアチニン<1.5mg/dL 91.6%。平均CHA2DS2-VAScスコア3.9。平均HAS-BLED出血リスクスコア2.9。ランダム化時の併用P2Y12阻害薬:clopidogrel 92.6%,prasugrel 1.1%,ticagrelor 6.2%。VKA群におけるTTR中央値59%。
治療法 ACS発症またはPCI施行から14日以内にランダム化。P2Y12阻害薬の選択は担当医の裁量とした。
[apixaban対VKA]
apixaban群:2,306例。5mgまたは2.5mg(≧80歳,体重<60kg,クレアチニン≧1.5mg/dLのうち2つ以上に当てはまる場合)1日2回投与。
VKA群:2,308例。INR 2.0~3.0となるよう用量調節投与。
[aspirin対プラセボ]
aspirin群:2,307例。81mg投与。
プラセボ群:2,307例。
追跡完了率
結果

●評価項目
・大出血または臨床的に問題となる非大出血(交互作用p=0.64)
apixaban群(10.5%)のほうがVKA群(14.7%)より少なかった(HR 0.69,95%CI 0.58-0.81,非劣性,優越性ともp<0.001)。
aspirin群はプラセボ群より多かった(16.1% vs 9.0%,HR 1.89,95%CI 1.59-2.24,p<0.001)。
・死亡または入院(交互作用p=0.21)
apixaban群はVKA群より少なかった(23.5% vs 27.4%,HR 0.83,95%CI 0.74-0.93,p=0.002)。
aspirin群とプラセボ群の間には有意差は認められなかった(26.2% vs 24.7%,HR 1.08,95%CI 0.96-1.21)。
・死亡または虚血イベント(交互作用p=0.28)
apixaban群対VKA群(6.7% vs 7.1%,HR 0.93,95%CI 0.75-1.16),aspirin群対プラセボ群(6.5% vs 7.3%,HR 0.89,95%CI 0.71-1.11)とも,有意差は認められなかった。

●有害事象

文献: Lopes RD, et al.; AUGUSTUS Investigators. Antithrombotic Therapy after Acute Coronary Syndrome or PCI in Atrial Fibrillation. N Engl J Med 2019; 380: 1509-1524. pubmed
関連トライアル ACTION Registry-GWTG triple therapy, ACTIVE A, ADOPT, AMPLIFY, APPRAISE, APPRAISE-2, APPRAISE-2 post hoc analysis, ARISTOTLE, ARISTOTLE cardioversion, ARISTOTLE concomitant aspirin use, ARISTOTLE major bleeding, ARISTOTLE risk score, ASCEND, ASPREE , ASPREE all-cause mortality, ASPREE cardiovascular events and bleeding, AVERROES, AVERROES bleeding, AVERROES previous stroke/TIA, COMPASS CAD, COMPASS PAD, Dresden NOAC Registry apixaban, GEMINI-ACS-1, Lamberts M et al, Lamberts M et al, Lamberts M et al, LASAF Pilot Study, ORBIT-AF, ORBIT-AF registry triple vs. dual antithrombotic therapy, PIONEER AF-PCI total bleeding, RE-DUAL PCI
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