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Sprügel MI et al Antiplatelet Therapy in Primary Spontaneous and Oral Anticoagulation-Associated Intracerebral Hemorrhage
結論 抗血小板療法(APT)が脳内出血(ICH)に及ぼす影響について,原発性自然発症ICH患者の特性および転帰には関連は認められなかったが,ビタミンK拮抗薬(VKA)関連ICH患者では出血量の増大および機能的転帰不良との関連がみられ,それは相加的な抗血栓効果によるものと考えられた。経口抗凝固薬(OAC)とAPTを併用する際は十分に評価し,その適用は可能な限り短期間にするべきである。
コメント 多施設後ろ向き研究を含む脳内出血(自然発症および経口抗凝固薬服用者)に関して,過去最大のコホートを用いて,抗血小板療法の転帰,死亡,血腫増大に及ぼす影響を検討した意義ある論文である。プロペンシティスコア合致を用いている点が注目される。NOAC服用中の脳内出血については,更なる症例集積が必要であろう。(岡田靖

目的 RETRACE(OAC-ICH患者の多施設研究)およびUKER-ICH(原発性自然発症ICH患者の単施設研究)のデータを用い,原発性自然発症ICH(非OAC-ICH),VKAまたは非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)関連ICH患者において,APTが血腫および転帰に及ぼす影響を検討した。主要評価項目:3ヵ月後の機能的転帰(良好:modified Rankin Score[mRS]0~3,不良:同4~6)。
デザイン RETRACEは後ろ向きコホート研究,UKER-ICHは前向き研究。
セッティング 多施設(RETRACEは22施設,UKER-ICHは単施設),ドイツ。
期間 試験期間はRETRACE part 1:2006年1月1日~2010年12月31日,RETRACE part 2:2011年1月1日~2015年12月31日,UKER-ICH:2006年1月1日~2015年12月31日。
対象患者 3,580例。RETRACE part 1,part 2に登録されたOAC-ICH患者連続例2,504例+UKER-ICHに登録された原発性自然発症ICH患者連続例1,076例。
【除外基準】二次性ICH(外傷,動静脈奇形,動脈瘤,腫瘍,血栓溶解療法または血液凝固障害,その他の抗凝固療法以外の原因によるもの),再発性ICH。
【患者背景】年齢中央値はVKA-ICH患者APTなし76歳/あり74歳(p<0.001),NOAC-ICH患者APTなし78歳/あり79歳,原発性自然発症ICH患者APTなし69歳/あり76歳(p<0.001)。それぞれの女性43.1%/38.1%,53.2%/43.3%,47.6%/43.4%。入院時のNational Institute of Health stroke scale(NIHSS)中央値13/14,11/14,13/13。入院時のINR中央値2.72/2.58(p=0.007),1.28/1.23,1.02/1.03。
治療法 VKA-ICHは2,288例(APTなし2,028例+あり260例),NOAC-ICHは188例(APTなし158例+あり30例),原発性自然発症ICHは1,069例(APTなし723例+あり346例)。
追跡完了率
結果

●評価項目
プロペンシティスコア合致後,APT実施のVKA-ICH患者は機能的転帰良好が少なく,死亡率が高かった。
機能的転帰良好:APTあり48例(23.8%),APTなし187例(31.9%),p=0.030。
死亡率:APTあり103例(51.0%),APTなし237例(40.4%),p=0.009。
原発性自然発症ICH患者(機能的転帰良好:APTあり37.2%,なし32.1%,p=0.216,死亡率:33.8%,31.7%,p=0.600),NOAC-ICH患者(機能的転帰良好:APTあり20.7%,なし33.3%,p=0.206,死亡率:37.9%,32.0%,p=0.566)では有意差を認めなかった。
VKA-ICH患者において,出血量はAPTありのほうが多かった(21.9mL,15.7mL,p=0.005)。多変量回帰解析により,APTとICH量の増大の関連がみられた(OR 1.80,1.20-2.70,p=0.005)。これはAPT 2剤併用および治療域以上の抗凝固療法をうけている患者でより顕著であった。

●有害事象

文献: Sprügel MI, et al. Antiplatelet Therapy in Primary Spontaneous and Oral Anticoagulation-Associated Intracerebral Hemorrhage. Stroke 2018; 49: 2621-2629. pubmed
関連トライアル CHANT antiplatelet use, CROMIS-2 outcome of ICH, ERICH functional outcomes, GWTG antiplatelet therapy and ICH, GWTG-Stroke ICH and in-hospital mortality, Hagii J et al, Kuramatsu JB et al, Roquer J et al, Sprügel MI et al
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