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Tsivgoulis G et al Dual antiplatelet therapy pretreatment in IV thrombolysis for acute ischemic stroke
結論 虚血性脳卒中患者において,抗血小板薬2剤併用療法の前投与(DAPP)は静注血栓溶解療法(IVT)後の症候性頭蓋内出血(ICH)リスクおよび3ヵ月の死亡率上昇と関連していなかった。DAPPは,それ以外ではIVTが適格な虚血性脳卒中患者に対し,治療を差し控えることの理由にするべきではない。

目的 先行研究より,脳卒中発症前の抗血小板薬服用と症候性頭蓋内出血リスク上昇の関連が示唆されている。本研究では,DAPP歴を有する虚血性脳卒中患者において,IVTの安全性および有効性を検討し,さらに傾向スコアマッチングを用いた評価も行った。
デザイン 前向き登録研究。
セッティング 多施設(2施設),米国。
期間 試験期間は2011~2015年。
対象患者 790例。IVTをうけた虚血性脳卒中患者連続例。
【除外基準】-
【患者背景】平均年齢はDAPPあり群68.1歳,DAPPなし群64.0歳(p=0.038)。各群の男性56.9%,49.4%。入院時のNational Institute of Health stroke scale(NIHSS) 中央値8,7。高血圧89.6%,77.7%(p=0.032)。糖尿病48.3%,34.5%(p=0.035)。冠動脈疾患の既往60.3%,21.5%(p<0.001),脳卒中既往37.9%,23.0%(p=0.010)。発症-治療時間中央値141分,132分。
治療法 抗血小板薬服用歴の有無(患者・家族の自己報告を薬剤師が確認)により以下の2群にわけ,解析を行った。
DAPPあり群:58例(傾向スコア合致41例)。脳卒中発症前に異なる2剤の抗血小板薬を服用。
DAPPなし群:732例(同82例)。抗血小板薬服用歴がないか,または抗血小板薬単剤服用歴がある症例。
追跡完了率
結果

●評価項目
IVTをうけた790例のうち,58例(7%)が脳卒中発症前にDAPPをうけていた。DAPPなし群のうち,抗血小板薬単剤服用歴がある症例は39.9%(傾向スコア合致後58.5%)。
DAPPあり群はDAPPなし群にくらべ高齢で,リスク因子が多かった。
無症候性ICHはDAPPあり群のほうがDAPPなし群にくらべ多かったが(17.2%,5.6%,p<0.001),症候性ICH(3.4%,3.2%,p=0.921),3ヵ月後の機能的転帰良好(modified Rankin Score[mRS] 0~1;63.8%,50.2%,p=0.071),3ヵ月後の死亡率(8.5%,8.7%,p=0.973)は同程度であった。
潜在的交絡因子を補正した多変量解析によると,DAPPは無症候性ICHリスク上昇と関連していたが(OR 3.53,95%CI 1.47-8.47,p=0.005),3ヵ月後の機能的転帰良好の可能性(OR 2.41,95%CI 1.06-5.46,p=0.035)との関連もみられた。
傾向スコアマッチング合致後,両群の患者特性,有効性・安全性転帰について差異はみられなかった(症候性ICH:DAPPあり群2.4%,DAPPなし群1.3%,p=0.627,3ヵ月後の機能的転帰良好:65.9%,57.3%,p=0.362,3ヵ月後の死亡率:7.3%,4.9%,p=0.582)。

●有害事象

文献: Tsivgoulis G, et al. Dual antiplatelet therapy pretreatment in IV thrombolysis for acute ischemic stroke. Neurology 2018; 91: e1067-e1076. pubmed
関連トライアル ASTRAL influence of arterial occlusion, Engelter ST et al, Gattringer T et al, Gensicke H et al, Goyal N et al, Hsieh CY et al, Jones DW et al, Sarikaya H et al, SITS-ISTR time window in elderly, SITS-ISTR young patients, Tsivgoulis G et al, Turc G et al, Zupanic E et al, 血栓溶解療法後の頭蓋内出血, 白質病変が血栓溶解療法静注後の頭蓋内出血・転帰におよぼす影響
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