抗血栓トライアルデータベース
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NAVIGATE ESUS patent foramen ovale
結論 卵円孔開存(PFO)を有する塞栓源不明の脳塞栓症(ESUS)患者に対し,統計上の検出力は不足しているものの,抗凝固療法は虚血性脳卒中リスクを半減させるかもしれない。抗凝固療法と抗血小板療法かつ/またはPFO閉鎖を比較する試験が求められる。
コメント PFOは直接の塞栓源ではないが,原因不明の脳卒中に併存すれば塞栓性脳梗塞をより強く示唆する所見である。PFOありのESUSにおいて,リバーロキサバン群のアスピリン群に対するハザード比が低値であることは,ESUSの特定の集団では抗凝固療法が抗血小板療法に優る可能性を示している。(岡田靖

目的 PFOはESUSの発症に寄与する。先行研究のサブグループ解析より,抗凝固療法は抗血小板療法にくらべ,脳卒中再発を低減できると示唆されている。本解析では事前に定められたサブ解析として,rivaroxabanはaspirinにくらべ,PFO患者の虚血性脳卒中リスクを低下させるという仮説を検証した。さらに,PFO患者に対する抗凝固療法に関するシステマティックレビューも行った。本解析の有効性主要評価項目:虚血性脳卒中再発までの時間。安全性主要評価項目:ISTH出血基準大出血
デザイン ランダム化,二重盲検試験。NCT02313909。
セッティング 多施設(459施設),31ヵ国。
期間 登録期間は2014年12月23日~2017年9月20日。平均追跡期間11ヵ月。
対象患者 7,213例。≧50歳,スクリーニングの7日~6ヵ月前に発症し,画像で確認された虚血性脳卒中患者(ラクナ梗塞を除く)で,動脈の>50%の狭窄をもたらす頭蓋外アテローム性動脈硬化(頭蓋内画像は必須ではなかったが,実施された場合50%の狭窄がみられた症例は除外),または主要な心原性塞栓リスク因子がなく,脳卒中の原因が不明な症例。50~59歳の患者では,血管リスク因子を有する症例に限定した。閉鎖術を予定されていない場合は卵円孔開存例も対象に含めた。
【除外基準】2時間以上の心電図モニターで6分間以上継続する心房細動検出,心房細動既往,重篤な脳卒中(modified Rankin Score[mRS]≧4)既往,植え込み型ループレコーダーの装着またはその予定,抗凝固療法/抗血小板療法の特別な適応を有する患者,非外傷性頭蓋内出血既往。
【PFOの有無別の患者背景】平均年齢はPFOあり群64.6歳,PFOなし群67.1歳。それぞれの男性63%,61%。高血圧67%,78%。糖尿病18%,26%。脳卒中/一過性脳虚血発作既往17%,17%。
治療法 以下の2群にランダム化。
rivaroxaban群:3,609例。15mg 1日1回投与。
aspirin群:3,604例。腸溶錠100mg 1日1回投与。
追跡完了率
結果

●評価項目
NAVIGATE ESUSは早期に終了となったため,本サブ解析のPFO患者も予定より少数となった。
経胸壁心エコー(TTE)および経食道心エコー(TOE)にもとづき,534例(7.4%)がPFOを有していた。
PFOあり群において,虚血性脳卒中再発はrivaroxaban群2.6件/100患者・年,aspirin群4.8件/100患者・年。既知のPFOを有していた患者において,仮説の両群の虚血性脳卒中再発リスク差を支持するためのエビデンスは不十分であった(HR 0.54,95%CI 0.22-1.36)。既知のPFOのない患者においても,リスクは同程度であった(4.9件/100患者・年,4.6件/100患者・年,HR 1.06,0.84-1.33,交互作用p=0.18)。
大出血リスクはPFOあり群(HR 2.05,95%CI 0.51-8.18),PFOなし群(HR 2.82,95%CI 1.69-4.70,交互作用p=0.68)のいずれでも同程度であった。

2018年5月17日まで,MEDLINEにて検索を行ったところ,TOEで確認されたPFOを有する原因不明の脳卒中患者に対し,抗凝固療法または抗血小板療法のランダム化を行った試験はPICSSとCLOSEのみであった。
NAVIGATE ESUSとこの2試験を結合させたランダム効果メタ解析では,虚血性脳卒中治療について抗凝固療法の優位が示された(OR 0.48,95%CI 0.24-0.96,p=0.04)。不均一性は認められなかった(I2=0%)。

●有害事象

文献: Kasner SE, et al.; NAVIGATE ESUS Investigators. Rivaroxaban or aspirin for patent foramen ovale and embolic stroke of undetermined source: a prespecified subgroup analysis from the NAVIGATE ESUS trial. Lancet Neurol 2018; : . pubmed
関連トライアル ATLAS ACS-TIMI 46 , CLOSE, COMPASS CAD, COMPASS PAD, FORI, GEMINI-ACS-1, NAVIGATE ESUS, PC Trial, PERFORM, PFOをともなうCS患者における抗凝固療法と抗血小板療法(TAcTiCS-PFO), PICASSO, RESPECT, ROCKET AF previous stroke/TIA, SOCRATES ESUS, SOCRATES subgroup analysis, TARDIS, XALIA, 薬物療法中の卵円孔開存患者における脳梗塞再発
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