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Yu HT et al Impact of Renal Function on Outcomes With Edoxaban in Real-World Patients With Atrial Fibrillation. A Nationwide Cohort Study
結論 リアルワールドにおいて,edoxabanは両用量ともwarfarinにくらべ,脳梗塞/全身性塞栓症,大出血,死亡リスクの低下と関連していた。クレアチニンクリアランス(CrCl)>95mL/分の患者においては,低用量edoxabanによる脳梗塞/全身性塞栓症予防の有効性はwarfarinにくらべ低下した。
コメント 韓国にはほぼすべての住民が登録されている健康保険データベースがあり,このような研究に活用されていることはうらやましい限りである。今回のデータベース研究では,エドキサバンがリアルワールドではワルファリンに比し有効性・安全性・生命予後ともすぐれていることが示されたが,腎機能がきわめて良好なCrCl>95mL/分の患者群における30mg投与は,効果が不十分である可能性が示唆された。ただ,このようなサブ解析データをみる場合,各群の症例数には注意すべきであろう。該当する症例数はわずか232例で,イベントが1例増えるだけでも値は大きく変わってくる。また,CrCl>95mL/分の患者群で30.9%が30mg投与,不適正な低用量選択が40%であったことも結果に影響を与えていると考えられる。(是恒之宏

目的 心房細動(AF)患者における血栓塞栓イベントの予防について,edoxabanの有効性・安全性は確立されている。しかし,CrCl>95mL/分の患者においては,その有効性が低下することが指摘されている。本研究では,AF患者におけるedoxabanの有効性と安全性を,CrCl>95mL/分の患者に焦点を当て,warfarinと比較した。主要評価項目:脳梗塞/全身性塞栓症,大出血,全死亡。
デザイン 後ろ向き観察的コホート研究。
セッティング 多施設,韓国。
期間 登録期間は2016年1月1日~12月31日。追跡期間中央値5.0ヵ月。
対象患者 11,712例。National Health Insurance Service(韓国のほぼ全住民が登録されている健康保険データベース)登録者のうち,傾向スコアを合致させた≧18歳のAF患者。
【除外基準】弁膜症性AF,カテーテルアブレーション施行歴,末期腎臓病の診断,経口抗凝固薬(OAC)非投与または投与期間<30日,急性冠症候群/深部静脈血栓症予防のためのOAC投与,edoxaban以外のNOAC投与例。
【患者背景】平均年齢は高用量edoxaban(HDED)群68.2歳,対応するwarfarin群68.3歳,低用量edoxaban(LDED)群72.8歳,対応するwarfarin群72.6歳。それぞれの男性63.3%,63.0%,52.0%,53.3%。併存疾患:心不全63.2%,62.3%,66.9%,67.5%,高血圧94.5%,94.9%,94.0%,94.6%,糖尿病30.5%,30.5%,34.6%,34.3%,脳卒中/一過性脳虚血発作既往37.1%,37.1%,40.6%,40.4%,心筋梗塞(MI)既往10.8%,12.1%,14.8%,15.3%,末梢動脈疾患20.5%,19.7%,22.4%,22.9%,慢性腎臓病9.3%,8.9%,14.7%,15.7%,脂質異常症91.1%,91.3%,89.8%,89.7%,平均CHA2DS2-VAScスコア4.2,4.2,4.9,4.8。
治療法 HDED群:2,840例。60mg/日投与。
LDED群:3,016例。30mg/日投与。
warfarin群:warfarinを投与。年齢,性別,ベースライン時の併存疾患,薬物療法などの傾向スコアが,HDED群およびLDED群と1:1で合致させた症例。
追跡は,初回edoxaban/warfarin処方日から評価項目発生または追跡期間終了まで行った。
追跡完了率
結果

●評価項目
脳梗塞/全身性塞栓症発症率は,warfarinにくらべHDER群,LDER群ともに低かった。
高用量:HDER群4.3件/100患者・年,warfarin群7.9件/100患者・年,補正後HR(aHR)0.44,95%CI 0.31-0.64。
低用量:LDER群6.4件/100患者・年,warfarin群8.6件/100患者・年,aHR 0.57,0.42-0.78。
CrCl>95mL/分の患者について,HDER群はwarfarin群と同程度であったが(HR 0.43,0.08-2.23),有意ではないもののCrCl値が高い患者では有効性が低い傾向がみられた(p=0.06)。LDER群ではwarfarin群にくらべ,CrCl>95mL/分の患者における脳梗塞/全身性塞栓症発症リスクが高く(CrCl>30~50mL/分:HR 0.38,0.19-0.76,同>50~70mL/分:HR 0.39,0.14-1.08,同>70~95mL/分:HR 1.09,0.30-3.92,同>95mL/分:HR 1.41,0.16-8.10),CrClの上昇にともないLDERの有効性の低下がみられた(交互作用p=0.023)。
大出血発症率は,warfarinにくらべHDER群,LDER群ともに低かった。
高用量:3.1件/100患者・年,6.4件/100患者・年,aHR 0.40,0.26-0.61。
低用量:5.5件/100患者・年,7.5件/100患者・年,LDER:aHR 0.61,0.43-0.85。
全死亡発生率は,warfarinにくらべHDER群,LDER群ともに低かった。
高用量:2.7件/100患者・年,8.7件/100患者・年,aHR 0.34,0.22-0.53。
低用量:7.3件/100患者・年,12.6件/100患者・年,aHR 0.55,0.41-0.73。

●有害事象

文献: Yu HT, et al. Impact of Renal Function on Outcomes With Edoxaban in Real-World Patients With Atrial Fibrillation. Stroke 2018; 49: 2421-9. pubmed
関連トライアル Chan YH et al, ENGAGE AF-TIMI 48, ENGAGE AF-TIMI 48  peri-operative adverse outcomes, ENGAGE AF-TIMI 48 cerebrovascular events, ENGAGE AF-TIMI 48 dose and outcomes, ENGAGE AF-TIMI 48 East Asian patients, ENGAGE AF-TIMI 48 mortality, ENGAGE AF-TIMI 48 previous stroke/TIA, ENGAGE AF-TIMI 48 renal function, ENGAGE AF-TIMI 48 transition to open-label anticoagulation, ENGAGE AF-TIMI 48 valvular heart disease, ENGAGE AF-TIMI 48 VKA experienced and naive, ENSURE-AF, Larsen TB et al, Lopes RD et al, Nielsen PB et al, REAFFIRM, ROCKET AF elderly patients, ROCKET AF major bleeding, ROCKET AF post hoc analysis, ROCKET AF renal dysfunction, ROCKET AF temporary interruption
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