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ASPREE all-cause mortality
結論 明らかに健康な高齢者において,aspirin群はプラセボ群にくらべ全死亡発生率が高く,それはおもに癌関連死であった。先行研究と照らし合わせると本結果は予想外であり,慎重な解釈が求められる。
コメント アスピリンのprimary prevention studyとして,本研究の数ある特徴の中では,70歳以上の特に心血管系疾患ハイリスクと限定しない健常高齢者を対象にしたことと,致死的および非致死的がんの発生をエンドポイントに設定したことが特筆される。全死亡,その主因であるがん死に関する結果は,全く予想外であった。血管疾患の一次予防の成績が奮わないアスピリンの次のターゲットとして「がんの抑制」に注目を集めている最中に,逆にがん死亡が有意にアスピリンで増加したというのである。まさに“結果の解釈にはきわめて慎重を要する”状況を作りだしたのである。
アスピリンのがん抑制効果自体まだよくわかっておらず,少なくとも5年以上のフォローが必要な長期的効果と考えられているので,本研究のように短い観察期間で予想とは逆の結果が出たことは,ますます我々を混乱させる。本研究では死亡の状況調査が前もって計画されており,アスピリンによるがん死の増加は出血死やがんの発症率,がん種,がんの臓器とも強い関係はなさそうである。本集団の対象者は,健常人であり同年代の平均に比し全死亡率もがん死亡率も低かったという。その中でオーストラリア人にのみアスピリンによるがん死の増加が認められたという。アスピリンとがんとの関係は,まだまだわからないことばかりである。(島田和幸

目的 ASPREE 試験の主解析において,高齢者に対するaspirinの連日の使用は主要評価項目(障害のない生存期間の延長)に関し,ベネフィットを示さなかった。aspirin群はプラセボ群にくらべ,全死亡が数値的には多かった。本解析では,死因に焦点を当てて解析を行った。
デザイン ランダム化,プラセボ対照,二重盲検試験。NCT01038583。
セッティング 多施設,2ヵ国(米国,オーストラリア)。
期間 登録期間は2010年3月~2014年12月。追跡期間中央値4.7年。
対象患者 19,114例。70歳以上(米国では黒人・ヒスパニック系は65歳以上),心血管疾患/認知症/身体的障害のない地域社会住民。
【除外基準】-
【患者背景】-
治療法 以下の2群にランダム化。
aspirin群:9,525例。100mg腸溶錠投与。
プラセボ群:9,589例。
追跡完了率
結果

●評価項目
本試験は,aspirinの使用は主要評価項目に関しベネフィットがある可能性がきわめて低いとして中止となった。

追跡期間に1,052例(5.5%)が死亡した。
全死亡はaspirin群558例(5.9%,12.7人/1,000人・年)で,プラセボ群494例(5.2%,11.1人/1,000人・年)にくらべ,1.6人/1,000人・年の過剰な死亡がみられた(HR 1.14,95%CI 1.01-1.29)。
aspirin群で多かった死因は癌であった。
[死亡の原因疾患]
癌:aspirin群295例(3.1%),プラセボ群227例(2.3%),HR 1.31,95%CI 1.10-1.56。
心血管疾患(脳梗塞を含む):91例(1.0%),112例(1.2%),HR 0.82,95%CI 0.62-1.08。
大出血(出血性脳卒中を含む):28例(0.3%),25例(0.3%),HR 1.13,95%CI 0.66-1.94。
その他:140例(1.5%),122例(1.3%),HR 1.16,95%CI 0.91-1.48。
不明:4例(<0.1%),8例(0.1%)。

●有害事象

文献: McNeil JJ, et al.; ASPREE Investigator Group. Effect of Aspirin on All-Cause Mortality in the Healthy Elderly. N Engl J Med 2018; 379: 1519-28. pubmed
関連トライアル AAA, ACTIVE A, Alcocer F et al, APPRAISE-2, ARRIVE, ASCEND, ASPIRE, aspirin連日投与による短期の癌発生,癌死,非血管死抑制効果, ATACAS, CASPAR , CAST, CAST-IST, CHANCE, CHARISMA, CHARISMA bleeding complications, CLARITY-TIMI 28, clopidogrel追加による死亡率抑制効果, COGENT, COMPASS, COMPASS CAD, COMPASS PAD, CREDO, DAC, DAPT, DAPT late mortality, DES LATE, ECLAP, FREEDOM DAPT vs. aspirin monotherapy, HOT post-hoc subgroup analysis, JPAD, JPPP, JPPP stroke substudy, NAVIGATE ESUS, OXVASC age-specific risks of bleeding, PEGASUS-TIMI 54, PEGASUS-TIMI 54 prevention of stroke, POINT, POISE-2, PRoFESS, RE-DUAL PCI, Selak V et al, SOCRATES, SPS3, TPT, TRA 2P-TIMI 50, TRILOGY ACS elderly patients, Turpie AG et al 1993, WARCEF, WARFASA, WARSS, WASID, WHS, 血管イベントおよびがんに対するaspirinの有効性:体重と用量別の解析
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