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PRISMS Potential of rtPA for Ischemic Strokes with Mild Symptoms
結論 障害のない軽症脳梗塞患者において,alteplaseはaspirinにくらべ,90日後の機能的転帰良好を増加させなかった。しかしながら,試験は早期終了となったため確定的な結論を導き出すことはできず,更なる検討が必要である。

目的 脳梗塞患者の来院時,半数以上は神経学的障害が軽度(National Institute of Health stroke scale[NIHSS] 0~5)である。alteplaseの大規模試験では,NIHSSスコアが低い患者は対象に含めたが,明らかな障害のない患者は除外された。そこで,来院時に明らかな障害がないと診断されたNIHSS 0~5の患者において,alteplaseの有効性および安全性を評価した。有効性主要評価項目:90日後の機能的転帰良好(modified Rankin Score[mRS] 0~1)。安全性主要評価項目:試験薬静注から36時間以内の症候性頭蓋内出血。
デザイン 第3b相,ランダム化,二重盲検試験。NCT02072226。
セッティング 多施設(53施設),米国。
期間 登録期間は2014年5月30日~2016年12月20日。追跡終了は2017年3月22日。
対象患者 313例。症状発現から3時間以内に治療開始,18歳以上,NIHSS 0~5,明らかな障害がないと判断された脳梗塞患者。
【除外基準】脳卒中前の障害(mRS 2~6),嚥下障害,急性期神経画像上の頭蓋内出血,その他のalteplaseに対する禁忌。
【患者背景】平均年齢はalteplase群62歳,aspirin群61歳。各群の男性49%,59%。人種:白人75.0%,80.3%,黒人22.4%,17.2%。病歴:高血圧81.3%,79.0%,脂質異常症73.1%,72.6%,糖尿病36.5%,28.0%,脳卒中既往17.9%,15.3%,心房細動14.7%,10.8%。発症-静注時間中央値2.7時間,2.6時間。ベースライン時の平均NIHSS 2.3,2.0。
治療法 以下の2群にランダム化。
alteplase群:156例。0.9mg/kg+プラセボ経口投与。
aspirin群:157例。325mg+プラセボ静注。
静注試験薬は症状発現から3時間以内,経口試験薬も同様にするよう求めたが,24時間後までは投与可能とした。
追跡完了率 89.8%。
結果

●評価項目
患者登録が目標を下回ったため,本試験は早期終了となった。
90日後の機能的転帰良好はalteplase群122例(78.2%),alteplase群128例(81.5%)で,同程度であった(補正後絶対リスク差-1.1%,95%CI -9.4~7.3%)。
90日後のmRSの分布(OR 0.81,95%CI 0.5-1.3),包括的回復(mRS,NIHSS,Barthel Index,Glasgow Outcome Scale scoreより算定;OR 0.86,95%CI 0.5-1.4)についても,有意差は認められなかった。
症候性頭蓋内出血はalteplase群5例(3.2%),aspirin群0例(絶対リスク差3.3%,95%CI 0.8~7.4%)。

●有害事象
重篤な有害イベントはalteplase群40例(26.0%),aspirin群20例(13.1%)。

文献: Khatri P, et al., PRISMS Investigators Effect of Alteplase vs Aspirin on Functional Outcome for Patients With Acute Ischemic Stroke and Minor Nondisabling Neurologic Deficits: The PRISMS Randomized Clinical Trial. JAMA 2018; 320: 156-66. pubmed
関連トライアル alteplase静注における治療時間の遅れ,年齢,脳卒中重症度の影響, alteplase投与後の脳内出血リスク(STT二次解析), Cappellari M et al, CLEAR III, ECASS, ECASS III, ECASS III additional outcomes, ENCHANTED, ENCHANTED prior antiplatelet therapy, ENCHANTED renal impairment, EPITHET, EXTEND-IA TNK, GWTG-Stroke time to treatment, IST-3 brain imaging signs, IST-3 clinically important subgroups, IST-3 mortality, IST-3 three year follow-up, J-ACT, J-MARS, Kim BJ et al, Muchada M et al, NINDS rt-PA Stroke Study 1995, NOR-TEST, Power A et al, PRACTISE gender difference, SAMURAI rt-PA Registry early neurological deterioration, SITS-MOST multivariable analysis, WAKE-UP, 血栓溶解療法後の頭蓋内出血, 脳卒中発症後の機能的転帰の分布に対するalteplaseの影響
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