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COMMANDER HF A Study to Assess the Effectiveness and Safety of Rivaroxaban in Reducing the Risk of Death, Myocardial Infarction, or Stroke in Participants with Heart Failure and Coronary Artery Disease Following an Episode of Decompensated Heart Failure
結論 最近慢性心不全の増悪がみられた,冠動脈疾患(CAD)を合併しているが心房細動(AF)合併のない左室機能低下心不全(HFrEF)において, rivaroxaban 2.5mg 1日2回は死亡,心筋梗塞(MI),脳卒中リスク低下と関連していなかった。
コメント  抗Xa薬は複数臨床開発に成功した。リバーロキサバンは,心房細動の脳卒中予防量とは異なる2.5mg×2/日の用量を各種疾患において試した点が他の薬剤と異なる。臨床試験としては,急性冠症候群における抗血小板薬併用療法に極微量のリバーロキサバンを追加することにより,血栓イベントは低減した。しかし,米国での適応拡大には至らなかった。心筋梗塞後,末梢血管疾患でも2.5mg×2/日のリバーロキサバンとアスピリンの併用療法は良好な結果をもたらした。新薬の適応取得に続き,適応拡大を行う戦略は部分的にはうまく行った。
 心不全の発症,増悪には炎症が寄与する。抗Xa薬の効果の一部は血小板のPAR-2受容体刺激の減少による抗炎症効果と考える。そのため,抗Xa薬は心不全を改善する効果も期待される。すでに冠動脈疾患,末梢血管疾患では2.5mg×2/日のリバーロキサバンとアスピリンの併用療法の脳卒中予防効果が確認されているので,冠動脈疾患を合併した心不全として死亡・脳卒中・心筋梗塞の発症予防効果を検証すればよい結果を得られる可能性は高い。心不全増悪におよぼす効果を副次的に検証すれば,科学的に価値の大きな臨床試験となる。
 冠動脈疾患後の心不全症例であればアスピリンが継続服用されている可能性はある。しかし,本試験では2.5mg×2/日のリバーロキサバン群とプラセボ群にて,イベント発症に差を認めなかった。冠動脈疾患後の心不全では死亡例が多かった。主要評価項目以上に,抗Xa薬にて心不全を軽減できるかもしれないとの仮説が否定された意味が大きい。(後藤信哉

目的 トロンビン関連パスウェイの活性化は心不全増悪に寄与する可能性があるが,rivaroxabanはトロンビン生成を抑制する。本試験では,最近慢性心不全の増悪がみられたCAD合併,AF非合併のHFrEF患者において,標準治療に加えて,rivaroxabanは死亡および心血管イベント抑制と関連するという仮説を検証した。有効性主要評価項目:全死亡+MI+脳卒中の複合。安全性主要評価項目:致死的出血,または永続的な後遺障害をもたらしうる重要部位の出血。
デザイン ランダム化,二重盲検,プラセボ対照,event-driven試験。NCT01877915。
セッティング 多施設(628施設),32ヵ国。
期間 ランダム化期間は2013年9月~2017年10月。追跡期間中央値21.1ヵ月。
対象患者 5,022例。3ヵ月以上の慢性心不全の既往,LVEF≦40%,CAD合併,心不全の急性増悪のため治療をうけてから21日以内の患者。1,155例(23.0%)登録後,BNP濃度≧200pg/mLまたはNT-proBNP≧800pg/mLも登録基準に含めた。
【除外基準】出血高リスク,心房細動など長期抗凝固療法を要する病態,急性MIまたは当該イベント中に手術/PCI施行,eGFR<20mL/分/1.73 m2,最近の脳卒中または頭蓋内出血既往,冠動脈疾患以外の原因による心不全。
【患者背景】平均年齢はrivaroxaban群66.5歳,プラセボ群66.3歳。各群の女性22.0%,23.8%。NYHA分類:I度3.2%,2.7%,II度44.8%,43.6%,III度48.2%,49.9%,IV度3.8%,3.8%。病歴:MI 76.2%,75.2%,脳卒中8.3%,9.7%,糖尿病40.8%,40.9%,高血圧75.7%,75.0%。
治療法 以下の2群にランダム化。
rivaroxaban群:2,507例。2.5mg 1日2回投与。
プラセボ群:2,515例。
追跡完了率
結果

●評価項目
有効性主要評価項目はrivaroxaban群626例(25.0%),プラセボ群658例(26.2%)で,同程度であった(HR 0.94,95%CI 0.84-1.05,p=0.27)。
全死亡:21.8%,22.1%,HR 0.98,95%CI 0.87-1.10。
MI:3.9%,4.7%,HR 0.83,95%CI 0.63-1.08。
脳卒中2.0%,3.0%,HR 0.66,95%CI 0.47-0.95。
安全性主要評価項目はrivaroxaban群18例(0.7%),プラセボ群23例(0.9%)で,同程度であった(HR 0.80,95%CI 0.43-1.49,p=0.48)。
致死的出血:0.4%,0.4%,HR 1.03,95%CI 0.41-2.59。
永続的な後遺障害をもたらしうる重要部位の出血:0.5%,0.8%,HR 0.67,95%CI 0.33-1.34。

●有害事象
重篤な有害事象はrivaroxaban群381例(15.2%),プラセボ群358例(14.3%)に発生した。有害事象による試験の早期中止はそれぞれ7.1%,5.8%。

文献: Zannad F, et al.; COMMANDER HF Investigators. Rivaroxaban in Patients with Heart Failure, Sinus Rhythm, and Coronary Disease. N Engl J Med 2018; 379: 1332-42. pubmed
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