抗血栓トライアルデータベース
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GLOBAL LEADERS
結論 ticagrelor+aspirinを1ヵ月併用後のticagrelor 23ヵ月単独投与は,標準的抗血小板療法(抗血小板薬2剤併用療法[DAPT]12ヵ月後aspirin 12ヵ月単独投与)にくらべ,冠インターベンション(PCI)施行後2年間の全死亡またはQ波心筋梗塞(MI)予防の優越性を示さなかった。
コメント  冠動脈インターベンションを担う人材は循環器「内科」の場合が多いが,診療の態度は「外科」的である。すなわち,自ら施行した冠動脈インターベンションの成功・失敗に対する興味が強い。冠動脈に動脈硬化性病変を有する症例では,1年間の観察期間内に心筋梗塞と同様に脳卒中を発症する。しかし,自らの手技とは関係のない脳卒中や,手技と関連するステント血栓症ではない非Q波性心筋梗塞については,興味が少ないきらいがある。本研究は,冠動脈インターベンションの専門家が自らの興味の主体であるステント血栓症と関連する死亡・Q波性心筋梗塞をエンドポイントとして施行したランダム化比較試験である。冠動脈インターベンションのグループでは,抗血栓療法について単純化を望んでいる。アスピリンとクロピドグレルの標準治療が両者特許切れにて安価であるが,クロピドグレルの代わりにチカグレロールを用いた。また,抗血小板薬併用療法としては,アスピリンを継続せず,血中濃度依存性に抗血小板効果が変動すると想定されるチカグレロール単剤を用いた。筆者がスポンサーのアドバイザーであれば,血中濃度依存性に効果が変動するチカグレロール併用群を推奨しなかった。特許が切れた安価なクロピドグレル・アスピリンの標準治療を対照群とするようにアドバイスしたと思う。
 急性冠症候群にて,チカグレロール群の死亡率が標準治療群よりも低い試験があったことは事実であるが,日本と東アジアで施行した試験では結果は異なった。冠動脈インターベンションを施行している医師たちへの重要なメッセージとして,冠動脈インターベンション後の症例では,ステント血栓症と関連するQ波性梗塞よりも総死亡リスクが大きいことがある。本論文では総死亡の内訳が記載されていない。肺炎,がん死なども多いと想定される。全身管理の重要性を認識してほしい。(後藤信哉

目的 DAPTはPCI施行患者における虚血イベントを低減するが,出血リスクが上昇する。DAPT期間を短縮し,その後P2Y12阻害薬を単独投与するレジメンは,リスクとベネフィットのバランスに好影響をもたらす可能性がある。本試験では,ticagrelor+aspirinを1ヵ月併用後のticagrelor単独投与は標準的抗血小板療法にくらべ,PCI後の転帰を改善するという仮説を検証した。有効性主要評価項目:当該手技から730日以内の全死亡または新規非致死的Q波MIの複合。副次評価項目:BARC出血基準タイプ3または5の出血
デザイン PROBE,優越性試験。NCT01813435。
セッティング 多施設(130施設),18ヵ国。
期間 ランダム化期間は2013年7月1日~2015年11月9日。
対象患者 15,968例。安定冠動脈疾患/急性冠症候群(ACS)に対しbiolimus A9溶出性ステントによるPCIを施行予定で,DAPTを必要とする患者。
【除外基準】抗凝固療法適応例。
【患者背景】平均年齢はticagrelor群64.5歳,標準治療群64.6歳。各群の男性76.6%,76.9%。病歴:糖尿病25.7%,24.9%,高血圧74.0%,73.3%,高コレステロール血症69.3%,70.0%,大出血既往0.6%,0.7%。臨床症状:安定冠動脈疾患53.0%,53.2%,ACS 47.0%,46.8%。
治療法 診断的冠動脈造影施行後,PCI施行前に以下の2群にランダム化。抗血小板療法は当該手技前または施行時に開始した。
ticagrelor群:7,980例。aspirin 75~100mg/日+ticagrelor 90mg 1日2回を1ヵ月併用後,ticagrelor 90mg 1日2回を23ヵ月単独投与。
標準治療群:7,988例。aspirin 75~100mg/日+clopidogrel 75mg/日(安定冠動脈疾患患者)またはticagrelor 90mg 1日2回(ACS患者)を12ヵ月投与後,aspirin 75~100mg/日を12ヵ月単独投与。
追跡完了率 2年後の生命状態に関する追跡完了率は99.9%。
結果

●評価項目
2年後の有効性主要評価項目はticagrelor群304例(3.81%),標準治療群349例(4.37%)で,両群に有意差はみられなかった(RR 0.87,95%CI 0.75-1.01,p=0.073)。
全死亡:224例(2.81%),253例(3.17%),RR 0.88,0.74-1.06,p=0.182。
新規Q波MI:83例(1.04%),103例(1.29%),RR 0.80,0.60-1.07,p=0.14。
全死亡,脳卒中,新規Q波MIの複合:362例(4.54%),416例(5.21%),RR 0.87,0.76-1.00,p=0.056。
ACSおよび安定冠動脈疾患サブグループについても,両群に差異はみられなかった(p=0.93)。
安全性主要評価項目はそれぞれ163例(2.04%),169例(2.12%),RR 0.97,0.78-1.20,p=0.77。

●有害事象

文献: Vranckx P, et al.; GLOBAL LEADERS Investigators. Ticagrelor plus aspirin for 1 month, followed by ticagrelor monotherapy for 23 months vs aspirin plus clopidogrel or ticagrelor for 12 months, followed by aspirin monotherapy for 12 months after implantation of a drug-eluting stent: a multicentre, open-label, randomised superiority trial. Lancet 2018; 392: 940-9. pubmed
関連トライアル ADAPT-DES, ANTARCTIC, APPRAISE-2 post hoc analysis, ARCTIC-Interruption, COMPASS CAD, COMPASS PAD, CURRENT-OASIS 7 undergoing PCI, DAPT myocardial infarction risk, DECLARE-LONG II, DES LATE, EARLY, FREEDOM DAPT vs. aspirin monotherapy, GEMINI-ACS-1, GRAPE Registry, ISAR-SAFE, ISAR-TRIPLE, NIPPON, OPTIDUAL, OPTIMIZE, PEGASUS-TIMI 54, PEGASUS-TIMI 54 prevention of stroke, PLATO, PLATO invasive strategy, PRODIGY, PRODIGY impact of clinical presentation, REAL-LATE / ZEST-LATE, SECURITY, SMART-DATE, SOCRATES subgroup analysis, TARDIS, TRITON-TIMI 38 discharge aspirin dose, TRITON-TIMI 38 PCI, WOEST
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