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Selak V et al Annual risk of major bleeding among persons without cardiovascular disease not receiving antiplatelet therapy
結論 抗血小板薬を服用していない地域住民において,大出血および非致死的大出血の年間リスクを推定した。これらの結果は,心血管疾患(CVD)一次予防のガイドラインに情報を提供するものである。
コメント 抗血栓薬服用中の出血は,「抗血栓薬服用による出血」と誤解されがちである。血管が傷んだ心血管病の症例では,自然歴としての出血も多い。「抗血栓薬による出血」と「自然歴による出血」の弁別は容易ではない。(後藤信哉

目的 CVD一次予防としてのaspirin投与開始の判断のためには,治療の利益と害の両方を考慮する必要がある。aspirinによるもっとも重要な害は大出血であるが,地域住民の出血リスクに関するデータは少ない。そこで,抗血小板薬を服用していない,CVDのない人々において,大出血リスクを検討した。解析は非高リスクコホート,非薬物療法コホートで繰り返した。主要評価項目:大出血イベント(出血による入院または致死的出血。外傷/手技関連出血は除外),非致死的消化管出血,消化管出血関連致死率。
デザイン 前向きコホート研究。
セッティング 多施設,ニュージーランド。
期間 登録期間は2002年8月27日~2015年6月30日。追跡は初発大出血発症,死亡,除外基準に合致,試験終了(2015年12月31日)のうちのもっとも早いものまでとした。
対象患者 359,166例。PREDICTプログラム*を用いているプライマリーケアでCVDリスクの評価をうけた,抗血小板薬/抗凝固薬を投与されておらず,これらの薬剤の適応/絶対禁忌のない人(ベースラインコホート)。
*:電子的なプライマリーケア施設管理システムに統合されている,ウェブベースの意思決定支援プログラム。
[非高リスクコホート]305,057例。出血リスク上昇に関連する医療的状態にある人を除外。
[非薬物療法コホート]240,254例。出血リスク上昇に関連する薬物療法をうけている人を除外。
【除外基準】<30歳または≧80歳,CVD/うっ血性心不全/心房細動/慢性腎臓病/腎臓病合併糖尿病/脳内出血既往,登録前の6ヵ月に抗血小板薬または抗凝固療法処方。
【患者背景】平均年齢はベースラインコホート53.5歳,非高リスクコホート53.1歳,非薬物療法コホート53.4歳。それぞれの男性56.1%,56.5%,57.0%。民族性:マオリ12.7%,13.1%,12.3%,太平洋地域12.2%,12.8%,11.7%,南アジア8.2%,7.9%,7.8%,中国10.2%,10.1%,11.1%,欧州56.7%,56.1%,57.1%。心血管リスク因子:糖尿病11.4%,10.8%,10.6%,喫煙(現喫煙/喫煙経験)30.4%,29.8%,28.4%。平均SBP 128.8mmHg,128.7mmHg,128.8mmHg。
治療法
追跡完了率
結果

●評価項目
ベースラインコホートでは,1,281,896患者・年の追跡で3,976例(1.1%)の初発大出血が発症した。大部分が消化管出血であった(2,910例[73%])。致死的出血は274例(7%)で,このうち153例は脳内出血であった。
非高リスクコホート(1,102,418患者・年)における初発大出血は2,808例(0.9%),非薬物療法コホート(883,901患者・年)では2,090例(0.9%)。
全体として,非致死的出血リスクは発症部位を問わず年齢があがるにつれ上昇した。非致死的消化管出血リスクは男性のほうが女性より高かったが(p<0.001),脳内出血やその他の出血には性差を認めなかった。
非致死的消化管出血(1,000患者・年)はベースラインコホート2.19(95%CI 2.11-2.27),非高リスクコホート1.77(1.69-1.85),非薬物療法コホート1.61(1.52-1.69)。
消化管出血関連致死率はそれぞれ3.4%(95%CI 2.2-4.1),4.0%(3.2-5.1),4.6%(3.6-6.0)。

●有害事象

文献: Selak V, et al. Annual Risk of Major Bleeding Among Persons Without Cardiovascular Disease Not Receiving Antiplatelet Therapy. JAMA 2018; 319: 2507-2520. pubmed
関連トライアル AAA, AFASAK 2 1999, aspirinの一次および二次予防効果(ATT), CHARISMA post hoc analysis, COGENT, DAPT BMS or DES, FREEDOM DAPT vs. aspirin monotherapy, HOT post-hoc subgroup analysis, JPAD, JPPP, Lamberts M et al, ORBIT-AF, OXVASC age-specific risks of bleeding, SPS3, WAVE, WHS
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