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PASS post hoc analysis
結論 本研究では,担当医は脳梗塞発症後の患者に対し抗凝固薬を継続する傾向がみられた。抗凝固薬の中断は血栓イベント増加および臨床転帰不良と関連していたが,継続群における大出血リスクの増加はみられなかった。
コメント 抗凝固療法継続群では非継続群より軽症(NIHSS中央値4 vs 13,p<0.001)であったこと,対象者の多くがビタミンK拮抗薬を内服していたことを考慮すると,軽症脳梗塞の場合はビタミンK拮抗薬の継続は可能であることを示唆するデータと理解される。DOACはビタミンKより頭蓋内出血発症率が低く,大出血が少ないことを勘案すると,軽症の場合はDOACの継続も考慮できると思われる。(矢坂正弘

目的 心房細動患者が抗凝固療法中に脳梗塞を発症した場合,抗凝固療法を継続するか一時中断するかについての合意はなされていない。本研究では,(1)入院時に抗凝固療法をうけていた脳梗塞患者について,抗凝固療法の継続/中断を調査,(2)転帰を継続/中断により比較,を行った。主要評価項目:脳梗塞発症から90日後の血栓塞栓イベントまたはISTH出血基準大出血
デザイン ランダム化比較試験PASS(Preventive Antibiotics in Stroke Study)のサブ解析。
セッティング オランダ。
期間
対象患者 192例。PASS試験に登録された2,124例のうち,入院時に抗凝固療法(ビタミンK拮抗薬[VKA],直接作用型経口抗凝固薬[DOAC],治療用量の体重調整低分子heparin[LMWH],未分画heparin,APTT>45秒)をうけていた脳梗塞患者全例。
【除外基準】-
【患者背景】平均年齢は中断群79歳,継続群78歳。それぞれの男性43%,65%(p=0.015)。NIHSS中央値13,4(p<0.001)。静注血栓溶解療法11%,8%。心房細動83%,85%。脳卒中/一過性脳虚血発作既往37%,48%。高血圧53%,68%。抗凝固療法の種類:ビタミンK拮抗薬94%,98%,heparin 3%,1%,DOAC 3%,2%。TOAST分類:大血管アテローム性動脈硬化11%,7%,心原性74%,66%,小血管病6%,12%,その他の原因による脳卒中0%,1%,原因不明9%,15%。
治療法 別の種類の抗凝固薬によるブリッジングは継続とした。中断とは一時的/永続的な中止とし,静注血栓溶解療法による<24時間の中断は例外とした。抗血小板薬や予防用量のLMWHへの変更は中断とした。
入院時に抗凝固療法をうけていたのは192例(VKA 186例[INR中央値2.2],heparin 3例,DOAC 4例)。
追跡完了率
結果

●評価項目
抗凝固療法は35/192例(18%)で中断した。うち24例は一時的な中断であった。期間に関するデータが得られた20例における中断期間中央値は7日。

血栓イベントは,中断群4例(11%)のほうが継続群4例(3%)より多かった(補正後OR 3.57,95%CI 0.67-19.07)。
内訳は,脳梗塞再発6%,0%,その他の血栓イベント6%,3%(補正後OR 0.61,95%CI 0.07-5.26)。
大出血は両群とも0例。
90日後の死亡率,機能的転帰は,両群間に有意差を認めなかった。
死亡率:11例(31%),23例(15%),補正後OR 0.30,95%CI 0.08-1.14。
機能的転帰良好(mRS 0~2):7例(20%),85例(55%),補正後OR 0.50,95%CI 0.18-1.39。

●有害事象

文献: Groot AE, et al. Continuation or Discontinuation of Anticoagulation in the Early Phase After Acute Ischemic Stroke. Stroke 2018; 49: 1762-5. pubmed
関連トライアル COMPARE, COMPRESS, DIAS-4, ENCHANTED renal impairment, ENGAGE AF-TIMI 48 cerebrovascular events, ENGAGE AF-TIMI 48 previous stroke/TIA, Fukuoka Stroke Registry, GWTG-Stroke NOAC before stroke, IMPACT, IST-3 mortality, North Dublin Population Stroke Study, ORBIT-AF bridging, PREVAIL subanalysis, PRoFESS acute ischemic stroke, RAF, REAFFIRM, ROCKET AF post hoc analysis, ROCKET AF temporary interruption, SAMURAI-NVAF two-year outcomes, Tziomalos K et al, VISTA influence of age, XALIA
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