抗血栓トライアルデータベース
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ERICH functional outcomes
結論 中等度~重度の脳内出血(ICH)発症後の抗血小板療法再開は,90日後の機能的転帰不良ならびに健康関連QOLの低下と関連していなかった。重大な心血管リスクを有するICH患者に対する抗血小板療法の再開は,依然として担当医の判断に任されることになる。
コメント 抗血小板療法中の脳内出血例で,抗血小板療法を再開した群と再開しなかった群間で90日後の転帰に差異はなかったことから,抗血小板薬再開の可否は担当医師の判断に任されると結論づけている。今後,長期間の経過観察に基づく虚血・出血イベントへの抗血小板薬や血圧管理の影響,また抗血小板療法再開の至適時期を明らかにする研究が行われることを期待したい。(矢坂正弘

目的 抗血小板療法は自然発症ICHリスクを上昇させる一方,抗血小板療法中に発症したICH患者において,発症後の治療再開はICH再発リスクを上昇させずに虚血性心血管イベントを抑制したと報告されている。虚血性心血管イベントとICHのバランスは,機能的転帰ならびに健康関連QOLに影響をおよぼす可能性がある。本研究ではICH患者において,機能的転帰と健康関連QOLを抗血小板療法再開の有無により比較した。主要評価項目:90日後の機能的転帰良好(modified Rankin Score[mRS]mRS 0~2)。副次評価項目:90日後の機能的転帰優良(mRS 0~1),死亡率,Barthel Index,健康状態(EQ-5D)。
デザイン 前向き症例対照研究の後ろ向き解析。
セッティング 多施設(42施設),米国。
期間 追跡期間は90日。
対象患者 859例。ERICHに登録された自然発症ICH患者3,000例(非ヒスパニック系白人,非ヒスパニック系黒人,ヒスパニック系各1,000例)のうち,18歳以上,ICH発症前に抗血小板薬服用,退院時に生存していた症例。
【除外基準】血小板減少症(入院時血小板数<150,000/μL),発症前に抗凝固薬(heparin,低分子heparin,warfarin,直接作用型経口抗凝固薬)を服用,退院時に緩和治療をうけている患者。
【患者背景】年齢中央値は再開群65.0歳,非再開群62.0歳(p=0.021)。それぞれの男性66.9%,60.3%。一過性脳虚血発作既往14.2%,10.8%。脳梗塞既往12.1%,11.7%。高血圧90.6%,90.2%。糖尿病45.7%,32.9%(p=0.005)。脂質異常症64.0%,59.6%。冠動脈疾患36.2%,20.1%(p<0.001)。心筋梗塞既往19.7%,9.9%(p=0.001)。心房細動19.7%,10.9%(p=0.005)。
治療法 ICH発症後の抗血小板療法再開の有無により,再開群127例,非再開群732例とした。このうち各群107例を傾向スコアにより合致させた。
追跡完了率
結果

●評価項目
抗血小板療法再開は非再開にくらべ,90日後の機能的転帰良好の割合ならびにBarthel Indexの上昇と関連していたが,そのほかの項目には有意差を認めなかった。
機能的転帰良好:再開群46例(36.5%),非再開群243例(40.8%),p=0.021。
Barthel Index中央値:85,80,p=0.041。
機能的転帰優良:24例(19.1%),137例(23.0%),p=0.195。
死亡:8例(6.4%),41例(6.9%),p=0.908。
EQ-5D中央値:0.71,0.71,p=0.244。
傾向スコア合致後は,すべての項目について有意差はみられなかった。
機能的転帰良好:再開群38例(35.5%),非再開群47例(43.9%),p=0.105。
Barthel Index中央値:85,85,p=0.240。
機能的転帰優良:19例(17.8%),24例(22.4%),p=0.239。
死亡:6例(5.6%),6例(5.6%),p=0.989。
EQ-5D中央値:0.71,0.71,p=0.555。

●有害事象

文献: Chen CJ, et al.; ERICH Investigators. Restarting antiplatelet therapy after spontaneous intracerebral hemorrhage: Functional outcomes. Neurology 2018; 91: e26-e36. pubmed
関連トライアル CHANT antiplatelet use, CROMIS-2 outcome of ICH, ENCHANTED prior antiplatelet therapy, GWTG antiplatelet therapy and ICH, GWTG-Stroke ICH and in-hospital mortality, Kuramatsu JB et al
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