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SAMURAI-NVAF two-year outcomes
結論 二次予防のため直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)を投与されている脳卒中/一過性脳虚血発作(TIA)患者は,warfarin投与例にくらべ若齢で,脳卒中重症度およびリスクスコアが低かった。2年間の推定累積脳卒中/全身性塞栓症発症率は両群で同程度であったが,死亡ならびに頭蓋内出血はDOAC群のほうが少なかった。
コメント  日本の代表的脳卒中センター18施設において,発症7日以内のNVAF合併脳梗塞患者で抗凝固療法をうけた1,192例の長期予後(2年間)を分析した,貴重な研究である。
 虚血性脳卒中/全身性塞栓症発症率は4.3%/年,8.4%/2年と諸外国の報告より低く,死亡率もDOAC群では3.3%/年,ワルファリン群で15.4%/年と低かった。入院中の死亡や抗凝固薬非服用例が除外され,選択バイアスがあるものの,わが国における質の高い治療での経過観察下では,NVAF二次予防患者に対する抗凝固療法で比較的良好な転帰が得られることが明らかになった。(岡田靖

目的 DOACを服用している脳卒中患者について,わが国の実臨床におけるデータは不足している。SAMURAI-NVAFでは以前に短期転帰を報告しているが,本解析ではwarfarinまたはDOACを服用している患者において,2年間の長期リスク・ベネフィットを検討した。有効性主要評価項目:当該脳卒中/TIA発症から2年後の脳卒中または全身性塞栓症。安全性主要評価項目:当該脳卒中/TIA発症から2年後のISTH出血基準大出血
デザイン 前向き,観察的登録研究。NCT01581502,UMIN000006930。
セッティング 多施設(18施設),日本。
期間 登録期間は2011年9月~2014年3月。追跡期間中央値700日。
対象患者 1,192例。虚血性脳卒中/TIAの症状発現から7日以内に入院したNVAF患者。
【除外基準】院内死亡例,退院時にOACを投与されていなかった症例は解析から除外した。
【患者背景】平均年齢*はwarfarin群79.1歳,DOAC群74.5歳。それぞれの男性*51.9%,64.2%。病前modified Rankin Score(mRS)中央値*0,0。当該疾患:TIA 3.5%,5.8%。梗塞サイズ*:小規模22.4%,30.3%,中規模44.4%,56.3%,大規模33.2%,13.4%。入院時のNational Institute of Health stroke scale(NIHSS)中央値*11,4。CHADS2スコア中央値*4,4。CHA2DS2-VAScスコア中央値*6,5。HAS-BLED出血リスクスコア中央値3,3(p=0.002)。当該入院時の血栓溶解療法施行(血栓溶解療法静注/血管内治療)21.5%,24.0%。退院時のmRS中央値*4,1。退院時の抗血小板療法*14.2%,6.2%。*p<0.0001
治療法 OAC実施の判断,薬剤の選択は担当医の裁量とし,急性期病院退院時または入院から30日後の処方により,以下の2群に分けた。
warfarin群:650例。70歳未満ではPT-INR 2.0~3.0,70歳以上では同1.6~2.6となるよう用量調整投与。
DOAC群:466例。dabigatran 203例(150mg 1日2回52例,110mg 1日2回150例,75mg 1日2回1例),rivaroxaban 238例(15mg 1日1回 128例,10mg 1日1回109例,7.5mg 1日1回1例),apixaban 25例(5mg 1日2回17例,2.5mg 1日2回8例)。
追跡完了率 2年の追跡完了は970例(86.9%)。
結果

●評価項目
虚血イベント,大出血について,両群間に差異を認めなかった。
脳卒中/全身性塞栓症:warfarin群5.39%/年,10.50%/2年,DOAC群4.29%/年,8.40%/2年,補正後HR 1.07,95%CI 0.66-1.72。
虚血イベント:11.66%/2年,9.81%/2年,補正後HR 1.13,0.72-1.75。
虚血性脳卒中/TIA:8.33%/2年,8.40%/2年,補正後HR 1.58,0.95-2.62。
大出血:5.70%/2年,2.55%/2年,補正後HR 0.51,0.22-1.08。

頭蓋内出血,死亡はDOAC群のほうがwarfarin群より少なかった。
頭蓋内出血:warfarin群1.40%/年,2.79%/2年,DOAC群0.52%/年,1.03%/2年,補正後HR 0.32,0.09-0.97。
死亡:warfarin群15.36%/年,28.36%/2年,DOAC群3.25%/年,6.38%/2年,補正後HR 0.41,0.26-0.63。
もっとも多かった死因は感染症で,warfarin群の40%,DOAC群の15%を占めた。

●有害事象

文献: Yoshimura S, et al.; SAMURAI Study Investigators. Two-Year Outcomes of Anticoagulation for Acute Ischemic Stroke With Nonvalvular Atrial Fibrillation - SAMURAI-NVAF Study. Circ J 2018; 82: 1935-42. pubmed
関連トライアル AMADEUS relationship of age, ARISTOTLE previous stroke/TIA, Carrero JJ et al, da Vinci, Deguchi I et al, ENGAGE AF-TIMI 48 cerebrovascular events, ENGAGE AF-TIMI 48 previous stroke/TIA, JNAF-ESP, Nielsen PB et al, NOACISP LONG-TERM Registry, NOACのwarfarinに比較しての死亡率抑制効果, North Dublin Population Stroke Study, NVAF患者における周術期転帰:DOACとwarfarinの比較, PROSPER antithrombotic treatment and outcomes, RAF, REAFFIRM, ROCKET AF elderly patients, ROCKET AF intracranial hemorrhage, ROCKET AF temporary interruption
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