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メタ解析
NVAF患者における周術期転帰:DOACとwarfarinの比較
Periprocedural Outcomes of Direct Oral Anticoagulants vs. Warfarin in Non-Valvular Atrial Fibrillation: A Meta-analysis of Phase III Trials
結論 非弁膜症性心房細動(NVAF)患者の周術期において,短期の安全性および有効性は直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)とwarfarinで同程度であった。抗凝固薬を継続するストラテジーにおいて,DOACはwarfarinにくらべ大出血リスクの38%低下と関連していた。
コメント 本研究は,周術期における抗凝固薬継続/中止の有効性・安全性について,RE-LY,ROCKET AF,ARISTOTLE,ENGAGE AF-TIMI 48の4試験のメタ解析により検討したものである。結果の内容については大概理解できるものであったが,一点,試験薬中断のタイミングによる転帰で気になるところがある。それは,3日以上前に中断した場合,大出血はDOACよりもwarfarinで少ないという結果である。ディスカッションではこの点について考察されていないが,可能性の1つとして,DOACは抗凝固作用が術中ほぼ0となっているため,術後再開時に出血が多くなってしまったのではないか。一方,warfarinは3日間の中止であればまだ効果が一部残っているため,術中十分な止血処置がなされたと考えれば合点がいく。(是恒之宏

目的 NVAF患者における脳卒中予防について,DOACはwarfarinに勝る選択肢である。ただし,周術期におけるDOACの転帰はまだよく解明されておらず,医療者の懸念のもととなっている。本メタ解析では,DOACの第III相試験にもとづき,NVAF患者の周術期において,DOACの安全性および有効性をwarfarinと比較した。
方法 PubMed,Medline,Google Scholar,ClinicalTrials.govにて2017年3月まで検索。言語の制限は設けなかった。全論文の文献リストのハンドサーチも行った。
対象:ClinicalTrials.govに登録されている前向き第III相試験の解析またはサブ解析で,以下の項目にすべて合致するもの。(1)18歳以上,(2)侵襲的手技または手術,(3)術前,NVAF患者に対しwarfarinまたはDOAC(apixaban, rivaroxaban, edoxaban, dabigatran)長期投与を比較,(4)術後30日の脳卒中/全身性塞栓症(SSE),大出血,死亡を報告。
主要評価項目:DOACまたはwarfarin継続/中断下における30日後のSSE(有効性),30日後の大出血,死亡(安全性)。
対象 4試験(RE-LYROCKET AFARISTOTLEENGAGE AF-TIMI 48)。
19,353例(手技24,024件)。
主な結果 ・手技/手術の種類
多かったものは消化管内視鏡検査(14.1%),歯科/口腔手技(13.7%),腹部/胸部/整形外科手技(13.7%)であった。

・抗凝固薬を継続するストラテジー
SSE,死亡はDOAC群とwarfarin群で同程度であったが,大出血はDOAC群のほうが少なかった。
SSE:DOAC群29件/手技4,519件(統合発生率0.6%),warfarin群31/2,971件(1.1%),RR 0.70,95%CI 0.41-1.18,I2=0%。
死亡:62/4,457件(1.4%),54/2,971件(1.8%),RR 0.77,0.53-1.12,I2=26.3%。
大出血:97/4,540件(2.0%),98/2,985件(3.3%),RR 0.62,0.47-0.82,I2=0%。

・抗凝固薬を中断するストラテジー
SSE,死亡,大出血について,両群で同程度であった。
SSE:41/9,260件(0.4%),31/7,168件(0.5%),RR 0.95,95%CI 0.59-1.55,I2=0%。
死亡:69/9,260件(0.7%),38/7,168件(0.6%),RR 1.24,0.76-2.04,I2=0%。
大出血:218/9,175件(2.1%),136/7,078件(2.0%),RR 1.05,0.85-1.30,I2=0%。

・試験薬中断のタイミング別による転帰(RE-LY,ROCKET AF,ARISTOTLE)
大出血は,試験薬を手技当日または前日に中断した場合はDOAC群のほうがwarfarin群よりリスクの低減がみられたが,2日以上前の中断では同程度,3日以上前の中断ではwarfarinのほうが安全のようであった。
当日:RR 0.45,95%CI 0.28-0.71。
前日:RR 0.43,0.23-0.82。
2日以上前:RR 0.91,0.46-1.80。
3日以上前:RR 1.39,1.05-1.85。

・ヘパリンブリッジングの有無別による転帰(RE-LY,ARISTOTLE)
ヘパリンブリッジングの有無にかかわらず,SSE,大出血ともDOAC群とwarfarin群の間に有意差を認めなかった。
[ブリッジングあり]SSE:RR 1.20,95%CI 0.28-5.75,大出血:RR 0.93,0.61-1.40。
[ブリッジングなし]SSE:RR 0.9,0.39-2.08,大出血:RR 1.42,0.95-2.14。
文献: Nazha B, et al. Periprocedural Outcomes of Direct Oral Anticoagulants vs. Warfarin in Non-Valvular Atrial Fibrillation: A Meta-analysis of Phase III Trials. Circulation 2018; : . pubmed
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