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Lopes RD et al Effectiveness and Safety of Anticoagulants in Adults with Non-valvular Atrial Fibrillation and Concomitant Coronary/Peripheral Artery Disease
結論 冠動脈疾患(CAD)または末梢動脈疾患(PAD)合併非弁膜症性心房細動(NVAF)患者でのwarfarinとの比較において,apixabanは脳卒中/全身性塞栓症,大出血,全死亡,複合転帰のリスク低下,dabigatranは全死亡,複合転帰のリスク低下,rivaroxabanは脳卒中/全身性塞栓症,全死亡,複合転帰のリスク低下ならびに大出血リスク上昇と関連していた。
コメント  本研究は米国のメディケアデータベースの解析である。日本であればレセプトに基づいた解析と類似している。米国の実態医療では,冠動脈疾患,末梢血管疾患を合併した症例の約半数がワルファリン,30%がリバーロキサバン,17%がアピキサバン,7%がダビガトランを服用している実態がわかる。日本のエドキサバンのランダム化比較試験は米国が主導したが,実質的に米国ではエドキサバンはほとんど使用されていない。本研究はランダム化されていない観察研究なので,イベント発症率の解釈は困難である。対象としたすべてのイベントにおいて,アピキサバン服用例ではワルファリンよりもイベントが少なかった。ダビガトランでは全死亡を含むエンドポイントが少なかった。リバーロキサバンも,すべての対象イベントにおいてワルファリンよりも発症が少なかった。
 米国のメディケアでは薬剤も保険の対象になっているのか否かを筆者は知らない。価格が高いとされる新規の経口抗凝固薬ではあるが,米国では冠動脈疾患,末梢血管疾患を合併した心房細動の半数程度に使用されている。米国での使用の広さは,ワルファリンに比較した新規経口抗凝固薬の有効性,安全性を示している可能がある。(後藤信哉

目的 先行研究より,AF患者の18~45%がCAD,4~17%がPADを合併しているとされている。NVAF患者における脳卒中予防に関しては,warfarinに対する直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)の非劣性は認められているが,CAD/PAD合併NVAF患者における転帰についてはエビデンスが不足している。そこで,リアルワールドでDOACまたはwarfarinを処方されているこれらの患者において,虚血・出血リスクを検討した。主要評価項目:脳卒中/全身性塞栓症,大出血,脳卒中+MI+全死亡,脳卒中+MI+全死亡+血行再建術。
デザイン 後ろ向き観察研究。
セッティング 多施設,米国。
期間 登録期間は2013年1月1日~2015年9月30日。
対象患者 94,435例。当該期間にapixaban,dabigatran,rivaroxaban,warfarinを1回以上処方されている,≧65歳,初回処方前の>12ヵ月継続して保険に加入している,AFおよびCADまたはPADの診断をうけている患者をメディケアの出来高払いデータより特定。
【除外基準】リウマチ性僧帽弁心臓病,当該日の前/当日に弁置換手技施行,静脈血栓塞栓症,一過性AF,当該日の前日または当日に心臓手術施行,ベースラインの12ヵ月にOACが処方されている,当該日に複数のOACが処方されている患者。
【患者背景】[apixaban-warfarin]平均年齢はapixaban群78.9歳,warfarin群79歳。それぞれの男性54.1%,54.9%。平均CHA2DS2-VAScスコア 4.3,4.3。
[dabigatran-warfarin]平均年齢はdabigatran群77.8歳,warfarin群78.2歳。それぞれの男性55.9%,54.8%。平均CHA2DS2-VAScスコア4.3,4.3。
[rivaroxaban-warfarin]平均年齢はrivaroxaban群78.3歳,warfarin群78.5歳。それぞれの男性54.6%,55.2%。平均CHA2DS2-VAScスコア4.3,4.3。
治療法 処方薬はapixaban 15,616例(16.5%),dabigatran 6,966例(7.4%),rivaroxaban 27,209例(28.8%),warfarin 44,644例(47.3%)。
傾向スコアにより,apixaban-warfarinの比較は15,527組,dabigatran-warfarinでは6,962組,rivaroxaban-warfarinでは25,903組を対象とした。
追跡完了率
結果

●評価項目
・apixaban
apixabanはwarfarinにくらべ,以下の項目のリスク低下と関連していた。脳卒中/全身性塞栓症:HR 0.48,95%CI 0.37-0.62,p<0.001。
大出血:HR 0.66,0.58-0.75,p<0.001。
脳卒中/MI/全死亡:HR 0.63,0.58-0.69,p<0.001。
脳卒中/MI/全死亡/血行再建術:HR 0.63,0.58-0.69,p<0.001。
全死亡:HR 0.62,0.56-0.69,p<0.001。

・dabigatran
dabigatranはwarfarinにくらべ,脳卒中/全身性塞栓症,大出血は同程度であった。
脳卒中/全身性塞栓症:HR 0.87,0.64-1.19,p=0.377。
大出血:HR 0.85,0.71-1.02,p=0.077。
脳卒中/MI/全死亡:HR 0.79,0.70-0.90,p<0.001。
脳卒中/MI/全死亡/血行再建術:HR 0.80,0.71-0.91,p<0.001。
全死亡:HR 0.77,0.67-0.89,p<0.001。

・rivaroxaban
rivaroxabanはwarfarinにくらべ,脳卒中/全身性塞栓症リスク低下大出血リスク上昇と関連していた。
脳卒中/全身性塞栓症:HR 0.72,0.60-0.89,p<0.001。
大出血:HR 1.14,1.05-1.23,p=0.002。
脳卒中/MI/全死亡:HR 0.87,0.81-0.92,p<0.001。
脳卒中/MI/全死亡/血行再建術:HR 0.87,0.82-0.93,p<0.001。
全死亡:HR 0.86,0.81-0.93,p<0.001。

●有害事象

文献: Lopes RD, et al. Effectiveness and Safety of Anticoagulants in Adults with Non-valvular Atrial Fibrillation and Concomitant Coronary/Peripheral Artery Disease. Am J Med 2018; : . pubmed
関連トライアル Abraham NS et al, ARISTOTLE cancer, ARISTOTLE concomitant aspirin use, ENGAGE AF-TIMI 48 valvular heart disease, Hernandez I et al, Larsen TB et al, Larsen TB et al, Lip GY et al, REAFFIRM, ROCKET AF elderly patients, ROCKET AF major bleeding, ROCKET AF post hoc analysis, ROCKET AF renal dysfunction, ROCKET AF temporary interruption, Staerk L et al
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