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PICASSO Prevention of Cardiovascular Events in Ischemic Stroke Patients with High Risk of Cerebral Hemorrhage
結論 脳内出血リスクが高い脳梗塞患者に対する心血管イベント予防について,cilostazolはaspirinに対し非劣性を示したが,出血性脳卒中リスクは抑制しなかった。aspirinまたはcilostazolへのprobucol追加は,心血管イベント抑制のベネフィットを有する可能性がある。
コメント 脳出血の既往を有する脳梗塞/TIA患者に対する心血管イベント予防に関して,cilostazolがaspirinに対し非劣性を示した。それに加えて,出血性脳卒中は発症率に有意差はないものの,cilostazol群でaspirin群と比較して発症例数が半減していることは注目に値する。一方,cilostazol群で心筋梗塞が多かった点は注意点である。高濃度で脳出血のリスクが上昇することが報告されているstatinと異なり,probucolで脳出血が増加しなかった点も重要な知見である。(矢坂正弘

目的 脳内出血リスクが高い脳梗塞患者に対する至適治療は,まだ確立されていない。脳梗塞患者は冠動脈疾患患者と異なり,抗血小板作用を強めると脳内出血リスクが上昇してしまう。本試験では主要血管イベント予防について,(1)cilostazolはaspirinと有効性は同等,安全性はすぐれる,(2)probucolのcilostazolまたはaspirinへの追加は両剤単独にくらべすぐれるという仮説を検証した。有効性主要評価項目:主要血管イベント(脳卒中+心筋梗塞[MI]+血管死)初発までの時間。安全性主要評価項目:脳内出血(CT/MRIで確認された自然発症脳内出血,くも膜下出血を含む)初発までの時間。
デザイン ランダム化,2×2ファクトリアル試験。抗血小板療法は二重盲検,非劣性試験(非劣性マージン1.25),脂質降下療法はPROBE法。NCT01013532。
セッティング 多施設(67施設),3ヵ国(韓国,中国[香港],フィリピン)。
期間 登録期間は2009年8月1日~2015年8月31日。追跡期間中央値1.9年。
対象患者 1,534例。>20歳,試験登録前の180日間に非心原性塞栓症/一過性脳虚血発作(TIA)がない,6ヵ月以上前の脳内出血既往を有する(臨床/放射線上の所見があるか,脳微小出血を複数有する)脳梗塞/TIA患者。明らかな脳内出血既往はないが,MRI上でスリット状曲線病変として偶然発見された無症候性脳内出血患者も対象に含めた。
【除外基準】登録前の6ヵ月間に脳内出血発症,長期抗血小板療法禁忌,重篤な心筋症/うっ血性心不全,スクリーニング前の4週間にMI発症または冠動脈手技を施行。
【患者背景】平均年齢はcilostazol群65.5歳,aspirin群65.8歳。それぞれの男性62%,62%。高血圧89%,89%。糖尿病32%,33%。脂質異常症43%,44%。当該イベント:脳梗塞95%,94%,TIA 5%,6%。ランダム化までの経過日数中央値18日,17日。脳内出血高リスク:脳内出血既往18%,19%,脳内出血の放射線的所見22%,21%,複数の脳微小出血59%,60%。
治療法 患者を施設で層別化し,1:1:1:1でcilostazol 単独群(380例),aspirin単独群(386例),cilostazol+probucol群(386例),aspirin+probucol群(382例)の4群にランダム化した。
cilostazol群:755例。100mg 1日2回投与。
aspirin群:757例。100mg 1日1回投与。
probucol群:756例。250mg 1日2回投与。
追跡完了率 追跡不能は12例。
結果

●評価項目
有効性主要評価項目はcilostazol群63例(4.27%/年),aspirin群80例(5.33%/年)で,非劣性は認められたが,優越性は認めなかった(HR 0.80,95%CI 0.57-1.11,非劣性p=0.0077,優越性p=0.18)。
安全性主要評価項目はcilostazol群9例(0.61%/年),aspirin群18例(1.20%/年)で,同程度であった(HR 0.51,97.5%CI 0.20-1.27,優越性p=0.18)。
[脂質降下療法]
有効性主要評価項目はprobucol群60例(3.91%/年),非probucol群83例(5.75%/年)で,probucolの優越性が認められた(HR 0.69,95%CI 0.50-0.97,優越性p=0.0316)。
安全性主要評価項目はprobucol群11例(0.72%/年),非probucol群16例(1.11%/年)で,同程度であった(HR 0.65,97.5%CI 0.27-1.57,優越性p=0.55)。

●有害事象
有害イベントは4群で同程度であった。もっとも多かったイベントはめまい,頭痛,下痢,便秘。

文献: Kim BJ, et al.; PICASSO investigators. Prevention of cardiovascular events in Asian patients with ischaemic stroke at high risk of cerebral haemorrhage (PICASSO): a multicentre, randomised controlled trial. Lancet Neurol 2018; 17: 509-18. pubmed
関連トライアル AAA, ACTIVE W, aspirinの一次および二次予防効果(ATT), ATLAS ACS-TIMI 46 , AVERROES previous stroke/TIA, BAFTA, CAPRIE 1996, CASISP, COMPASS CAD, COMPASS PAD, CROMIS-2, CSPS 2, DIAS-3, EAFT 1993, EARLY, ESPRIT , ESPRIT 2006, FASTER, GEMINI-ACS-1, JPAD2, JPPP, NOR-TEST, PATCH, PERFORM, PRoFESS disability and cognitive function, PROTECT AF, RE-LY previous TIA or stroke, SMART-DATE, SOCRATES subgroup analysis, TARDIS, TRA 2P-TIMI 50 previous myocardial infarction
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