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Lau KK et al Antiplatelet Treatment After Transient Ischemic Attack and Ischemic Stroke in Patients With Cerebral Microbleeds in 2 Large Cohorts and an Updated Systematic Review
結論 5個以上の脳微小出血を有する白人および中国人コホートにおいて,一過性脳虚血発作(TIA)/脳梗塞後の1年間抗血小板療法を差し控えることは不適切と考えられた。しかしながら,脳内出血(ICH)のリスクはその後のどのようなベネフィットをも上回る可能性がある。
コメント 脳梗塞再発率は発症後がもっとも高く,徐々に低下すること,出血性脳卒中の一番のリスクは高血圧である。これらを考慮すると,微小出血が5個以上の脳梗塞/TIA症例では,少なくとも発症後1年間は血圧管理を十分に行いながら抗血栓療法を考慮すべきであろう。一方,1年以降に関しては,十分な降圧療法の下で抗血栓療法行うことで,出血性脳卒中を起こさずに虚血性脳卒中を予防し得るか否かの研究が必要であろう。(矢坂正弘

目的 TIA/脳梗塞患者において,脳微小出血の数はICHや脳梗塞の予測因子となるが,抗血小板療法の影響は不明である。先行のコホート研究では,リスクの時間的経過を評価するには追跡期間が不十分であり,また抗血栓療法の層別化がなく,頭蓋外出血や機能的転帰に関するICHと脳梗塞の比較もなかった。本研究では,脳微小出血を有するTIA/脳梗塞患者に関する2つの前向きコホート研究において,再発イベントの時間的経過ならびに重症度を検討した。
デザイン 登録研究。
セッティング 多施設,2ヵ国・地域(英国,香港)。
期間 平均追跡期間43ヵ月(7,433患者・年)。
対象患者 2,083例。Oxford Vascular Study(OXVASC)*1,香港大学(HKU)研究*2より登録された,TIA/脳梗塞と推定または確定された患者。
*1:英国オックスフォードシャー州における進行中の地域住民ベースの研究で,おもに白人の急性血管イベント患者92,728例を含む。本研究の対象患者は,2004年11月~2014年9月に登録された,MRIで確定されたTIA/脳梗塞患者連続例1,080例(TIA 572例+脳梗塞508例)。
*2:本研究の対象患者は,2008年3月~2014年9月,MRIをうけ脳梗塞と診断された患者連続例1,003例。おもに中国人。
【除外基準】追跡データ不完全例。
【患者背景】平均年齢はOXVASC登録患者68歳,HKU登録患者69歳。それぞれの男性52%,60%(p=0.001)。TIA/脳卒中既往19%,15%(p=0.047)。
治療法 イベント後の抗血栓療法は以下の通り。
抗血小板薬単剤療法はOXVASC例677例(63%),HKU例725例(72%)*3,抗血小板薬2剤併用療法272例(25%),137例(14%)*3,warfarin単独105例(10%),50例(5%)*4,非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬単独6例(1%),35例(4%)*3
*3p<0.0001,*4p=0.001
追跡完了率
結果

●評価項目
脳微小出血はHKU例のほうがOXVASC例にくらべ多かったが(45% vs. 15%,p<0.0001),脳微小出血のリスク因子は同様であった。
抗血小板療法が行われていた1,811例(抗凝固薬併用例は除外)において,頭蓋外大出血リスクは脳微小出血の数と関連していなかったが(傾向p=0.87),5年間のICHリスクは,5個以上の脳微小出血を有する患者では強い関連がみられた(傾向p<0.0001)。
しかしながら,脳梗塞リスクも脳微小出血の数の増加にしたがい上昇し(傾向p=0.013),それらの脳梗塞および冠イベントのリスクは初年度ではICH・頭蓋外大出血リスクより大きかった(脳微小出血5個以上の患者では11.6% vs. 3.9%)。ただし,この比率は経時的に変化し,1年後では出血リスク(11.2%)は虚血イベント(12.0%)に匹敵していた。
さらに,脳微小出血の数と脳梗塞リスクの関連はおもに後遺障害のないイベントであるのに対し(傾向p=0.007),ICHの関連は後遺障害のある/致死的イベントであった(傾向p<0.0001,脳微小出血5個以上において,後遺障害のある/致死的ICHイベント82%,後遺障害のある/致死的脳梗塞40%,mRSシフトOR 6.75,1.14-39.80,p=0.035)。

●有害事象

文献: Lau KK, et al. Antiplatelet Treatment After Transient Ischemic Attack and Ischemic Stroke in Patients With Cerebral Microbleeds in 2 Large Cohorts and an Updated Systematic Review. Stroke 2018; 49: 1434-42. pubmed
関連トライアル AFを有する脳梗塞患者における脳微小出血,抗凝固療法,出血リスク, aspirin服用中の脳卒中患者に対する抗血小板療法, CRCS-K, CROMIS-2, Flynn RW et al, OXVASC age-specific risks of bleeding, REAFFIRM, 急性脳梗塞/TIA患者への抗血小板療法:2剤併用療法と単剤療法の比較, 急性脳梗塞/TIA患者への抗血小板療法:2剤併用療法と単剤療法の比較(2013), 血栓溶解療法後の脳微小出血,脳内出血,機能的転帰, 抗血栓薬使用,脳内微小出血および脳内出血
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