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EXTEND-IA TNK Tenecteplase versus Alteplase before Endovascular Therapy for Ischemic Stroke
結論 症状発現から4.5時間以内の脳梗塞患者において,血栓除去術施行前のtenecteplase静注はalteplaseにくらべ,再灌流率上昇ならびに機能的転帰良好と関連していた。
コメント 内頸動脈や中大脳動脈(M1,M2),脳底動脈閉塞を有する脳梗塞症例を対象に行われたrt-PA静注療法を2剤で比較した結果,50%以上の血流回復と90日後のmRSがalteplase群と比較しtenecteplase 群で有意に優れており,死亡率や症候性脳内出血発症率に有意差はなかった。tenecteplaseの本邦での早期導入が期待される。(矢坂正弘

目的 alteplaseは,脳梗塞に対する血管内血栓除去術施行前の血栓溶解療法として,約1時間かけて静注される。tenecteplaseはalteplaseよりフィブリン特異性が強く,半減期が長いことからボーラス投与が可能であり,血管再灌流率を上昇させる可能性がある。本試験では,脳卒中発症後4.5時間以内の血管内血栓除去術施行前の患者において,tenecteplaseの有効性および安全性をalteplaseと比較した。有効性主要評価項目:当該虚血領域の50%以上の血流回復,または初回血管造影時に回収可能な血栓がないこと。有効性副次評価項目:90日後のmodified Rankin Score(mRS),早期神経学的改善(72時間後のNational Institute of Health stroke scale[NIHSS]スコアの8点以上の低下または0~1点への改善)。安全性主要評価項目:死亡および症候性脳内出血。
デザイン PROBE法,非劣性試験(非劣性マージン:差の95%CI下限値-2.3パーセントポイント)。tenecteplaseの非劣性が示された場合は優越性を検定。intention-to-treat解析およびper-protocol解析(主要評価項目の解析に関し,per-protocol解析からの除外患者なし)。NCT02388061。
セッティング 多施設(13施設),2ヵ国(オーストラリア,ニュージーランド)。
期間 登録期間は2015年3月~2017年10月。
対象患者 202例。脳梗塞発症から4.5時間以内に静注血栓溶解療法が施行可能,CTにて内頸動脈/中大脳動脈第1セグメント/同第2セグメント/脳底動脈に閉塞がある,発症から6時間以内に血管内血栓除去術が施行可能な症例。年齢の上限,脳卒中重症度の制限は設けなかった。
【除外基準】脳卒中前の重度障害(mRS>3)。
【患者背景】平均年齢はtenecteplase群70.4歳,alteplase群71.9歳。それぞれの男性57%,51%。NIHSS中央値17,17。脳卒中の原因:心原性46%,53%,大血管閉塞21%,18%,不明/その他34%,29%。発症-静注血栓溶解療法開始時間中央値125分,134分。静注血栓溶解療法開始-動脈穿刺時間中央値43分,42分。閉塞部位:内頸動脈24%,24%,脳底動脈3%,3%,中大脳動脈第1セグメント58%,59%,同第2セグメント15%,14%。
治療法 以下の2群にランダム化。
tenecteplase群:101例。0.25mg/kg,最大25mg静注。
alteplase群:101例。0.9mg/kg,最大90mg静注。
追跡完了率
結果

●評価項目
主要評価項目はtenecteplase群22例(22%)のほうがalteplase群10例(10%)より多く,非劣性基準に合致した(差12パーセントポイント,95%CI 2-21,非劣性p=0.002)。優越性も認められた(補正後OR 2.6,95%CI 1.1-5.9,優越性p=0.02)。
90日後の機能的転帰(mRS中央値)はtenecteplase群(2)のほうがalteplase群(3)より良好であった(OR 1.7,95%CI 1.0-2.8,p=0.04)。
早期神経学的改善はtenecteplase群72例(71%),alteplase群69例(68%)(補正後OR 1.1,95%CI 0.6-2.1,p=0.70)。
死亡は10例(10%),18例(18%)(補正後OR 0.4,95%CI 0.2-1.1,p=0.08)。
症候性脳内出血は1例(1%),1例(1%)(補正後OR 1.0,95%CI 0.1-16.2,p=0.99)。

●有害事象

文献: Campbell BCV, et al.; EXTEND-IA TNK Investigators. Tenecteplase versus Alteplase before Thrombectomy for Ischemic Stroke. N Engl J Med 2018; 378: 1573-82. pubmed
関連トライアル alteplase静注における治療時間の遅れ,年齢,脳卒中重症度の影響, alteplase投与後の脳内出血リスク(STT二次解析), Cappellari M et al, CLEAR III, ECASS III, ECASS III additional outcomes, ENCHANTED, ENCHANTED prior antiplatelet therapy, ENCHANTED renal impairment, EPITHET, ESCAPE, HERMES, IMS III, IST-3 three year follow-up, J-ACT, J-MARS, Kim BJ et al, NOR-TEST, Power A et al, SAINT postthrombolysis ICH, SITS-ISTR unknown-onset stroke, SITS-ISTR elderly, SITS-ISTR weight >100kg, SITS-MOST multivariable analysis, SWIFT PRIME, SYNTHESIS Expansion, WAKE-UP, 急性脳梗塞に対する血管内治療と薬物療法の比較, 内頸動脈閉塞に続発する脳梗塞に対するtPA静注および動脈内血管内療法, 脳卒中発症後の機能的転帰の分布に対するalteplaseの影響
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