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Kurmann R et al
結論 本研究より,喫煙している脳卒中患者における血栓溶解療法後の転帰良好はおもにベースライン時の患者特性に由来し,喫煙の生物学的効果とは関連しないことが示唆された。喫煙者の再開通率が高かったことについては,更なる研究が必要である。

目的 喫煙が脳卒中の予後におよぼす影響については議論の的になっているが,最近の研究では,喫煙者では血栓溶解療法後の再開通率が高く,脳内出血リスクが低下し,転帰が良好と報告されている。本研究では,それらの観察結果は喫煙の生物学的作用ではなく,ベースライン時の臨床特性の差によるものであるという仮説を検討した。評価項目:3ヵ月後の転帰良好(modified Rankin Score(mRS) 0~1),死亡,SITS-MOST定義症候性脳内出血
デザイン 観察的コホート研究。
セッティング 多施設(4施設),スイス。
期間 追跡期間は3ヵ月。
対象患者 1,865例。血栓溶解療法(alteplase)静注をうけた虚血性脳卒中患者。タバコを吸っていると回答した患者を喫煙者とした。
【除外基準】喫煙および3ヵ月後の転帰に関するデータが得られなかった症例。
【患者背景】平均年齢*は喫煙者63.5歳,非喫煙者71.3歳。それぞれの男性*72.1%,56.0%。高血圧**61.3%,70.1%。糖尿病19.0%,16.1%。脳卒中発症時の抗血小板療法39.0%,46.7%(p=0.008)。冠動脈疾患19.8%,20.1%。心房細動*22.7%,35.6%。平均NIHSSスコア11.0,11.4。平均発症-治療時間159.3分,160.1分。脳卒中の原因*:アテローム血栓性17.4%,11.6%,心原性塞栓症35.0%,48.2%,小血管疾患7.8%,4.4%,その他7.6%,6.4%,不明32.2%,29.4%。
*p<0.001,**p=0.001
治療法 European Stroke Organizationの基準にしたがい血栓溶解療法静注。
追跡完了率
結果

●評価項目
369例(19.8%)が喫煙者であった。
喫煙者は非喫煙者にくらべ,3ヵ月後の転帰良好が多く,死亡率が低かった。症候性脳内出血は同程度であった。
転帰良好:169例(45.8%)vs. 591例(39.5%),p=0.029。
死亡率:36例(9.8%)vs. 237例(15.8%),p=0.003。
症候性脳内出血:11例(3.0%)vs. 56例(3.8%),p=0.536。
交絡因子を補正後,喫煙と転帰との関連は認められなかった。
臨床転帰:OR 1.20,95%CI 0.91-1.61,p=0.197。
死亡:OR 1.08,95%CI 0.68-1.71,p=0.755。
症候性脳内出血:OR 1.08,95%CI 0.52-2.26,p=0.833。
中大脳動脈M1閉塞患者において,喫煙は中大脳動脈再開通の独立予測因子であった(OR 2.68,95%CI 1.11-6.43,p=0.028)。

●有害事象

文献: Kurmann R, et al. Impact of Smoking on Clinical Outcome and Recanalization After Intravenous Thrombolysis for Stroke: Multicenter Cohort Study. Stroke 2018; 49: 1170-5. pubmed
関連トライアル DIAS-4, ENCHANTED renal impairment, ICARO-2, Manawadu D et al, REVASK, Sarikaya H et al (obese), Sarikaya H et al (posterior circulation stroke), SITS-ISTR importance of recanalization, SITS-ISTR unknown-onset stroke, SITS-ISTR blood pressure, SITS-ISTR early neurological improvement, SITS-ISTR sex differences, SITS-MOST multivariable analysis, Strbian D et al Ultra-Early Thrombolysis, TIMS-China smoking-thrombolysis relationship, Turc G et al, 前方循環閉塞に対する血栓溶解療法
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