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CROMIS-2
結論 最近の虚血性脳卒中/一過性脳虚血発作(TIA)発症後に抗凝固療法をうけている非弁膜症性心房細動(NVAF)患者において,脳微小出血の存在は症候性頭蓋内出血と独立して関連しており,抗凝固療法の決断をする一助となりうると考えられた。経口抗凝固療法による正味の害がある患者を特定するためには,脳微小出血を組み入れた頭蓋内出血リスクスコアを改良・検証する大規模な観察研究が必要である。
コメント 非弁膜症性心房細動(NVAF)患者に対して,MRIによる脳微小出血の有無と頭蓋内出血の発症リスクを検討した多施設前向き研究である。HAS-BLEDスコア単独よりも脳微小出血の存在,糖尿病の合併も考慮した方がよりよい予測スコアになることを示した点に新規性がある。VKA服用とDOAC服用との差異については十分分析されておらず,今後の課題である。(岡田靖

目的 脳微小出血は,頭蓋内出血を起こしやすい脳小血管病の潜在的画像バイオマーカーであり,虚血性脳卒中および心房細動患者の約30%に認められると報告されている。本研究では,最近の虚血性脳卒中/TIA発症後,抗凝固療法をうけている心房細動患者において,脳微小出血が症候性頭蓋内出血リスク上昇と独立して関連しているかどうか検討を行った。主要評価項目:24ヵ月後の症候性頭蓋内出血。
デザイン 観察的前向きコホート研究。NCT02513316。
セッティング 多施設(80施設),2ヵ国(英国,オランダ)。
期間 登録期間は2011年8月3日~2015年7月31日。平均追跡期間850日(3,366患者・年)。
対象患者 1,490例。≧18歳,心電図で確認されたNVAF患者で,虚血性脳卒中またはTIAを有し,担当医より抗凝固療法の適応と判断された症例。
【除外基準】MRI施行不能,抗凝固療法禁忌,以前に治療用量の抗凝固療法をうけていた症例。
【患者背景】平均年齢は脳微小出血群78歳,脳微小出血なし群75歳。それぞれの女性41%,43%。高血圧70%,62%。脂質異常症47%,44%。糖尿病18%,17%。虚血性脳卒中既往13%,9%。脳内出血既往1%,<1%。HAS-BLED出血リスクスコア中央値3,3。CHA2DS2-VAScスコア中央値5,5。
治療法 対象患者のうち,1,436例(96%)が実際に抗凝固療法を開始した。脳卒中発症から抗凝固療法開始までの期間は中央値11日で,894例(60%)にビタミンK拮抗薬,542例(36%)に直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)が投与された。
追跡完了率 追跡完了は1,447例(97%)。
結果

●評価項目
脳微小出血は311例(21%)に認められた(個数の中央値1,IQR 1-3)。
症候性頭蓋内出血は,脳微小出血群9.8/1000患者・年(95%CI 4.0-20.3)で,脳微小出血なし群2.6/1000患者・年(95%CI 1.1-5.4)にくらべ多かった(補正後HR 3.67,95%CI 1.27-10.60)。
症候性頭蓋内出血リスクは,脳微小出血の増加にしたがい上昇した(p=0.017)。
虚血性脳卒中再発は,脳微小出血群24.1/1000患者・年(95%CI 14.1-38.7),脳微小出血なし群15.0/1000患者・年(95%CI 10.6-20.4)で,有意差は認められなかった(補正後HR 1.53,95%CI 0.85-2.76)。

HAS-BLED出血リスクスコア単独(C-index 0.41,95%CI 0.29-0.53)にくらべて脳微小出血+HAS-BLED出血リスクスコア(0.66,0.53-0.80),脳微小出血+糖尿病+DOAC使用+HAS-BLED出血リスクスコア(0.74, 0.60-0.88)は症候性頭蓋内出血リスクをより良好に予測した(それぞれについて,C-indexの差0.25,95%CI 0.07-0.43,p=0.0065,0.33, 0.14-0.51, p=0.00059)。

●有害事象

文献: Wilson D, et al.; CROMIS-2 collaborators. Cerebral microbleeds and intracranial haemorrhage risk in patients anticoagulated for atrial fibrillation after acute ischaemic stroke or transient ischaemic attack (CROMIS-2): a multicentre observational cohort study. Lancet Neurol 2018; 17: 539-47. pubmed
関連トライアル alteplase静注における治療時間の遅れ,年齢,脳卒中重症度の影響, ARISTOTLE previous stroke/TIA, ARISTOTLE risk score, AVERROES previous stroke/TIA, BAFTA, CASISP, EAFT 1993, ENGAGE AF-TIMI 48 dose and outcomes, ESPRIT , IST-3, IST-3 brain imaging signs, Kumar S et al, Larsen TB et al, PREVAIL, RAF, RE-LY previous TIA or stroke, REAFFIRM, ROCKET AF intracranial hemorrhage, ROCKET AF temporary interruption, Swedish Atrial Fibrillation cohort study
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