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Hoyer C et al Impact of pre-admission treatment with non-vitamin K oral anticoagulants on stroke severity in patients with acute ischemic stroke
結論 脳梗塞患者において,入院前の非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)服用による好影響が認められた。これは,脳卒中既往率が高かったこと,血栓溶解療法施行率が低かったことを考慮すると,注目に値する。
コメント 脳梗塞発症時に直接経口抗凝固薬内服中の症例は,抗凝固療法を行っていない状況で発症した脳梗塞症例よりも,NIHSSが入院時に有意に低く,退院時に低い傾向があったという。これは,ワルファリン療法中に治療域で発症した症例では神経重症度が軽く,脳梗塞サイズが小さいというこれまでの報告と似ている。抗凝固療法中は形成される血栓が小さかったり,凝固系が抑制され線溶系が相対的に優位になり閉塞した栓子が溶解しやすいことや,トロンビンを介する炎症作用の抑制などが,軽症脳梗塞と関連すると推察される。(矢坂正弘

目的 非弁膜症性心房細動(NVAF)患者の脳卒中予防において,NOACの重要性は増してきている。処方の変化やNVAF患者数の増加にともない,NOAC服用中の脳梗塞発症数の増加が見込まれる。NOACが脳卒中重症度および転帰におよぼす潜在的影響に関するデータは少ないが,最近の研究では好ましい効果が示唆されている。本研究では,NOAC服用中に発症した脳梗塞患者は服用していない患者にくらべ,神経学的欠損の重症度が低いという仮説を検討した。
デザイン 登録研究の後ろ向き解析。
セッティング 単施設,ドイツ。
期間 登録期間は2015年1月~2016年12月。
対象患者 376例。新規または既知のAF患者で,脳梗塞のため入院した症例。
【除外基準】ビタミンK拮抗薬服用例,出血性脳卒中。
【患者背景】平均年齢はNOAC群79.2歳,OACなし群79.4歳。それぞれの男性47.5%,45.5%。高血圧86.9%,85.6%。糖尿病28.3%,31.8%。脂質異常症30.3%,27.1%。冠動脈疾患33.3%,23.5%。心筋梗塞既往17.2%,10.5%。脳卒中既往45.5%,18.4%(p<0.001)。現喫煙1.0%,7.2%(p=0.021)。CHA2DS2-VAScスコア中央値5,4(p=0.0012)。抗血小板療法12.1%,44.4%(p<0.001)。
治療法 脳梗塞発症前の経口抗凝固療法の有無別に解析を行った。
NOAC群:99例。薬剤の内訳は,dabigatran 16例(16.2%),rivaroxaban 49例(49.5%),apixaban 33例(33.3%),edoxaban 1例(1.0%)。
OACなし群:277例。脳梗塞発症前のOACの処方なし。
追跡完了率
結果

●評価項目
AFが新規に診断されたのは155例,既知であったのは221例で,既知のAFのうち99例(44.8%)が入院時にNOACを服用していた。添付文書通りの用量が投与されていたのは66例(66.7%)であった。
NOAC群はOACなし群にくらべ,入院時のNational Institute of Health stroke scale(NIHSS)(6 vs. 10,p= 0.018),入院時のmRS(4 vs. 5,p=0.035)が低く,退院時のNIHSSが低い傾向がみられた(3 vs. 5,p=0.057)。退院時のmodified Rankin Score(mRS)は同程度であった(4 vs. 4,p=0.132)(ここまですべて中央値)。
NOAC群47.5%,OACなし群45.5%が発症後4.5時間以内に来院した。NOAC群はOACなし群にくらべ,血栓溶解療法静注施行率が低かった(8.1% vs. 33.8%,p<0.001)。血管内治療は同程度であった(10.1% vs. 10.8%,p=0.84)。
全血管閉塞はNOAC群のほうが少ない傾向がみられたが(24.2% vs. 33.9%,p=0.079),近位部血管閉塞(内頸動脈,中大脳動脈M1,脳底動脈)は同程度であった(17.2% vs. 21.3%,p=0.466)。
実質性脳内出血はNOAC群7.1%,OACなし群7.6%で,有意差を認めなかった(p=1.00)。

●有害事象

文献: Hoyer C, et al. Impact of pre-admission treatment with non-vitamin K oral anticoagulants on stroke severity in patients with acute ischemic stroke. J Thromb Thrombolysis 2018; 45: 529-35. pubmed
関連トライアル Caprio FZ et al, Chang SH et al, da Vinci, GWTG-Stroke NOAC before stroke, GWTG-Stroke ICH and in-hospital mortality, Hellwig S et al, Larsen TB et al, Nomura E et al, ORBIT-AF II Registry off-label dosing, PROSPER antithrombotic treatment and outcomes, REAFFIRM, Sakamoto Y et al, Tziomalos K et al, Yao X et al, 心房細動およびVTE患者におけるNOACの大出血関連致死率
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