抗血栓トライアルデータベース
home
テキストサイズ
SMART-DATE Safety of 6-month Duration of Dual Antiplatelet Therapy after Acute Coronary Syndromes
結論 現世代の薬剤溶出性ステント(DES)を留置した急性冠症候群(ACS)患者において,6ヵ月の抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)は12ヵ月以上のそれに対し,主要有害心脳血管イベントについては非劣性を示した。しかし,心筋梗塞(MI)リスクが上昇し,かつ非劣性マージンが広かったため,6ヵ月のDAPTが安全であると結論することはできなかった。12ヵ月以上のDAPTと6ヵ月のDAPTで出血リスクが同等であったことから,これまでに引き続き,12ヵ月以上のDAPTを標準治療とするべきである。
コメント ST上昇型あるいは非上昇型の急性心筋梗塞や不安定狭心症患者に第2世代のステントを留置した場合,DAPTの期間はガイドラインが示す12ヵ月ではなく6ヵ月の短期間治療でも,18ヵ月後の虚血/出血イベントに差がないか,オープンの非劣性試験で検証したものである。韓国で行われた試験なので興味深い。無作為化は,PCI後6ヵ月ではなく,インターベンション時に行った。したがって,実際には6ヵ月以降も,6ヵ月群の中にDAPT症例が1,300例中300例ほどあったようである。結果は複合エンドポイントMACEに対し非劣性が証明された。しかし,HRは1.13と6ヵ月DAPT群が劣っており,しかも非劣性マージンをイベント発症率4%に対し2%とかなり大きくとっていること,オープン試験によるプロトコール違反が相当数存在すること,心筋梗塞発症は有意に劣っていたこと(1.8% vs 0.8%)を考えると,出血リスクに差がない以上6ヵ月DAPTで安全とはいえないと解釈される。心筋梗塞の責任病変は,ステント血栓症ではなくculprit lesionとは別の部位であった。ACS患者の冠動脈がいかにもハイリスクであることを示している。また,12ヵ月群でみると心筋梗塞は10例(0.8%)に対し,脳卒中は12例(0.9%)に発症しており,アジア人冠動脈疾患患者における脳血管障害の相対的重要性を示唆している。(島田和幸

目的 ACS患者は安定虚血性心疾患患者にくらべ,虚血イベントの再発リスクが高い。したがって,ACC/AHAやESCのガイドラインでは,ACS患者では禁忌がない限り,aspirin+P2Y12阻害薬による12ヵ月以上のDAPTが推奨されている。しかし,経皮的冠インターベンション(PCI)を施行したACS患者におけるDAPTの至適期間については,議論が続いている。本研究では,さまざまなACS患者において,現世代のDESを留置後18ヵ月時に6ヵ月のDAPTが従来の12ヵ月以上のそれに対して非劣性を示すかを検討した。主要評価項目:当該手技から18ヵ月後の主要有害心脳血管イベント(全死亡+MI+脳卒中の複合)。
デザイン PROBE,非劣性試験。intention-to-treat解析。NCT01701453。
セッティング 多施設(31施設),韓国。
期間 登録期間は2012年9月5日~2015年12月31日。
対象患者 2,712例。不安定狭心症,非ST上昇型MI(NSTEMI),ST上昇型MI(STEMI)で,非保護冠動脈に2.25~4.25mmかつ狭窄率>50%の病変を1つ以上有し,ステントを用いたPCIが適応の症例。
【除外基準】aspirin,clopidogrel,heparin,biolimus,everolimus,zotarolimus,造影剤に対する既知の過敏症または禁忌,活動性の病的出血,大出血から3ヵ月以内,大手術から2ヵ月以内,出血性素因の既往または既知の凝固障害,余命<2年,12ヵ月以内に待機的手術の予定。
【患者背景】平均年齢は6ヵ月群62.0歳,12ヵ月以上群62.2歳。それぞれの男性74.9%,75.9%。糖尿病26.9%,28.1%。高血圧49.9%,48.7%。脂質異常症24.2%,25.2%。現喫煙38.0%,40.1%。MI既往2.3%,1.7%。脳血管疾患3.9%,4.4%。臨床症状:STEMI 37.5%,38.9%,NSTEMI 31.5%,31.4%,不安定狭心症31.0%,30.7%。
治療法 登録施設,臨床症状(不安定狭心症,NSTEMI,STEMI),糖尿病により層別化後,以下の2群にランダム化。
6ヵ月群:1,357例。aspirin+P2Y12阻害薬併用を6ヵ月投与後,aspirin単独投与。
12ヵ月群以上:1,355例。DAPT期間12ヵ月。
ステントの種類(zotarolimus,everolimus,biolimus A9)についてもランダム化を行った。
抗血小板薬を投与されていない場合を除き,PCI施行12時間前までにaspirin 300mgおよびclopidogrel負荷用量300mgまたは600mgを経口投与した。PCI後は,aspirin 100mg 1日1回(無期限)+clopidogrel 75mg 1日1回(ランダム化された治療期間)を併用投与。2014年12月以降は,clopidogrelのかわりにprasugrel(60mg経口投与後,10mg/日),ticagrelor(180mg経口投与後90mg 1日2回)の使用も可能とした。P2Y12阻害薬のうちclopidogrelの割合は6ヵ月群79.7%,12ヵ月以上群81.8%。
追跡完了率 主要評価項目の追跡完了率97.5%。
結果

●評価項目
主要評価項目は,6ヵ月群63例(4.7%),12ヵ月以上群 56例(4.2%)(絶対リスク差0.5%,片側95%CI の上限1.8%,非劣性p=0.03[非劣性マージン2.0%])。
全死亡,脳卒中は両群で同程度であったが,MIは6ヵ月群のほうが多かった。
全死亡:6ヵ月群35例(2.6%),12ヵ月群39例(2.9%),HR 0.90,95%CI 0.57-1.42,p=0.90。
脳卒中:11例(0.8%),12例(0.9%),HR 0.92,0.41-2.08,p=0.84。
MI:24例(1.8%),10例(0.8%),HR 2.41,1.15-5.05,p=0.02。
また,ステント血栓症,出血は両群で同程度であった。
ステント血栓症(ARC definite/probable基準):15例(1.1%),10例(0.7%),HR 1.50,0.68-3.35,p=0.32。
BARC出血基準タイプ2~5の出血:35例(2.7%),51例(3.9%),HR 0.69,0.45-1.05,p=0.09。
per-protocol解析の結果はintention-to-treat解析と同様であった。

●有害事象
両群で同等。

文献: Hahn JY, et al.; SMART-DATE investigators. 6-month versus 12-month or longer dual antiplatelet therapy after percutaneous coronary intervention in patients with acute coronary syndrome (SMART-DATE): a randomised, open-label, non-inferiority trial. Lancet 2018; 391: 1274-1284. pubmed
関連トライアル ADAPT-DES, After Eighty study, ANTARCTIC, ARCTIC-Interruption, ATOLL, DAPT BMS or DES, DESを留置された糖尿病/非糖尿病患者におけるDAPT期間の比較, DES留置とDAPT実施期間, DES留置後のDAPTの至適期間, DES留置後のDAPT期間:短期と長期の比較, DES留置後長期DAPTによる死亡率, EXCELLENT, FREEDOM DAPT vs. aspirin monotherapy, GEMINI-ACS-1, ISAR-SAFE, ISAR-TRIPLE, ITALIC, OPTIMIZE, PARIS, PATCH, PCI施行ACS患者のDAPT実施期間, PRODIGY type of stent, PRODIGY impact of clinical presentation, PRODIGY in-stent restenosis, RESET, SECURITY, TOPIC, TRILOGY ACS secondary analysis , TRITON-TIMI 38 PCI, Varenhorst C et al, 複雑PCI施行後のDAPTの有効性および安全性
関連記事