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GWTG-Stroke ICH and in-hospital mortality
結論 脳内出血(ICH)患者において,ICH発現前の非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)またはwarfarinの使用は,院内死亡リスク上昇と関連していた。NOAC使用はwarfarin使用にくらべ,院内死亡リスク低下と関連していた。
コメント Get with the Guideline-Strokeの大規模データを用いた,抗凝固療法中の脳出血患者の院内死亡率に関する分析である。14万例を超える脳出血のうち,ワルファリン群は15,036例(10.6%),NOAC群は4,918例(3.4%)であった。交絡因子を調整後も,抗凝固薬非服用群と比較して,ワルファリン群(オッズ比1.62)のみならずNOAC群(オッズ比1.21)も死亡率を高めている点が注目される。ただし,機能的転帰については,ワルファリン群で有意に不良であるのに対し,NOACでは差がない点も興味深い。(岡田靖

目的 高リスクの心房細動患者における血栓塞栓性合併症予防のためのwarfarinの代替薬として,NOACの使用が増加している。NOACはwarfarinにくらべて安全性プロファイルが良好であるが,NOAC投与患者におけるICHの年間リスクは0.5%である。NOAC服用患者においてICHの転帰を検討したこれまでの研究は,サイズや範囲が限定的である。本研究では,ICH患者において,発症前のOACの使用と院内死亡の関連を検討した。主要評価項目:院内死亡。
デザイン 後ろ向きコホート研究。
セッティング 多施設(1,662施設),米国。
期間 登録期間は2013年10月~2016年12月。
対象患者 141,311例。病院到着前の7日間にOACまたは抗血小板薬の使用が記録されていたICH患者。
【除外基準】2剤以上の抗凝固薬使用(NOAC+warfarin,NOACまたはwarfarin+heparinや低分子heparinなどの他の抗凝固薬),3剤以上の抗血小板薬使用,ICHが院内で発症,人工弁患者。
【患者背景】年齢中央値はwarfarin群77歳,NOAC群78歳,OAC非使用群68歳*。それぞれの女性46.8%,49.6%,48.2%*。心房細動/粗動66.6%,77.4%,7.2%*。脳卒中または一過性脳虚血発作既往33.3%,36.2%,22.8%*。冠動脈疾患または心筋梗塞31.9%,30.1%,14.6%*。糖尿病33.8%,31.3%,24.8%*。高血圧80.7%,82.8%,72.3%*。脂質異常症47.5%,48.4%,31.9%*。心不全18.7%,15.5%,5.0%*。来院時のNational Institute of Health stroke scale(NIHSS)中央値9,8,8**p<0.001
治療法 対象患者を,OAC使用によりwarfarin群15,036例,NOAC群4,918例(dabigatran 11.0%,rivaroxaban 54.0%,apixaban 34.9%,edoxaban 0.1%),OAC非使用群121,357例に分けた。
抗血小板療法は,非使用,抗血小板薬単剤療法(SAPT;aspirin, clopidogrel, ticlopidine, prasugrel, ticagrelorのいずれか),抗血小板薬2剤併用療法(DAPT;aspirin/dipyridamole, aspirin+aspirin/dipyridamole, aspirin+clopidogrel, ticlopidine, prasugrel, ticagrelor)に分類した。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
未調整院内死亡率は,warfarin使用群32.6%,NOAC使用群26.5%,OAC非使用群22.5%であった。

[OAC別の院内死亡率]
交絡因子を調整後の院内死亡リスクは,OAC非使用群にくらべ,warfarin群(調整リスク差[ARD]9.0%,97.5%CI 7.9~10.1%,調整OR[AOR]1.62,97.5%CI 1.53~1.71),NOAC群(ARD 3.3%,97.5%CI 1.7~4.8%,AOR 1.21,97.5%CI 1.11~1.32)ともに高かった。
NOAC群はwarfarin群にくらべ,リスクが低かった(ARD -5.7%,97.5%CI -7.3~-4.2%,AOR 0.75,97.5%CI 0.69-0.81)。

[抗血小板療法の影響の検討(抗血小板薬非使用との比較)]
NOAC群とOAC非使用群ではSAPTと院内死亡リスク上昇との関連は認めなかったが,warfarin群では関連が認められた(SAPT例33.2% vs 抗血小板薬非使用例31.7%,ARD 3.2%,97.5%CI 1.4~5.0%,AOR 1.17,97.5%CI 1.07~1.28)。
DAPTについては,NOAC群では院内死亡リスク上昇との関連は認められなかったが(ARD 7.0%,97.5%CI -2.9~16.8%,AOR 1.41,97.5%CI 0.87~2.28),warfarin群(ARD 16.5%,97.5%CI 10.9~22.2%,AOR 2.13,97.5%CI 1.66~2.73),OAC非使用群(ARD 7.3%,97.5%CI 5.7~8.9%,AOR 1.50,97.5%CI 1.38~1.64)では関連が認められた。
NOAC群とwarfarin群の院内死亡リスクの差は,DAPT例(32.7% vs 47.1%,ARD -15.0%,97.5%CI -26.3~-3.8%,AOR 0.50,97.5%CI 0.29~0.86)では抗血小板薬非使用例(26.4% vs 31.7%,ARD -5.0%,97.5%CI -6.8~-3.2%,AOR 0.77,97.5%CI 0.70~0.85)よりも数値的には高かったが,有意な交互作用は認められなかった(p=0.07)。

●有害事象

文献: Inohara T, et al. Association of Intracerebral Hemorrhage Among Patients Taking Non-Vitamin K Antagonist vs Vitamin K Antagonist Oral Anticoagulants With In-Hospital Mortality. JAMA 2018; 319: 463-73. pubmed
関連トライアル BAT retrospective study, Chang SH et al, CROMIS-2 outcome of ICH, da Vinci, GWTG-Stroke NOAC before stroke, GWTG-Stroke Registry risk of sICH, Hellwig S et al, Kuramatsu JB et al, Lamberts M et al, Larsen TB et al, MUCH-Italy, Nomura E et al, PROSPER antithrombotic treatment and outcomes, REAFFIRM, ROCKET AF intracranial hemorrhage, Saji N et al, 高齢心房細動患者における出血リスク:抗血小板薬と抗凝固薬の比較, 日本人NVAF患者におけるNOACの有効性および安全性, 弁膜症合併心房細動患者に対するNOAC
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