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メタ解析
AFを有する脳梗塞患者における脳微小出血,抗凝固療法,出血リスク
結論 おもにwarfarinが投与された,非弁膜症性心房細動(NVAF)を有する脳梗塞患者において,MRI上の脳微小出血(CMB)の存在,ならびに5個以上のCMBは,脳内出血リスクの高いサブグループとして同定できる可能性が示唆された。
コメント 抗凝固療法中の脳内出血のリスクとMRI上の脳微小出血(CMB)の関係を調べた9つの研究を統合解析した結果,ワルファリンを中心とする抗凝固療法中の非弁膜症性心房細動を有する脳梗塞患者において,CMBの存在や5個以上のCMBは脳内出血リスクの高いサブグループとなる可能性が示された。さらなる詳しいリスクの解析,CMBの部位ごとの解析,他の抗血栓薬の関連,および降圧療法の予防効果などの研究が期待される。(矢坂正弘

目的 長期の経口抗凝固療法は,NVAF患者における脳梗塞予防として非常に有効であるが,脳内出血のリスクに配慮する必要がある。脳内出血リスクをCMBの解析により予知できれば,より安全に経口抗凝固療法を行うことが期待される。本研究では,warfarinまたは非ビタミンK経口抗凝固薬(NOACs)を服用しているNVAFを有する脳梗塞患者において,CMBと将来の脳内出血リスクの関連を評価した。主要評価項目:脳内出血。
方法 PubMedにて1999年1月1日~2015年9月1日まで検索。研究の文献リストや2015~2016年の主要学会抄録のスクリーニングも行った。言語の制限は設けなかった。
検索対象:(1)急性脳梗塞発症から1週間以内のNVAF患者≧50例を含む,(2)ベースライン時にT2*-GRE/SWI MRIが規定として行われ,かつ退院時に経口抗凝固薬(warfarinまたはNOAC,CMBの状態は問わない)を処方されている患者を対象,(3)CMBを標準的な方法で評価,(4)追跡期間≧6ヵ月,(5)確かな定義にもとづいて追跡期間中の自然発症の症候性脳内出血および脳梗塞のリスクを評価している研究。
Poisson回帰分析で脳内出血と脳梗塞の統合年間発症率を推定した。また,ランダム効果モデルを用い,CMBの有無,≧5個,<5個,トポグラフィー(完全な脳葉型,混合型,完全な深部型)により脳内出血と脳梗塞のORを算出した。
対象 9研究(前向き/後ろ向きコホート研究)。うち3件は日本の研究(J Stroke Cerebrovasc Dis 2015;24:1373,J Neurol 2016;263:238,J Stroke Cerebrovasc Dis 2013;22:869)。
対象患者数1,552例。平均年齢67~80歳。各研究の症例数53~477例。aspirin併用投与は8~67%とばらつきがみられた。3研究では追跡期間中にNOACsが投与されたが,CMBに関してwarfarin投与との違いはみられなかった。7研究にてT2* GRE MRI(1.5T),2研究にてSWI MRI(1.5T/3T)が用いられた。
主な結果 CMBの粗有病率は30%(95%CI 25-36%)で,≧5個のCMBを有していたのは7%(4-10%)。
なお,バイアスのリスクは中~低程度。出版バイアスも認められなかった(Egger検定,Begg検定ともp>0.20)。

・統合年間発症率
症候性脳内出血は22例,脳梗塞再発は81例に発症した。統合年間発症率は脳内出血0.49%(0.24-0.745%),脳梗塞2.22%(1.26-3.18%)で,脳梗塞の方が有意に高かった(p=0.001)。ただし,中等度の不均一性が認められた。
脳内出血の統合年間発症率は,CMBなし0.30%(0.04-0.55%),CMBあり0.81%(0.17-1.45%,p=0.01),CMB≧5個2.48%(1.2-6.2%,p=0.001),CMB<5個0.49%(0-1.09%)で,CMBありおよび≧5個で有意に高かった。脳梗塞の統合年間発症率は,CMB≧5個0.29%(0-2.77%),CMB<5個0.02%(0-0.36%)。

・脳内出血リスクとCMBの有無/数
ベースライン時のCMBありはなしに比し,追跡期間中の脳内出血と関連していた(OR 2.68,95%CI 1.19-6.01,p=0.017)。特に,CMB≧5個では将来の脳内出血リスクが顕著に高かった(OR 5.50,2.07-14.66,p=0.001)。CMB<5個では,このような関連はみられなかった(OR 1.90,0.76-4.71,p=0.168)。

・脳内出血リスクとCMBトポグラフィー
CMBなしに比し,ベースライン時の完全な脳葉型CMB(OR 2.88,1.14-7.23,p=0.025)および混合型CMB(OR 2.91,0.99-8.54,p=0.052)は,追跡期間中の脳内出血と関連またはその傾向がみられた。完全な深部型CMBでは,関連は認められなかった(OR 2.43,0.83-7.14,p=0.107)。
文献: Charidimou A, et al.; International META-MICROBLEEDS Initiative. Brain microbleeds, anticoagulation, and hemorrhage risk: Meta-analysis in stroke patients with AF. Neurology 2017; 89: 2317-2326. pubmed
関連トライアル 血栓溶解療法後の脳微小出血,脳内出血,機能的転帰, 脳微小出血と血栓溶解療法後の脳内出血
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