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Hilkens NA et al
結論 抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)は早期の大出血および消化管出血リスクに関連していたが,最初の1ヵ月以降はリスクが低下した。
コメント 脳梗塞やTIAの再発予防における抗血小板療法の効果を研究した6つのRCTを統合解析し,抗血小板薬と出血性合併症発生率の関係を調べた結果,抗血小板薬2剤併用療法が開始1ヵ月以内の大出血や消化管出血のリスクと関連していることが示された。CHANCE試験の結果を受けて,非心原性脳梗塞急性期には,再発率や重症度の低減を期待してしばしばアスピリンとクロピドグレルの併用療法が3週間行われることが多いが,大出血と消化管出血へ十分な配慮を示すべきであろう。(矢坂正弘

目的 抗血小板薬は,心血管疾患の二次予防に広く使用されているが,わずかながらも重篤な出血リスクを伴う。出血イベントが発生した患者の予後は不良で,全死亡率ならびに心血管死率が高い。これまで,aspirinのプラセボに対する大出血リスクの過度の上昇は,時間経過とともに減少することが示されているが,脳虚血の二次予防においても時間経過が同様であるかは不明である。さらに,DAPTは抗血小板薬単剤療法よりも出血リスクが上昇することが知られているが,その時間経過が異なるのかについても不明である。本研究では,DAPTおよび抗血小板薬単剤療法中の脳虚血患者において,大出血イベントおよびその病型の時間経過を検討した。
デザイン 統合解析。
セッティング
期間 追跡期間中央値は1.4~3.5年(82,199人・年)。
対象患者 45,195例。TIAまたは脳梗塞患者において抗血小板薬の有効性を評価した6件のRCT(CAPRIEESPS-2MATCHCHARISMAESPRITPRoFESS)の患者。
【除外基準】心原性と考えられる脳卒中,治療を恒久的に中止した患者のうち,最終服用日が不明の患者。
【患者背景】平均年齢65.5歳。男性63%。当該イベント:TIA 11%,脳梗塞89%。現喫煙22%。高血圧74%。糖尿病32%。脳卒中既往17%。心筋梗塞既往7%。血管疾患既往40%。抗血小板薬:aspirin 18%,clopidogrel 36%,aspirin+dipyridamole併用27%,aspirin+clopidogrel併用13%,dipyridamole 3%,プラセボ3%。
治療法 ランダム化からの経過日数別(≦30日,31~90日,91~180日,181~365日,>365日)に,抗血小板療法レジメンごとに出血発生率を算出。試験ごとに発生率を算出し,ランダム効果メタアナリシスを用いて統合した。Poisson回帰分析を行い,年齢と性別を調整した経過日数別の差を評価した。試験ごとに率比(RR)を算出し,ランダム効果メタアナリシスを用いて統合した(31~90日を基準とした)。
追跡完了率
結果

●評価項目
大出血リスクは,dipyridamole単剤療法を除くすべての抗血小板療法レジメンで,経過日数≦30日がもっとも高かった(100人・年あたりの発生率:aspirin 2.8,clopidogrel 2.5,aspirin+dipyridamole 4.9,aspirin+clopidogrel 5.8)。
aspirin+clopidogrel併用とaspirin+dipyridamole併用では,≦30日の大出血リスクが31~90日にくらべて有意に高かったが(RR[95%CI]はそれぞれ1.98[1.16-3.40],1.94[1.24-3.03]),各単剤療法では有意な経時変化を認めなかった(RR[95%CI]:aspirin 1.27[0.69-2.37],clopidogrel 1.28[0.66-2.48],dipyridamole 0.87[0.12-4.44])。
消化管出血についても同様のパターンを認めた。頭蓋内出血リスクは経時的に安定していた。
高齢者(≧65歳)と若年者,血管疾患既往の有無について,経時的出血リスクパターンに差はみられなかった。

●有害事象

文献: Hilkens NA, et al.; CAT Collaboration. Early time course of major bleeding on antiplatelet therapy after TIA or ischemic stroke. Neurology 2018; 90:e683-9. pubmed
関連トライアル PRoFESS post hoc analysis
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