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Sakamoto Y et al Insufficient Warfarin Therapy Is Associated With Higher Severity of Stroke Than No Anticoagulation in Patients With Atrial Fibrillation and Acute Anterior-Circulation Stroke
結論 心房細動を有する前方循環脳卒中患者において,入院時の強度不十分なビタミンK拮抗薬(VKA)療法は抗凝固療法なしにくらべ,脳卒中重症度上昇および近位部動脈閉塞増加と関連していた。

目的 日常臨床において,心房細動患者のうち抗凝固薬を処方されているのは半数に満たず,VKAを投与されていても,脳卒中発症例の2/3以上は入院時の抗凝固療法が不十分であったと報告されている。それにもかかわらず,不十分なVKAが脳卒中の重症度や動脈閉塞に及ぼす影響については不明である。本研究では,心房細動を有する虚血性脳卒中患者において,不十分なVKAと脳卒中重症度または動脈閉塞の部位との関連を調査した。
デザイン 前向き登録研究の後ろ向き解析。
セッティング 単施設,日本。
期間 登録期間は2011年3月~2016年7月。
対象患者 446例。心房細動を有し,虚血性脳卒中または一過性脳虚血発作(TIA)の症状発現から7日以内に入院した患者連続例を後ろ向きに登録。
【除外基準】直接作用型経口抗凝固薬処方例。
【患者背景】[全体]年齢中央値は抗凝固療法なし群78歳,抗凝固療法不十分群79歳,十分な抗凝固療法群80歳。それぞれの女性42%,40%,54%。塞栓症既往17%,40%,40%*CHADS2スコア中央値2,3,3*CHA2DS2-VAScスコア中央値3,4,4*。入院前のmodified Rankin Score(mRS)中央値0,0,0(p=0.005)。発症-来院時間4.7時間,3.0時間,9.0時間。入院時のNational Institute of Health stroke scale(NIHSS)スコア中央値9,14,7(p=0.035)。
[前方循環脳卒中患者]年齢中央値は抗凝固療法なし群79歳,抗凝固療法不十分群78歳,十分な抗凝固療法群81歳。それぞれの女性45%,42%,60%。塞栓症既往15%,40%,30%*。CHADS2スコア中央値2,3,2*。CHA2DS2-VAScスコア中央値3,4,4(p=0.001)。入院前のmRS中央値0,0,0(p=0.011)。発症-来院時間4.0時間,3.0時間,8.5時間。入院時のNIHSSスコア中央値11,18,7(p=0.022)。
*p<0.001
治療法 入院時の抗凝固療法の状況により,以下の3群に分類して解析した。
抗凝固療法なし群:353例(うち前方循環脳卒中281例)。
抗凝固療法不十分群:58例(同53例)。PT-INRが<70歳では<2.0,≧70歳では<1.6。
十分な抗凝固療法群:35例(同30例)。PT-INRが<70歳では≧2.0,≧70歳では≧1.6。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
全例を対象とした多変量解析によると,入院時における抗凝固療法の強度と脳卒中の重症度について,関連は認められなかった。
対象を前方循環脳卒中患者(364例)に限定して解析を行ったところ,不十分なVKAは抗凝固療法なしにくらべ,脳卒中重症度および近位部動脈閉塞と独立して関連していた。
脳卒中重症度(初期NIHSS≧10):OR 2.70,95%CI 1.15-6.34,p=0.022。
近位部動脈閉塞:OR 1.91,95%CI 1.03-3.51,p=0.039。

●有害事象

文献: Sakamoto Y, et al. Insufficient Warfarin Therapy Is Associated With Higher Severity of Stroke Than No Anticoagulation in Patients With Atrial Fibrillation and Acute Anterior-Circulation Stroke. Circ J 2017; : . pubmed
関連トライアル ENGAGE AF-TIMI 48 transition to open-label anticoagulation, ENGAGE AF-TIMI 48 VKA experienced and naive, Hylek EM et al, Lamberts M et al, Lee CJ et al, PROSPER antithrombotic treatment and outcomes, Tziomalos K et al
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