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COMPASS PAD
結論 低用量rivaroxaban 1日2回+aspirin 1日1回投与は,aspirin単独にくらべ,主要有害心事象(MACE)ならびに四肢イベントを低減したが,大出血は増加した。この併用療法は,末梢動脈疾患(PAD)患者に対する管理の重要な進歩を示すものである。rivaroxaban単独はaspirin単独にくらべ,MACEは低減しなかったが,四肢イベントを低減した。大出血は増加した。
コメント  COMPASS試験では,冠動脈疾患および末梢血管疾患の症例が登録され,2.5 mg 1日2回のリバーロキサバンとアスピリンの併用療法の有効性が示された。本解析は,末梢血管疾患に関するサブ解析である。末梢血管疾患は間欠性跛行,ABI低値など下肢虚血により定義される場合が多い。COMPASS試験では,頸動脈血行再建術後,50%以上の無症候の頸動脈狭窄が末梢血管疾患として登録されている点に特徴がある。極微量リバーロキサバンとアスピリンの併用により,虚血性脳卒中の発症予防効果が顕著であった。重篤な出血イベントの増加は1%程度であり,心房細動の脳卒中予防に使用する用量よりも少ない。
 抗凝固薬は出血イベントを増加させる特性を有するものの,極微量のリバーロキサバンを,血栓イベントリスクの高い末梢血管疾患の症例に使用する価値を示す解析であった。(後藤信哉

目的 PAD患者は心血管疾患有病率および死亡率が高い。これらの合併症を低減するために抗血小板薬が広く用いられている一方,抗凝固薬は先行研究で優越性が示されていない。COMPASS試験では,安定アテローム動脈硬化性血管疾患患者において,低用量rivaroxaban+aspirin併用または高用量rivaroxaban単独はaspirin単独にくらべ主要血管イベントを抑制するという仮説を検証した。本論文は,PAD患者に関する解析結果である。有効性主要評価項目:心筋梗塞+脳卒中+心血管死の複合(MACE)。PADに関する主要評価項目:主要有害下肢事象(急性/慢性四肢虚血+大切断術)。安全性主要評価項目:修正ISTH出血基準大出血
デザイン 無作為割付,二重盲検,プラセボ対照試験。intention-to-treat解析。NCT01776424。
セッティング 多施設(602施設),33ヵ国。
期間 登録期間は2013年3月12日~2016年5月10日。追跡期間中央値は21ヵ月。
対象患者 7,470例。本試験対象患者27,395例のうち,PAD対象基準(大動脈・大腿動脈バイパス術,四肢バイパス術,腸骨または鼠径部以下の動脈に対する経皮的血管形成術,動脈疾患による下肢/足部切断術,間欠性跛行かつ足関節上腕血圧比(ABI)<0.90/末梢動脈狭窄≧50%のいずれかを有する,頸動脈血行再建術または≧50%の無症候性頸動脈狭窄)を有する症例。ABI<0.9のCAD患者はPADコホートに含めた。
【除外基準】DAPT/非aspirinの抗血小板療法/経口抗凝固療法/強力なCYP3A4阻害薬/強力なCYP3A4誘発薬/その他のrivaroxabanと相互作用を有する薬剤を要する症例,出血高リスク,脳卒中発症から1ヵ月以内,出血性脳卒中/ラクナ梗塞既往,EF<30%の重篤な心不全,eGFR<15mL/分。
【患者背景】平均年齢は併用群67.9歳,rivaroxaban単独群67.8歳,aspirin単独群67.8歳。各群の女性29%,27%,29%。高血圧78.9%,78.4%,80.6%。糖尿病44.1%,43.8%,44.1%。CAD既往66.5%,65.0%,65.5%。脳卒中既往6.9%,7.2%,6.2%。頸動脈疾患24.8%,25.1%,27.2%。症候性PAD 81.3%,80.1%,81.4%。下肢の症候性PAD 56.5%,55.0%,54.3%。
治療法 30日間のrun-in期間終了後,以下の3群に割付けた。
併用群:2,492例。rivaroxaban 2.5mg 1日2回+aspirin 100mg 1日1回。
rivaroxaban単独群:2,474例。5mg 1日2回。
aspirin単独群:2,504例。100mg 1日1回。
追跡完了率
結果

●評価項目
有効性主要評価項目について,併用群はaspirin単独群にくらべ抑制したが,rivaroxaban単独群とaspirin単独群の間には有意差は認めなかった。
併用群126/2492例(5%)vs aspirin単独群174/2504例(7%),HR 0.72,95%CI 0.57-0.90,p=0.0047。
rivaroxaban単独群149/2474例(6%)vs 174/2504例(7%),HR 0.86,0.69-1.08,p=0.19。
PADに関する主要評価項目も,有効性主要評価項目と同様の結果であった。
併用群32例(1%)vs aspirin単独群60例(2%),HR 0.54,0.35-0.82,p=0.0037。
rivaroxaban単独群40例(2%)vs 60例(2%),HR 0.67,0.45-1.00,p=0.046。
安全性主要評価項目について,併用群,rivaroxaban単独群のいずれもaspirin単独群にくらべ増加した。大出血の部位は,おもに消化管であった。
併用群77/2492例(3%)vs aspirin単独群48/2504例(2%),HR 1.61,1.12-2.31,p=0.0089。
rivaroxaban単独群79/2474例(3%)vs 48/2504例(2%),HR 1.68,1.17-2.40,p=0.0043。

●有害事象

文献: Anand SS, et al.; COMPASS Investigators. Rivaroxaban with or without aspirin in patients with stable peripheral or carotid artery disease: an international, randomised, double-blind, placebo-controlled trial. Lancet 2017; : . pubmed
関連トライアル AAA, ANTARCTIC, ARCTIC-Interruption, ATLAS ACS 2-TIMI 51, ATLAS ACS 2-TIMI 51 STEMI patients, ATLAS ACS-TIMI 46 , CASPAR , COMPASS, CREDO, CURRENT-OASIS 7 undergoing PCI, DAPT BMS or DES, DIAS-3, EUCLID, EUCLID revascularization, GEMINI-ACS-1, JPPP, PEGASUS-TIMI 54 peripheral artery disease, PERFORM, RESTORE, SOCRATES subgroup analysis, TRA 2P-TIMI 50 previous myocardial infarction
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