抗血栓トライアルデータベース
home
テキストサイズ
COMPASS CAD
結論 安定冠動脈疾患(CAD)患者において,aspirinへのrivaroxabanの追加は主要血管イベントを低減したが,大出血が増加した。rivaroxaban+aspirin併用は正味のベネフィットが認められ,死亡は23%低減された。aspirinへのrivaroxabanの追加は,世界中のCADの有病率および死亡率を大幅に低減する可能性がある。
コメント  COMPASS試験では,冠動脈疾患と末梢血管の症例を対象としてアスピリン,アスピリン/極微量リバーロキサバン(2.5 mg 1日2回),微量リバーロキサバン(5 mg 1日2回)の3群比較が行われた。冠動脈疾患としては発症後20年以内の心筋梗塞も登録されており,冠動脈疾患一般においてアスピリン/極微量リバーロキサバン(2.5 mg 1日2回)の有効性が示された。
 末梢血管疾患として頸動脈疾患が含まれているのがCOMPASS試験の特徴であるが,COMPASS-PAD解析でなく,本論文において,各種末梢血管疾患における有効性の比較検討の表が掲載されている。症例数は少ないが,頸動脈疾患におけるMACEがアスピリン/極微量リバーロキサバン(2.5 mg 1日2回)において低い。頸動脈疾患の脳卒中予防にリバーロキサバンが有効なのであろうか?(後藤信哉

目的 CADは世界中でおもな死因の一つとなっており,血小板および凝固タンパク質の活性化を含む急性血栓イベントの結果である。第Xa因子阻害薬ならびにaspirinはそれぞれ血栓イベントを抑制するが,安定CAD患者に対する併用療法やその比較についてはまだ検討されていない。COMPASS試験では,安定アテローム動脈硬化性血管疾患患者において,低用量rivaroxaban+aspirin併用または高用量rivaroxaban単独はaspirin単独にくらべ主要血管イベントを抑制するという仮説を検証した。本論文は,CAD患者に関する解析結果である。有効性主要評価項目:脳卒中,心筋梗塞,心血管死の複合。安全性主要評価項目:大出血。
デザイン 無作為割付,二重盲検,プラセボ対照試験。intention-to-treat解析。NCT01776424。
セッティング 多施設(602施設),33ヵ国。
期間 登録期間は2013年3月12日~2016年5月10日。平均追跡期間1.95年。
対象患者 24,824例。本試験対象患者27,395例のうち,CAD対象基準(心筋梗塞発症から20年以内,多枝疾患,安定/不安定狭心症既往,多枝PCI施行歴,多枝CABG施行歴)合致例で,65歳以上,他の血管(頸部/末梢)にアテローム性動脈硬化または血行再建術,もしくはリスク因子(現喫煙または禁煙から1年以内,糖尿病,eGFR<60mL/分,心不全,非ラクナ梗塞から1ヵ月以上経過)を複数有する症例。末梢動脈疾患(PAD)対象基準に合致して登録された患者のうち,CADを有する症例も本解析に含めた。また,CABG施行から4~14日後のCAD患者も,胸部チューブ抜去24時間かつ最終抗凝固薬投与から12時間経過した症例は対象に含めた。
【除外基準】出血高リスク,脳卒中発症から1ヵ月以内,出血性脳卒中またはラクナ梗塞の既往,EF<30%の重篤な心不全,eGFR<15mL/分,DAPTまたは非aspirinの抗血小板療法の必要がある症例。
【患者背景】年齢中央値は併用群69歳,rivaroxaban単独群69歳,aspirin単独群69歳。各群の女性21%,20%,20%。糖尿病37%,37%,37%,高血圧76%,75%,75%,PAD 20%,20%,20%。心筋梗塞既往68%,69%,69%。
治療法 30日間のrun-in期間終了後,以下の3群に割付けた。
併用群:8,313例。rivaroxaban 2.5mg 1日2回+aspirin 100mg 1日1回。
rivaroxaban単独群:8,250例。5mg 1日2回。
aspirin単独群:8,261例。100mg 1日1回。
追跡完了率 99.8%。
結果

●評価項目
有効性主要評価項目について,併用群はaspirin単独群にくらべ抑制したが,rivaroxaban単独群とaspirin単独群の間には有意差は認めなかった。
併用群347/8313例(4%)vs aspirin単独群460/8261例(6%),HR 0.74,95%CI 0.65-0.86,p<0.0001。
rivaroxaban単独群411/8250例(5%) vs aspirin単独群460/8261例(6%),HR 0.89,0.78-1.02,p=0.094。
併用群はaspirin単独群にくらべ死亡を抑制したが,rivaroxaban単独群とaspirin単独群の間には有意差は認めなかった。
併用群262/8313例(3%)vs aspirin単独群339/8261例(4%),HR 0.77,0.65-0.90,p=0.0012。
rivaroxaban単独群316/ 8250例(4%)vs aspirin単独群339//8261例(4%),HR 0.93,0.80-1.09,p=0.37。
安全性主要評価項目について,併用群,rivaroxaban群とも,aspirin単独群より多かった。
併用群263/8313例(3%)vs aspirin単独群158/8261例(2%),HR 1.66,1.37-2.03,p<0.0001。
rivaroxaban単独群236/ 8250例(3%)vs aspirin単独群158/8261例(2%),HR 1.51,1.23-1.84,p<0.0001。
もっとも多かった大出血の部位は消化管で,併用群130例(2%),rivaroxaban単独群84例(1%),aspirin単独群61例(1%)に発症した。
正味の臨床ベネフィット(有効性主要評価項目+致死的出血+重要臓器への症候性出血)について,併用群はaspirin単独群にくらべ抑制したが,rivaroxaban単独群とaspirin単独群の間には有意差は認めなかった。
併用群392/8313例(5%)vs aspirin単独群494/8261例(6%),HR 0.78,0.69-0.90,p=0.0003。
rivaroxaban単独群462/ 8250例(6%)vs aspirin単独群494/8261例(6%),HR 0.94,0.82-1.06,p=0.31。

●有害事象

文献: Connolly SJ, et al., COMPASS investigators Rivaroxaban with or without aspirin in patients with stable coronary artery disease: an international, randomised, double-blind, placebo-controlled trial. Lancet 2017; : . pubmed
関連トライアル AAA, ACUITY bivalirudin, After Eighty study, ANTARCTIC, APPRAISE, APPRAISE-2 post hoc analysis, ARCTIC-Interruption, ATLAS ACS 2-TIMI 51, ATLAS ACS 2-TIMI 51 STEMI patients, ATLAS ACS-TIMI 46 , CASPAR , COMPASS, CREDO, CURRENT-OASIS 7 undergoing PCI, EAFT 1993, FREEDOM DAPT vs. aspirin monotherapy, GEMINI-ACS-1, ISIS-3, MATCH, Physicians' Health Study 1991, RESTORE, SOCRATES subgroup analysis, TRA 2P-TIMI 50 previous myocardial infarction, TRILOGY ACS secondary analysis , TRITON-TIMI 38 discharge aspirin dose, WOEST
関連記事