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CRCS-K Comprehensive Registry Collaboration for Stroke in Korea
結論 韓国における軽症脳卒中または一過性脳虚血発作(TIA)後の血管イベントリスクは,欧米・中国・日本にくらべ低いようであった。広範な精密検査にもとづいた正確な脳卒中の病型の診断,現行ガイドラインに準じた二次予防ストラテジー,より強力な抗血栓療法がリスク低下に寄与することが示唆された。
コメント 韓国における軽症脳卒中やTIA後の血管イベントリスクを評価し,十分な評価にもとづいた再発予防治療が血管イベントリスクの低下に寄与する可能性を示した研究である。韓国や日本を含めた東アジアは,脳卒中全体の頻度や脳出血の頻度が高い地域として共通している。今後も東アジア各国からの脳卒中関連研究に注目したい。(矢坂正弘

目的 先行研究によると,軽症脳卒中またはTIA患者は脳卒中再発や血管イベントのリスクが高い。アジアでは欧米諸国にくらべ脳卒中再発リスクが高く,日本や中国からは,90日後の再発は10%程度との報告がある。本研究では,韓国における軽症脳卒中/TIA発症後の血管イベント/脳卒中再発のリスクを評価し,また抗血栓療法と血管イベントリスクとの関連を調査した。主要評価項目:脳卒中の再発+心筋梗塞+全死亡の複合。
デザイン 前向きコホート研究。
セッティング 多施設,韓国。
期間 登録期間は2010年11月~2013年10月。追跡期間中央値369日。
対象患者 9,506例。CRCS-K登録患者(急性虚血性脳卒中のため入院した患者連続例)のうち,軽症脳卒中(National Institute of Health stroke scale[NIHSS]≦5;9,016例)または高リスクTIA(MRI拡散強調画像による急性病変,もしくは脳卒中の症状に関連する頭蓋内/外動脈の≧50%の狭窄/閉塞;490例)の発症から7日間以内に入院した≧20歳の患者。
【退院時における抗血栓療法別の患者背景】平均年齢*はaspirin単独群63.5歳,aspirin以外の抗血小板薬単独群67.4歳,抗血小板薬多剤併用群66.6歳,抗凝固薬単独群68.3歳,抗凝固薬+抗血小板薬併用群69.1歳,抗血栓薬非投与群67.6歳。それぞれの男性60.5%,58.3%,61.9%,60.4%,66.2%,62.0%。血管リスク因子:冠動脈疾患* 2.9%,9.2%,12.0%,9.8%,26.4%,7.6%,心房細動* 2.0%,3.4%,2.3%,69.0%,53.4%,14.8%,高血圧* 63.4%,80.5%,76.5%,72.4%,83.1%,63.8%,糖尿病* 31.3%,41.9%,40.4%,27.8%,37.4%,36.7%,脂質異常症* 88.0%,85.4%,93.0%,82.9%,90.1%,71.8%。≧50%の狭窄/閉塞:頭蓋内動脈* 17.6%,23.7%,31.7%,28.7%,28.4%,20.7%,頭蓋内/頭蓋外頸動脈* 5.3%,10.0%,17.0%,6.0%,13.0%,9.4%。*p<0.01
治療法 入院中,再灌流療法は5.4%(静脈内血栓溶解療法4.7%,動脈内血栓溶解療法1.2%[両者併用0.5%]),緊急頸動脈血行再建術は2.0%に行われた。入院から48時間以内の抗血栓薬投与は96.1%(aspirinがもっとも多く87.4%)。
退院時,95.2%に抗血栓薬が処方された(aspirin単独36.1%,aspirin以外の抗血小板薬単独6.8%,抗血小板薬多剤併用37.1%,抗凝固薬単独10.5%,抗凝固薬+抗血小板薬併用4.8%,抗血栓薬非投与4.8%)。
3ヵ月後の服薬アドヒアランスは全体の88.9%で入手し,>80%がアドヒアランス良好であった。
追跡完了率 -  
結果

●評価項目
93.8%が血管評価,72.7%が心機能評価をうけ,25.1%が頭蓋内動脈の症候性狭窄または閉塞を有していた。
累積イベント発症率(3ヵ月後→1年後)は,主要評価項目5.9%→9.3%,脳卒中再発4.3%→6.1%,主要血管イベント(脳卒中再発+心筋梗塞+血管死の複合)4.6%→6.7%,全死亡2.0%→4.1%であった。
入院中の症候性頭蓋内出血(SICH)は,抗血小板薬多剤併用群,抗凝固薬+抗血小板薬併用群では0.2%であったが,抗血栓薬非投与群では4.1%であった。
抗血栓療法ごとの1年後累積イベント発症率は,aspirin単独群では主要評価項目6.2%,脳卒中再発4.2%,主要血管イベント4.5%,全死亡2.4%,抗血小板薬多剤併用群はそれぞれ9.6%,6.9%,7.4%,3.3%,抗凝固薬単独群12.0%,7.4%,8.0%,5.7%であり,抗血栓薬非投与群がもっとも高かった(20.2%,10.7%,14.1%,16.6%)。

●有害事象

文献: Park HK, et al.; CRCS-K Investigators. One-Year Outcomes After Minor Stroke or High-Risk Transient Ischemic Attack: Korean Multicenter Stroke Registry Analysis. Stroke 2017; 48: 2991-8. pubmed
関連トライアル aspirin服用中の脳卒中患者に対する抗血小板療法, COMPRESS, EAFT 1993, FORI, Nielsen PB et al, Ontario Stroke Registry, RAF, WASID antithrombotic failures
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