抗血栓トライアルデータベース
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ARISTOTLE fall
結論 抗凝固療法をうけている転倒歴のある心房細動患者は,頭蓋内出血を含む大出血,ならびに死亡のリスクが高かった。apixabanのwarfarinに対する有効性および安全性は,転倒歴の有無にかかわらず一貫していた。

目的 抗凝固療法をうけている心房細動患者の割合は,2014~15年で約70%と報告されており,依然としてアンダーユースの状態にある。抗凝固薬が処方されない主因の一つに,転倒ならびにそれによる出血のリスクがある。しかし,転倒歴のある心房細動患者において,出血および脳卒中リスクを評価した研究はほとんどない。本解析はARISTOTLEのデータを用い,apixabanのwarfarinに対するベネフィットが転倒歴の有無により一貫しているか検討を行った,post hoc解析である。有効性主要評価項目:脳卒中または全身性塞栓症,安全性主要評価項目:ISTH出血基準大出血
デザイン 二重盲検,無作為割付試験。
セッティング 多施設,複数国。
期間 追跡期間中央値1.8年。
対象患者 16,491例(前年に1回以上の転倒あり753例+なし15,738例)。ARISTOTLE対象患者18,201例(CHADS2スコア≧1の心房細動/粗動患者)のうち,転倒に関するデータが得られた症例。
【除外基準】可逆性の原因による心房細動,僧帽弁狭窄,人工心臓弁,aspirin>165mg/日あるいはaspirin+clopidogrel併用を必要とする,脳卒中発症から7日以内,重症腎機能障害。
【転倒の有無別の患者背景】年齢中央値は転倒あり群75歳,なし群70歳。それぞれの女性47.4%,34.6%。持続性心房細動79.7%,84.6%。平均CHA2DS2-VAScスコア 4.19,3.43。脳卒中/TIA既往28.3%,20.9%。平均HAS-BLED出血リスクスコア 2.40,1.77。
心房細動の病型のみp<0.001,それ以外はp<0.0001
治療法 以下の2群に無作為割付。
apixaban群:5mg 1日2回投与(以下の項目のうち2つ以上該当する場合は2.5mg 1日2回投与とした:≧80歳,体重≦60kg,血清クレアチニン≧1.5mg/dL)。
warfarin群:INR 2.0~3.0となるよう用量調整投与。
追跡完了率
結果

●評価項目
転倒歴のある患者は転倒歴のない患者にくらべ高齢で,女性,認知症,脳血管疾患,うつ,糖尿病,心不全,骨粗鬆症,骨折が多く,CHA2DS2-VAScスコアならびにHAS-BLEDスコアが高かった。
転倒歴のある患者は大出血,頭蓋内出血,死亡リスクが高かったが,脳卒中/全身性塞栓症,出血性脳卒中は同程度であった。
大出血:転倒あり群4.86% vs. 転倒なし群2.53%,補正後HR 1.39,95%CI 1.05-1.84,p=0.020。
頭蓋内出血:1.00% vs. 0.55%,補正後 HR 1.87,1.02-3.43,p=0.044。
全死亡:6.57% vs. 3.44%,補正後HR 1.70,1.36-2.14,p<0.0001。
脳卒中/全身性塞栓症:1.87% vs. 1.43%,補正後HR 1.21,0.80-1.82,p=0.370。
出血性脳卒中:0.30% vs. 0.35%,補正後HR 0.92,0.33-2.53,p=0.869。
転倒歴の有無にかかわらず,apixabanのwarfarinに比較した有効性について,相違があるというエビデンスはみられなかった。
[脳卒中/全身性塞栓症]転倒あり:HR 0.88,0.40-1.93,転倒なし:HR 0.75,0.62-0.91,交互作用p=0.69。
[大出血]転倒あり:HR 0.81,0.48-1.36,転倒なし:HR 0.69,0.59-0.81,交互作用p=0.57。
硬膜下出血はwarfarin群5/367例,apixaban群0/386例。

●有害事象

文献: Rao MP, et al.; Apixaban for Reduction in Stroke and Other Thromboembolic Events in Atrial Fibrillation (ARISTOTLE) Investigators. Clinical Outcomes and History of Fall in Patients with Atrial Fibrillation Treated with Oral Anticoagulation: Insights From the ARISTOTLE Trial. Am J Med 2018; 131: 269-75.e2. pubmed
関連トライアル ARISTOTLE, ARISTOTLE according to age, ARISTOTLE cancer, ARISTOTLE cardioversion, ARISTOTLE concomitant aspirin use, ARISTOTLE major bleeding, ARISTOTLE outcome of major bleeding, ARISTOTLE previous stroke/TIA, ARISTOTLE renal function, ARISTOTLE risk score, ARISTOTLE time in therapeutic range, ARISTOTLE type and duration of AF, AVERROES bleeding, AVERROES previous stroke/TIA, ENGAGE AF-TIMI 48 previous stroke/TIA, Larsen TB et al, REAFFIRM, ROCKET AF elderly patients, ROCKET AF post hoc analysis, ROCKET AF renal dysfunction, Roldan V et al, Swedish Atrial Fibrillation cohort study
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