抗血栓トライアルデータベース
home
テキストサイズ
Ono F et al
結論 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)をうける日本人心房細動患者において,抗血小板薬の処方は抗凝固薬より多く,退院時30%以上が抗凝固薬を投与されていなかった。退院時には約6割が抗凝固薬+抗血小板薬2剤併用(DAPT)の3剤併用療法をうけていたが,6ヵ月後には投与率は半減した。本研究登録患者の多くは高リスクであり,日本人患者のリスクプロファイルを反映する新しいリスク評価法が必要と考えられた。

目的 欧州ではPCIをうける心房細動患者に対し,CHA2DS2-VAScスコアHAS-BLED出血リスクスコアにもとづいた抗血栓療法のストラテジーを推奨している。しかし,そのようなストラテジーがアジア人に適用できるかどうかは不明である。本研究はレセプト情報・特定健診等データベースシステム(NDB)を用い,日本人患者における抗血栓療法を検討した。主要評価項目:PCI施行前,退院時,PCIから6,9,12ヵ月後の抗凝固療法/抗血小板療法実施率。副次評価項目:PCI後の脳卒中。
デザイン 後ろ向きコホート研究。
セッティング 多施設,日本。
期間 登録期間は2014年4月1日~2015年3月31日。
対象患者 10,862例。当該期間にPCIをうけた心房細動患者で,PCI施行前の1年間に抗凝固薬(warfarin, apixaban, dabigatran, edoxaban, rivaroxaban)または抗血小板薬(aspirin, clopidogrel, ticlopidine, cilostazol, alprostadil afadex, dipyridamole, sarpogrelate, prasugrel, icosapent ethyl, beraprost, limaprost, ozagrel)を処方された症例。
【除外基準】-
【患者背景】血栓症および出血リスクにもとづき,以下の4群に分類した。
CV(L)-HAS(L)群:167例。CHA2DS2-VASc<2かつHAS-BLED<3。
CV(L)-HAS(H)群:17例。CHA2DS2-VASc<2かつHAS-BLED≧3。
CV(H)-HAS(L)群:1,172例。CHA2DS2-VASc≧2かつHAS-BLED<3。
CV(H)-HAS(H)群:9,506例。CHA2DS2-VASc≧2かつHAS-BLED≧3。
本研究では両スコアとも修正スコアを用いた(CHA2DS2-VAScスコア:うっ血性心不全,高血圧,年齢,糖尿病,脳卒中,血管疾患,性別,HAS-BLED:高血圧,腎・肝機能異常,脳卒中・血栓塞栓症,出血,年齢,薬物)。
年齢65~74歳はCV(L)-HAS(L)群26.9%(p=0.02),CV(L)-HAS(H)群52.9%,CV(H)-HAS(L)群17.9%*,CV(H)-HAS(H)群36.0%。≧75歳はそれぞれ0%,0%,22.0%*,59.5%。男性98.8%*,100%,87.9%*,73.6%。CHA2DS2-VAScスコア中央値1 *,1 *,3 *,5。HAS-BLEDスコア中央値2 *,3 *,2 *,4。抗血小板薬処方95.8%*,100%,93.3%*,98.9%。
*:CV(H)-HAS(H)群に対しp<0.01
治療法
追跡完了率
結果

●評価項目
全体の87.5%は血栓症リスク,出血リスクとも高かった。
血栓症高リスクの30%以上では,退院時に経口抗凝固薬を処方されていなかった。PCI施行前→退院時の薬物療法の変化は以下の通り。
抗血栓薬なし6.6%→1.2%,抗血小板薬単独(SAPT)10.7%→2.3%,DAPT 15.1%→27.3%,直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)単独10.3%→0.3%,DOAC+SAPT併用9.3%→2.6%,DOAC+DAPT併用10.1%→28.1%,warfarin単独10.1%→0.3%,warfarin+SAPT併用12.7%→2.8%,warfarin+DAPT併用13.0%→31.9%,その他2.1%→3.2%。
全例における薬物療法の変化は,抗凝固薬+SAPT併用はPCI施行前21.0%→退院時5.3%→PCI施行6ヵ月後17.3%,抗凝固薬+DAPT併用はそれぞれ23.2%→59.1%→33.5%。
PCI施行後の1年間に脳卒中は1,087例発症した。CV(H)-HAS(H)群に対する脳卒中発症のHRは以下の通り。
CV(H)-HAS(L)群:HR 0.16,95%CI 0.16-0.33,p<0.01。
CV(L)-HAS(L)群:HR 0.10,95%CI 0.03-0.42,p<0.01。
脳卒中既往者における非既往者に対する脳卒中発症のHRは9.09(95%CI 7.86-10.50,p<0.01)であった。

●有害事象

文献: Ono F, et al. Utilization of Anticoagulant and Antiplatelet Agents Among Patients With Atrial Fibrillation Undergoing Percutaneous Coronary Intervention - Retrospective Cohort Study Using a Nationwide Claims Database in Japan. Circ J 2017; : . pubmed
関連トライアル ACTION Registry-GWTG triple therapy, APEX-AMI atrial fibrillation, Lamberts M et al, Lamberts M et al, Lamberts M et al, Ontario Stroke Registry, ORBIT-AF registry triple vs. dual antithrombotic therapy, PROSPER antithrombotic treatment and outcomes, Sambola A et al
関連記事