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Yoon CY et al
結論 透析を行っている心房細動患者におけるwarfarin使用は,出血イベントリスクが高く,血栓塞栓イベント予防の有効性が低いことから,注意深く使用すべきであることが示唆された。

目的 心房細動患者において,血栓塞栓イベント予防のためのwarfarin投与は広く推奨されている。しかし末期腎臓病患者に対しては,warfarinの明らかなベネフィットは示されておらず,出血リスクの上昇が示唆されている。心房細動患者に対する抗凝固療法についての大規模ランダム化比較試験(RCT)では,そのほとんどで末期腎臓病患者が対象から除外されており,これらの患者におけるエビデンスは不足している。本研究では,末期腎臓病を合併している心房細動患者において,傾向スコアを用い,warfarin使用の有効性および安全性を検討した。主要評価項目:血栓塞栓イベント(心筋梗塞,虚血性脳卒中,末梢動脈疾患),出血イベント(出血性脳卒中,消化管出血)。
デザイン 後ろ向きコホート研究。
セッティング 多施設,韓国。
期間 登録期間は2009年1月1日~2013年12月31日。平均追跡期間は15.9ヵ月。
対象患者 9,974例。National Health Insurance Claims Database(韓国の全住民が登録されている健康保険データベース)登録者のうち,末期腎臓病を合併している心房細動患者。
【除外基準】追跡開始後14日以内に主要転帰を発症,僧帽弁狭窄の既往または弁膜手術歴,心筋梗塞/脳梗塞/末梢動脈疾患/出血性脳卒中/消化管出血既往。
【患者背景】平均年齢*はwarfarin使用群67.8歳,非使用群66.1歳。それぞれの男性59.9%,57.5%(p=0.027)。併存疾患:糖尿病*43.1%,35.9%,高血圧*89.4%,79.2%,肝硬変**5.7%,7.6%,悪性腫瘍24.9%,25.7%。投薬:aspirin*44.6%,56.0%,その他の抗血小板薬* 25.6%,30.6%,スタチン*48.1%,36.3%。CHA2DS2-VAScスコアスコア>3点*45.4%,36.3%,修正HAS-BLED出血リスクスコア(INR不安定,薬物/アルコールについてはデータが入手できなかったため除外)>2点* 78.6%,73.3%。*p<0.001, **p=0.001。
治療法 全体コホートのうちwarfarin使用(>90日間継続と定義)は2,921例(29.3%)であった。このうち2,774例について,warfarin非使用例と傾向スコア(年齢,性別,病歴,薬物療法,CHA2DS2-VAScスコア,修正HAS-BLEDスコア)を1:1で合致させた。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
全体コホートにおいて,脳梗塞678例(6.8%)および出血性脳卒中227例(2.3%)が発症した。
出血性脳卒中は,全体コホート,傾向スコアコホートともwarfarin群のほうが多かった。
全体コホート:warfarin群89例(3.0%),非使用群138例(2.0%),HR 1.44,95%CI 1.09-1.91,p=0.010。
傾向スコアコホート:warfarin群84例(3.0%),非使用群50例(1.8%),HR 1.56,1.10-2.22,p=0.013。
脳梗塞は,全体コホート,傾向スコアコホートとも有意差を認めなかった。
全体コホート:warfarin群221例(7.6%),非使用群457例(6.5%),HR 1.06,0.90-1.26,p=0.470。
傾向スコアコホート:warfarin群204例(7.4%),非使用群201例(7.2%),HR 0.95,0.78-1.15,p=0.569。
傾向スコアコホートにおいてサブグループ解析を行ったところ,出血性脳卒中リスクは≧65歳(HR 1.59,1.04-2.43,p=0.032),男性(HR 1.75,1.11-2.74,p=0.015),出血高リスク(修正HAS-BLEDスコア>2,HR 1.53,1.05-2.24,p=0.028)で高かった。

●有害事象

文献: Yoon CY, et al. Warfarin Use in Patients With Atrial Fibrillation Undergoing Hemodialysis: A Nationwide Population-Based Study. Stroke 2017; 48: 2472-2479. pubmed
関連トライアル Graham DJ et al, Larsen TB et al
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