抗血栓トライアルデータベース
home
テキストサイズ
RE-DUAL PCI
結論 PCIを施行した心房細動患者において,dabigatran+P2Y12阻害薬の2剤併用療法の出血リスクは,warfarin+抗血小板薬2剤併用療法(DAPT;P2Y12阻害薬+aspirin)の3剤併用療法にくらべて有意に低かった。血栓塞栓イベントについては,2剤併用療法の3剤併用療法に対する非劣性が認められた。
コメント ステントを入れた冠動脈疾患ではアスピリンとP2Y12受容体阻害薬の抗血小板併用療法,脳卒中リスクを有する非弁膜症性心房細動には抗凝固療法がおのおの確立された標準治療と考えると,単純な論理の延長として,ステント挿入後の冠動脈疾患にて脳卒中リスクを合併した非弁膜症性心房細動には抗血小板併用療法と抗凝固療法の併用が勧められると考える人もいる。単純な論理の落とし穴である。実際は,抗血小板併用療法は頭蓋内出血を含む重篤な出血合併症が多いので,短期化を進めようとしている。非弁膜症性心房細動では抗凝固薬による年率3%の重篤な出血イベント以上に脳卒中イベントを起こす症例群は狭いので,一部の症例に抗凝固薬が使われているにすぎない。
PIONEER AF-PCIでは,重篤な出血合併症を減らすべくリバーロキサバンは用量を減らしたが,RE-DUAL試験ではダビガトランの減量を行わなかった。重篤もしくは臨床的に意味のある非重篤な出血合併症はダビガトラン,ワルファリンにかかわりなく15%以上の症例に発現した。ISTHの定義による重篤な出血は5%以上に発症した。抗血小板併用療法に抗凝固療法を追加すると,重篤な出血合併症が容認できるレベルを超えて発現することが改めて確認された。(後藤信哉

目的 PCIを施行した心房細動患者における最適な抗血栓療法を決定するには,血栓発症抑制と出血リスクのバランスを考慮する必要がある。PCI施行後の心房細動患者に対する標準療法はwarfarin+DAPTの3剤併用療法であるが,出血リスク上昇との関連が示唆されている。本研究では,PCIを施行した心房細動患者において,dabigatran+P2Y12阻害薬の2剤併用療法はwarfarin+DAPTの3剤併用療法に対し非劣性を示すという仮説を検証した(非劣性マージン1.38)。主要評価項目:初発のISTH大出血または臨床的に重大な非大出血。おもな副次評価項目:血栓塞栓イベント(心筋梗塞,脳卒中,全身性塞栓症)+死亡+予定外の血行再建術(PCIまたはCABG)の複合。なお,当初予定していた登録数(8,520例)の達成が不可能であったため,2つの主要評価項目のうち,血栓塞栓イベントは副次評価項目に変更した。
デザイン PROBE(Prospective, Randomized, Open, Blinded-Endpoint),非劣性試験。intention-to-treat解析。NCT02164864。
セッティング 多施設(414施設),41ヵ国。
期間 登録期間は2014年7月21日~2016年10月31日。平均追跡期間14ヵ月。
対象患者 2,725例。≧18歳,非弁膜症性心房細動を有し,急性冠症候群/安定冠動脈疾患に対するPCI(ベアメタルステント[BMS]/薬剤溶出ステント[DES])施行成功後120時間以内の患者。PCI施行前の経口抗凝固薬服用の有無は問わない。
【除外基準】生体弁/機械弁,重度腎障害(クレアチニンクリアランス<30mL/分),その他の主要併発疾患。
【患者背景】平均年齢は110mg 2剤併用群71.5歳,3剤併用群71.7歳,150mg 2剤併用群68.6歳,対応する3剤併用群*68.8歳。それぞれの男性74.2%,76.5%,77.6%,77.7%。糖尿病36.9%,37.9%,34.1%,39.7%。脳卒中既往7.5%,10.2%,6.8%,10.1%。平均CHA2DS2-VAScスコア3.7,3.8,3.3,3.6。平均HAS-BLED出血リスクスコア2.7,2.8,2.6,2.7。3剤併用群のTTRは64%。
*:150mg 2剤併用群に適格の患者のみ含む(米国以外の高齢患者を含まない)。
治療法 PCI施行後,米国のすべての患者と米国以外の非高齢患者(<80歳,日本では<70歳)については,以下の3群に無作為に割り付けた。米国以外の高齢患者(≧80歳,日本では≧70歳)は,110mg 2剤併用群または3剤併用群に1:1で割り付けた。
110mg 2剤併用群:981例。dabigatran 110mg 1日2回+clopidogrelまたはticagrelor。
150mg 2剤併用群:763例。dabigatran 150mg 1日2回+clopidogrelまたはticagrelor。
3剤併用群:981例。warfarin+aspirin≦100mg/日+clopidogrelまたはticagrelor。
3剤併用群のaspirinは,BMS植え込み患者では1ヵ月後,DES植え込み患者では3ヵ月後に中止した。
clopidogrel(75mg/日)またはticagrelor(90mg 1日2回)は12ヵ月以上投与し,薬剤の選択は医師の裁量とした。warfarinはINR 2.0~3.0となるよう用量を調整した。
追跡完了率 追跡不能6例(0.2%)。
結果

●評価項目
主要評価項目について,110mg 2剤併用群(15.4%)の3剤併用群(26.9%)に対する非劣性,優越性が認められた(HR 0.52,95%CI 0.42-0.63,非劣性p<0.001,優越性p<0.001)。
150mg 2剤併用群(20.2%)は対応する3剤併用群(25.7%)に対し,非劣性が認められた(HR 0.72,95%CI 0.58-0.88,非劣性p<0.001)。
副次評価項目について,2剤併用群統合13.7%の3剤併用群13.4%に対する非劣性が認められた(HR 1.04,95%CI 0.84-1.29,非劣性p=0.005)。

●有害事象
重篤な有害事象は,110mg 2剤併用群42.7%,150mg 2剤併用群39.6%,3剤併用群41.8%。死に至った重篤な有害事象は,それぞれ38例(3.9%), 24例(3.2%), 41例(4.3%)。

文献: Cannon CP, et al.; RE-DUAL PCI Steering Committee and Investigators. Dual Antithrombotic Therapy with Dabigatran after PCI in Atrial Fibrillation. N Engl J Med 2017; : . pubmed
関連トライアル ACTION Registry-GWTG triple therapy, Lamberts M et al, ORBIT-AF registry triple vs. dual antithrombotic therapy, TRILOGY ACS elderly patients
関連記事