抗血栓トライアルデータベース
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結論 Noboriステント留置後,6ヵ月の抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)は18ヵ月のそれに対し,非劣性を示した。しかしながら本結果は,オープンラベル試験であったこと,非劣性マージンが大きかったことを鑑み,慎重に解釈する必要がある。
コメント 日本企業の開発したステントを用い,抗血小板薬継続期間の短縮の可能性を探索した試験である。薬剤溶出ステントの抗血小板併用療法の期間については価値の乏しい議論が長年継続されていた。世界の各国には75mgのクロピドグレル錠のみが使用可能である。アスピリンとともに75mgのクロピドグレルを継続するか否かが世界の議論である。日本には25mgのクロピドグレル錠がある。75mgで出血が心配なら50mgに減量すればよいし,さらに不安があれば25mgに減量すればよい。日本の職人的な医師は,感覚的に世界一イベントの少ない個別調節が可能であろう。
何が何でもランダム化比較試験を行えばよいというものではない。本研究では,オープンラベルにて抗血小板併用療法を6ヵ月にて中止した群と,長期継続した群を比較した。質が高いことで世界を感嘆させているmade in JapanのNoboriステントであっても,抗血小板併用療法を6ヵ月で止めた方がイベントの数は多めであった。死亡も長期に継続した方が少ない傾向を示唆している。やはり,日本ではYes/Noに明確にわけるのではなく,曖昧に少量を継続して軟着陸を目指すのがよいことを示唆する結果であった。(後藤信哉

目的 薬剤溶出性ステント(DES)留置後の至適DAPT期間については,議論が分かれている。本試験では,生分解性ポリマーを使用したDESであるNoboriステント留置患者において,短期DAPTの長期DAPTに対する非劣性を検討した。主要評価項目:ステント留置6~18ヵ月後の正味の有害臨床および脳血管イベント(全死亡,Q波/非Q波心筋梗塞,脳血管イベント,大出血;NACCE)。
デザイン 無作為割付,非劣性試験(非劣性マージン-2.0%)。intention-to-treat解析(6ヵ月以上追跡を行った3,307例)。NCT01514227。
セッティング 多施設(130施設),日本。
期間 試験期間は2011年12月~2015年6月。追跡期間中央値は長期群435日,短期群430日。
対象患者 3,773例。Noboriステントを留置された安定また急性冠症候群患者。
【除外基準】ステント内再狭窄(ベアメタルステント:BMSまたはDES),伏在静脈グラフト病変または非保護左主幹部病変に対するPCI施行。
【患者背景】平均年齢は長期群67.2歳,短期群67.4歳。各群の男性79.4%,78.8%。BMI 24.3,24.5。糖尿病38.4%,37.4%。高血圧73.1%,71.2%。脂質異常症68.5%,68.3%。心筋梗塞既往11.8%,12.2%。脳卒中既往2.5%,2.9%。臨床症状:ST上昇型心筋梗塞11.9%,12.0%,非ST上昇型心筋梗塞1.6%,2.0%,不安定狭心症20.0%,17.9%,安定狭心症44.4%,48.7%,その他16.6%,16.2%。標的病変:左主幹部0.8%,0.4%,左前下行枝52.4%,51.8%,左回旋枝19.7%,20.1%,右冠動脈27.1%,27.7%。標的血管数:1枝81.4%,82.2%,2枝15.5%,13.7%,3枝3.1%,4.1%。平均ステント留置数1.5個,1.4個。
治療法 PCI施行のための入院中に以下の2群に無作為に割付け,DAPT(aspirin 81~162mg/日+clopidogrel 75mg/日またはticlopidine 200mg/日)投与。
長期群:1,653例。DAPT期間18ヵ月。
短期群:1,654例。同6ヵ月。
追跡完了率
結果

●評価項目
2015年6月,中間解析でイベント発症率が低かったこと,登録が想定より遅れたことから患者登録を中止した。また,DAPT試験で長期DAPTのほうが優れていたことから,すでに登録されていた患者に対するDAPT期間の選択は担当医の裁量とした。
NACCE発症は長期群24例(1.5%),短期群34例(2.1%),差-0.6%,95%CI -1.5~0.3。95%CI下限値が非劣性マージン以内であったため,短期DAPTの非劣性が示された。推定確率はHR 1.44,95%CI 0.86~2.43,p=0.16。
全死亡は長期群7例(0.4%),短期群16例(1.0%),差-0.5%,95%CI -1.2~0.0,p=0.09。
非致死性心筋梗塞1例(0.1%),4例(0.2%),差-0.2%,-0.6~0.1,p=0.37。
大出血12例(0.7%),11例(0.7%),差0.1%,-0.6~0.7,p=0.84。
ステント血栓症1例(0.1%),2例(0.1%),差-0.1%,-0.4~0.2,p=1.00。

●有害事象

文献: Nakamura M, et al.; NIPPON Investigators. Dual Antiplatelet Therapy for 6 Versus 18 Months After Biodegradable Polymer Drug-Eluting Stent Implantation. JACC Cardiovasc Interv 2017; 10: 1189-1198. pubmed
関連トライアル DES留置後のDAPT期間:短期と長期の比較, EXCELLENT, OPTIMIZE, PRODIGY impact of clinical presentation, PRODIGY in-stent restenosis, RESET, SECURITY
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