抗血栓トライアルデータベース
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ARISTOTLE cancer
結論 癌は脳卒中リスク上昇と関連していなかった。apixabanのwarfarinに対する有効性および安全性は,癌の有無にかかわらず一貫していた。癌合併心房細動患者に対するapixabanの肯定的な結果は期待できるものであるが,さらなる評価が必要である。
コメント 担癌患者および癌既往患者においても,アピキサバンのワルファリンに対する有効性,安全性の優位性は変わらなかったという結論である。実際に癌患者にワルファリンを使用している場合,薬物相互作用によりINRコントロールが困難になることをしばしば経験する。抗癌剤は投与期間と休止期間があり,相互作用の強い抗癌剤投与下でのワルファリンコントロールは容易ではない。今回の検討は,担癌患者におけるアピキサバンの有用性を示した点で大きな意義がある。一点気をつけておきたいのは,平均年齢が74~75歳と高齢であること。もともとアピキサバンでは高齢者においてよりワルファリンとの有効性・安全性に差が出てくることから,より若い年齢層あるいは癌種による差異など検討の余地があろう。(是恒之宏

目的 心房細動患者において,癌は血栓形成促進性と関連しており,血栓イベントリスクを上昇させる可能性が示唆されている。本解析では,ARISTOTLEの癌合併心房細動患者において,臨床特性および転帰を検討し,apixabanの有効性および安全性をwarfarinと比較した。有効性主要評価項目:脳卒中または全身性塞栓症。安全性主要評価項目:ISTH出血基準大出血
デザイン ARISTOTLEは無作為割付,二重盲検試験。本解析は事前に定められたものではない。
セッティング 多施設,複数国。
期間 追跡期間中央値1.8年。
対象患者 18,183例。ARISTOTLE試験対象患者(脳卒中リスク因子[≧75歳,脳卒中/一過性脳虚血発作/全身性塞栓症既往,3ヵ月以内の症候性心不全またはEF<40%,糖尿病,薬物治療を要する高血圧]を1つ以上有する心房細動患者)のうち,登録時に癌に関するデータが得られた症例。
【除外基準】-
【癌の有無別の患者背景】年齢中央値は進行癌例74歳,癌既往例75歳,非癌例70歳。それぞれの女性19.7%,34.7%,35.4%。平均CHADS2スコア2.2,2.3,2.1。平均CHA2DS2-VAScスコア3.6,3.8,3.4。平均HAS-BLED出血リスクスコア2.2,2.2,1.7。癌の部位(進行癌+既往):前立腺癌29%,乳癌16%,結腸癌11%,膀胱癌7%など。
治療法 以下の2群に無作為割付。
apixaban群:9,120例。5mg 1日2回投与(以下の項目のうち2つ以上該当する場合は2.5mg 1日2回投与とした:≧80歳,体重<60kg,血清クレアチニン≧1.5mg/dL)。
warfarin群:9,081例。INR 2.0~3.0となるよう用量調整投与。
追跡完了率
結果

●評価項目
登録時に1,236例(6.8%)が癌(基底細胞癌または扁平上皮癌以外)既往を有しており,157例(12.7%)は進行癌または治療から1年以内,1,079例(87.3%)は癌既往例であった。
癌既往と脳卒中/全身性塞栓症,大出血,死亡との有意な関連はみられなかった。
apixabanのwarfarinに対する有効性主要評価項目予防の有効性は,癌(進行癌+既往)の有無にかかわらず一貫していた(交互作用p=0.37)。
癌例:apixaban群15例(1.4%/年),warfarin群14例(1.2%/年),HR 1.09,95%CI 0.53-2.26。
非癌例:196例(1.3%/年),251例(1.6%/年),HR 0.77,95%CI 0.64-0.93。
安全性評価項目も癌の有無にかかわらず一貫していた(交互作用p=0.72)。
癌例:apixaban群24例(2.4%/年), warfarin群32例(3.2%/年),HR 0.76,95%CI 0.45-1.29。
非癌例:303例(2.1%/年),430例(3.1%/年),HR 0.69,95%CI 0.59-0.80。
脳卒中/全身性塞栓症,心筋梗塞,死亡の複合について,apixabanは進行癌例では非癌例にくらべ大きなベネフィットが認められたが,癌既往例では有意差は認められなかった(交互作用p=0.0028)。
進行癌例:apixaban群5例(3.7%/年),warfarin群16例(12.1%/年),HR 0.30,95%CI 0.11-0.83。
癌既往例:69例(7.1%),49例(4.8%),HR 1.46,95%CI 1.01-2.10。
非癌例:734例(4.7%),841例(5.4%),HR 0.86,95%CI 0.78-0.95。

●有害事象

文献: Melloni C, et al. Efficacy and Safety of Apixaban Versus Warfarin in Patients with Atrial Fibrillation and a History of Cancer: Insights From the ARISTOTLE Trial. Am J Med 2017; : . pubmed
関連トライアル ARISTOTLE cardioversion, ARISTOTLE concomitant aspirin use, ARISTOTLE major bleeding, ARISTOTLE previous stroke/TIA, ARISTOTLE risk score
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