抗血栓トライアルデータベース
home
テキストサイズ
ENCHANTED renal impairment
結論 血栓溶解療法を行った急性虚血性脳卒中患者において,腎機能障害(RD)は死亡リスク上昇と関連していたが,後遺障害や症候性脳内出血との関連は認めなかった。このことから,RDそれ自体はalteplase使用に対する絶対禁忌ではないと考えられる。ただし,RDを有する虚血性脳卒中患者において,alteplase低用量が標準用量を超えたベネフットを有するかについては,依然として不明である。

目的 RD患者は虚血性および出血性脳卒中発症リスク,脳卒中重症度,転帰不良リスクが上昇する。本解析は,alteplase低用量と標準用量の有効性を比較したENCHANTEDの事後サブグループ解析として,RDが転帰に及ぼす影響,ならびにalteplase投与との交互作用を検討した。主要評価項目:90日後の死亡+後遺障害(modified Rankin Score(mRS) 2~6)の複合。
デザイン ENCHANTEDはfactorial,PROBE試験。NCT01422616。
セッティング 多施設,複数国。
期間
対象患者 3,220例。脳画像で確認された虚血性脳卒中の臨床的診断を有し,各地域の血栓溶解療法基準(発症後4.5時間以内を含む)に合致した患者3,310例のうち,入院時の血清クレアチニンにもとづく腎機能評価が可能であった患者(97.3%)。
【除外基準】―
【患者背景】平均年齢は腎機能正常群58.1歳,軽度RD群69.7歳,中等度RD群75.6歳,重度RD群76.6歳,末期RD群64.4歳(傾向p<0.001)。各群の女性33.9%,36.6%,46.6%,50.0%,51.0%(傾向p<0.001)。アジア人78.2%,60.3%,44.8%,31.5%,51.0%(傾向p<0.001)。発症-割付時間(平均)2.87時間,2.68時間,2.55時間,2.59時間,2.70時間(傾向p<0.001)。National Institute of Health stroke scale(NIHSS)中央値8,8,10,8,8(傾向p<0.001)。脳卒中既往14.3%,19.6%,19.4%,25.9%,20.4%(傾向p=0.001)。低用量群への割付48.9%,50.7%,48.7%,59.3%,49.0%。
治療法 ENCHANTEDは,alteplase低用量群(0.6mg/kg)または標準用量群(0.9mg/kg)に無作為に割り付けた。
本解析では,eGFR(mL/分/1.73m2)により腎機能正常群(≧90;1,171例), 軽度RD群(60~89;1,390例),中等度RD群(30~59;556例),重度RD群(15~29;54例),末期RD群(≦15;49例)に分類し,解析した。
追跡完了率
結果

●評価項目
連続変数とした場合,eGFR 10mL/分/1.73m2低下ごとに90日後の死亡リスクは9%上昇した。
腎機能正常群にくらべ,eGFR<30mL/分/1.73m2(重度RD群+末期RD群)の死亡リスクは約2倍に上昇した(補正後OR 2.07,95%CI 0.89-4.82,傾向p=0.04)。
死亡+後遺障害についてはeGFR低下によるリスクの上昇を認めなかった。mRS 2~6:補正後OR 1.03,95%CI 0.62-1.70,傾向p=0.81。
mRS 3~6:補正後ORは1.20,95%CI 0.72-2.01,傾向p=0.44。
神経学的悪化(24時間後のNIHSS上昇≧4ポイント)を認めたのは,腎機能正常群6.7%,軽度RD群8.3%,中等度RD群9.4%,重度RD群11.1%,末期RD群8.3%で,有意差はみられなかった。
症候性脳内出血発症率は低く,重度RD群+末期RD群においてalteplase低用量群と標準用量群との有意差は認めなかった。

●有害事象

文献: Carr SJ, et al.; ENCHANTED Investigators. Influence of Renal Impairment on Outcome for Thrombolysis-Treated Acute Ischemic Stroke: ENCHANTED (Enhanced Control of Hypertension and Thrombolysis Stroke Study) Post Hoc Analysis. Stroke 2017; 48: 2605-9. pubmed
関連トライアル alteplase静注における治療時間の遅れ,年齢,脳卒中重症度の影響, alteplase投与後の脳内出血リスク(STT二次解析), ASTRAL influence of arterial occlusion, Cappellari M et al, ECASS III, ENCHANTED, ENCHANTED prior antiplatelet therapy, ESCAPE, Fuentes B et al, Hsieh CY et al, ICARO-2, IST-3 clinically important subgroups, IST-3 mild stroke, J-MARS, Kim BJ et al, OPHELIE-COG, Power A et al, PRACTISE gender difference, SAINT postthrombolysis ICH, SITS-EAST stroke recurring within 3 months, SITS-ISTR unknown-onset stroke, SITS-ISTR elderly, SITS-ISTR sex differences, SITS-ISTR within-day and weekly variations, SITS-ISTR young patients, SITS-MOST multivariable analysis, SYNTHESIS Expansion, TIMS-China, TIMS-China smoking-thrombolysis relationship, TTT-AIS, Tutuncu S et al, VISTA contraindications, 血栓溶解療法後の頭蓋内出血, 前方循環閉塞に対する血栓溶解療法, 白質病変が血栓溶解療法静注後の頭蓋内出血・転帰におよぼす影響, 発症時間不明脳卒中に対する血栓溶解療法
関連記事