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メタ解析
血栓溶解療法後の脳微小出血,脳内出血,機能的転帰
Microbleeds, Cerebral Hemorrhage, and Functional Outcome After Stroke Thrombolysis: Individual Patient Data Meta-Analysis
結論 血栓溶解療法静注を行った虚血性脳卒中患者において,脳微小出血の数量は治療後の虚血部・遠隔部の脳内出血発症リスクおよび3~6ヵ月後の機能的転帰不良の上昇と関連していた。
コメント 脳梗塞発症前の脳微小出血(CMB)とrt-PA静注血栓溶解療法後の脳内出血との関連について,わが国の論文も多く含みきめ細かく分析したメタ解析で,意義ある研究である。機能的転帰との明確な関連も認められたことから,rt-PA治療において既知のCMBs多数合併例においては,個々の病態を考慮し,慎重投与を心がけた方がよいであろう。(岡田靖

目的 急性虚血性脳卒中患者において,血栓溶解療法静注前の脳微小出血は治療後の症候性脳内出血リスクと関連することがメタ解析にて示唆されているが,病変の数,分布や重要な交絡因子との関連については報告されていない。本研究は,(1)脳微小出血の数量が脳内出血リスクと関連するか,(2)脳葉微小出血(脳アミロイド症[CAA]に関連していると推定される)および混合型または深部脳微小出血(高血圧性動脈疾患と関連する推定される)が脳内出血リスクに及ぼす影響は異なるか,(3)脳微小出血が,症候を呈する虚血部の実質性出血(PH)リスクよりも,虚血部位から離れた遠隔部の脳内出血(PHr)のリスクと,より強い関連があるか,(4)脳微小出血が,機能転帰の悪化と関連があるかを検討した。
方法 Preferred Reporting Items for Systematic Review and Meta-Analysis(2015年8月1日更新)にしたがい検索した。おもにSTROBE声明にもとづき,バイアスを評価した。
検索対象:t-PA静注単独療法をうけた虚血性脳卒中患者において,治療前のMRIによる脳微小出血,脳内出血,発症後3~6ヵ月の機能的転帰を評価した前向き/後ろ向き研究。
除外:個々の患者のデータが得られなかった研究,t-PA静注と動脈内投与の併用。
マルチレベル混合効果ロジスティック回帰分析を用い,治療前の脳微小出血の有無,数(1,2~4,≧5,>10),推定発症機序(CAA/非CAA)と症候性脳内出血,虚血部/遠隔部の脳内出血(PH/ PHr),3~6ヵ月後の機能的転帰不良(modified Rankin Score(mRS)>2)の関連を検討した。
対象 7研究,2,048例(8施設;解析対象数は脳内出血1,973例,機能的転帰1,894例)。
対象患者の年齢中央値73歳,男性56%,National Institute of Health stroke scale(NIHSS)中央値10。各研究の症例数70~433例。
主な結果 ・脳微小出血の粗有病率
脳微小出血は526/1,973例(26.7%),症候性脳内出血77/1,973例(3.9%),PH 210/1,806例(11.6%),PHr 56/1,720例(3.3%)に発症した。

・脳微小出血の有無とPH/PHr発症リスクとの関連
脳微小出血患者は非出血患者にくらべ,PH(OR 1.50,95%CI 1.09-2.07,p=0.013)ならびにPHrリスク(OR 3.04,1.73-5.35,p<0.001)が高かったが,症候性脳内出血リスクは同程度であった(OR 1.42,0.86-2.35)。

・脳微小出血の数量と脳内出血発症リスクとの関連
脳微小出血の数量は,症候性脳内出血(p=0.014),PH(p=0.013),PHr(p<0.00001)のリスクと関連していた。対数変換したORはそれぞれ1.36(95%CI 1.01-1.84,p<0.05),1.42(1.17-1.74,p<0.005),2.07(1.57-2.74,p<0.001)。

・CAA vs. 非CAA関連脳微小出血の数量と脳内出血発症リスクとの関連
CAA関連脳微小出血の数量は,PH(p=0.06)およびPHr(p=0.001)のリスクと関連していた。対数変換したORは,それぞれ2.06(1.32-3.21,p<0.005),3.77(2.12-6.71,p<0.001)。
非CAA関連脳微小出血の数量も,PH(p=0.006)およびPHr(p=0.003)のリスクと関連していた。対数変換したORはそれぞれ1.47(1.16-1.87,p<0.005),1.85(1.37-2.50,p<0.001)。

・機能的転帰不良と脳微小出血の数量との関連
3~6ヵ月後の機能的転帰不良は746/1,894例(39%)で,≧5個の脳微小出血(OR 1.85,1.10-3.12,p=0.020)および>10個の脳微小出血(OR 3.99,1.55-10.22,p=0.004),>10個の非CAA関連脳微小出血とも関連があった(OR 3.39,1.29-8.89,p<0.05)。
3~6ヵ月の死亡と脳微小出血との関連はみられなかった。
文献: Charidimou A, et al. Microbleeds, Cerebral Hemorrhage, and Functional Outcome After Stroke Thrombolysis: Individual Patient Data Meta-Analysis. Stroke 2017; : . pubmed
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