抗血栓トライアルデータベース
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メタ解析
心房細動合併頭蓋内出血患者に対する長期抗血栓療法
Long-term antithrombotic treatment in intracranial hemorrhage survivors with atrial fibrillation
結論 頭蓋内出血を発症した心房細動患者に関する観察研究において,ビタミンK拮抗薬(VKA)は抗血小板薬または抗血栓療法なしにくらべ,頭蓋内出血再発を増加させず,脳梗塞低減と関連していた。このような患者において抗凝固療法の正味の臨床ベネフィットを判断するためには,ランダム化比較試験(RCT)が必要である。
コメント 心房細動と脳出血の既往を有する症例にワルファリン療法を行う場合,それに伴う重篤な脳出血再発リスクが懸念される。本メタ解析では,抗血小板薬投与例や抗血栓薬非投与例と比較して,ワルファリン療法例において脳梗塞予防効果が示されるも,脳出血発症率の上昇は認められなかった。アミロイドアンギオパチーや血圧に十分な注意を払うことで,脳出血の既往を有する心房細動例への抗凝固療法も積極的に対応できるものと考えられる。(矢坂正弘

目的 頭蓋内出血を発症した心房細動患者に対する抗血栓療法は困難な課題である。抗凝固療法の有無別の頭蓋内出血再発リスクに関するデータは限られており,RCTも行われていない。本研究では,このような患者における脳梗塞および頭蓋内出血発症率を報告している試験のシステマティックレビューおよびメタ解析を行った。主要評価項目:当該頭蓋内出血発症の6週後~1年後における脳梗塞ならびに頭蓋内出血。
方法 PRISMA声明にしたがい,MEDLINE, EMBASE, Cochrane library, 臨床試験登録にて検索。
対象:3ヵ月以上の治療(VKA,抗血小板薬,抗血栓療法なし)において頭蓋内出血再発および脳梗塞を報告している研究。
対象 17研究(前向き観察研究6件+後ろ向き観察研究11件),3,455例。
メタ解析はデータが欠損している研究や対照群のない研究を除外した7研究,2,452例(平均年齢76歳,女性41%)を対象とした。
主な結果 ・脳梗塞
VKA開始群は抗血小板薬開始群,抗血栓療法なし群(開始せず),VKA非投与群(抗血小板薬+抗血栓療法なし)にくらべ,脳梗塞発症率が低かった。
抗血小板薬に対し:RR 0.45,95%CI 0.27-0.74,p=0.002,I2=0%。
抗血栓療法なしに対し:RR 0.47,95%CI 0.29-0.77,p=0.002,I2=0%。
VKA非投与に対し:RR 0.46,95%CI 0.29-0.72,p=0.0008,I2=0%。
抗血小板薬は抗血栓療法なしと同程度であった。
抗血栓療法なしに対し:RR 1.06,95%CI 0.72-1.54,p=0.78,I2=0%。

・頭蓋内出血再発
VKA開始群は抗血小板薬開始群,抗血栓療法なし群,VKA非投与群に対し,頭蓋内出血再発率は同程度であった。
抗血小板薬に対し:RR 1.34,95%CI 0.79-2.30,p=0.28,I2=0%。
抗血栓療法なしに対し:RR 0.93,95%CI 0.45-1.90,p=0.84,I2=20%。
VKA非投与に対し:RR 1.23,95%CI 0.80-1.87,p=0.35,I2=0%。
抗血小板薬は抗血栓療法なしと同程度であった。
抗血栓療法なしに対し:RR 0.77,95%CI 0.47-1.25,p=0.28,I2=0%。
文献: Korompoki E, et al. Long-term antithrombotic treatment in intracranial hemorrhage survivors with atrial fibrillation. Neurology 2017; : . pubmed
関連トライアル CHIRONE, Nielsen PB et al, NOACISP LONG-TERM Registry, ROCKET AF intracranial hemorrhage, アブレーション周術期におけるrivaroxabanの有効性および安全性, 急性VTE治療における新規経口抗凝固薬とビタミンK拮抗薬の比較, 心房細動およびVTE患者におけるNOACの大出血関連致死率, 心房細動患者における新規抗凝固薬の有効性および安全性, 新規経口抗凝固薬による頭蓋内出血リスクの抑制, 頭蓋内出血後の抗凝固療法再開, 弁膜症合併心房細動患者に対するNOAC
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