抗血栓トライアルデータベース
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結論 緊急事態において,idarucizumabは迅速,永続的,かつ安全にdabigatranの抗凝固作用を中和した。
コメント トロンビン阻害の中和は直接的で効果も明確である。生命を救うことができた1例を示すためには,どんな方法があるだろうか。(後藤信哉

目的 idarucizumabはdabigatranの中和剤として開発されたモノクローナル抗体フラグメントである。本試験は,2015年の中間解析に続く全コホートにおける解析として,コントロール不良の出血,あるいは緊急手技施行を必要とするdabigatran服用中の患者におけるidarucizumabの有効性および安全性を検討した。主要評価項目:idarucizumab初回静注終了時から第2回静注の4時間後までにおける,dabigatranによる抗凝固作用の最大中和率(希釈トロンビン時間,エカリン凝固時間により評価)。
デザイン 前向きコホート研究。担当医は中央検査室の結果に関し盲検化。NCT02104947。
セッティング 多施設(試験に参加した369施設のうち173施設),39ヵ国。
期間 登録期間は2014年6月~2016年7月。
対象患者 503例。≧18歳,dabigatran服用中で,以下のいずれかに該当する患者。
A群(301例):コントロール不良の/生命に関わる出血により,担当医が緊急に中和剤を要すると判断した症例。
B群(202例):緊急手術/8時間以上遅らせることができない手技のため,正常止血を要する症例。
【除外基準】-
【患者背景】年齢はA群79歳,B群77歳。それぞれの男性57.1%,50.5%。体重74kg,77kg。脳卒中既往24.3%,17.8%。大出血既往9.0%,5.0%。クレアチニンクリアランス50.8mL/分,56.0mL/分。dabigatranの用量(各1日2回投与):150mg 31.2%,28.2%,110mg 61.5%,62.4%,75mg 5.3%,4.0%。dabigatranの適応:心房細動95.7%,94.1%,静脈血栓塞栓症1.7%,2.0%。dabigatran最終投与からの経過時間14.6時間,18.0時間。A群における出血の種類:頭蓋内32.6%,外傷関連25.9%,消化管45.5%など。B群における手技開始までの時間1.6時間。(数値は割合または中央値を示す)
治療法 idarucizumab 2.5gを含む50mLを15分以内の間隔で2回,計5gをボーラス静注。2回目のidarucizumab 5g投与は,(1)出血が再発/継続しており,dabigatranによる抗凝固薬の効果が残っているという客観的エビデンスがある場合,または(2)2回目の外科手術が必要で,抗凝固薬の効果が残っていることが疑われるまたは確認された場合に許可された。
追跡完了率
結果

●評価項目
ベースライン時に希釈トロンビン時間またはエカリン凝固時間が正常値上限を超えていた461例(A群276例+B群185例)を有効性の解析対象とした。
idarucizmab投与後4時間以内の最大中和率中央値はA群,B群とも100%(95%CI 100-100)。中和は迅速で,年齢,性別,腎機能,dabigatran濃度とは独立していた。
24時間後,非結合dabigatran濃度は大部分の患者で20ng/mL以下に低下したままであったが,おもに12時間後以降,114例(23.0%)については同値以上に再び上昇した。そのうち10例(すべてA群)では出血が再発/継続しており,3例にidarucizmabを追加投与した。再出血/手技施行のためのidarucizmabの追加投与は,この3例を含む計8例(各群4例)に行われた。
A群で止血までの時間が解析可能であったうち,134例(67.7%)で24時間以内に止血を確認した。止血までの時間中央値は2.5時間であった。
B群のうち手技を施行した197例における周術期の止血状態は,正常184例(93.4%),軽度異常10例(5.1%),中程度異常3例(1.5%)。 
30日後の死亡率はA群13.5%,B群12.6%,出血部位別では頭蓋内16.4%,消化管11.1%,その他12.7%。90日後の死亡率はそれぞれ18.8%,18.9%であった。
90日後の血栓塞栓イベント発症率はA群6.3%,B群7.4%であった。
90日間の追跡期間中,抗血栓療法(予防/治療用量の抗凝固薬/抗血小板薬)はA群72.8%(再開までの平均経過日数13.2日),B群90.1%(同3.5日)で再開された。

●有害事象
idarucizmab投与後5日以内の重篤な有害事象はA群66例(21.9%),B群51例(25.2%)。

文献: Pollack CV, et al. Idarucizumab for Dabigatran Reversal - Full Cohort Analysis. N Engl J Med 2017; 377: 431-441. pubmed
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