抗血栓トライアルデータベース
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Lee CJ et al
結論 心房細動患者に対するビタミンK拮抗薬(VKA)単独療法は,aspirin単独療法にくらべ,初回心筋梗塞および脳卒中リスク低下と関連していた。aspirin+VKA併用は心筋梗塞リスク低下とは関連していなかったが,出血リスク上昇と関連していた。
コメント ワルファリンは動脈血栓予防効果が強い。観察研究でも,心筋梗塞リスクがワルファリン群で大きかった。上手な人がうまく使えば,ワルファリンはとても優れた薬剤である。(後藤信哉

目的 心房細動患者では脳卒中や心筋梗塞などの血栓塞栓症リスクが上昇する。心房細動患者における脳卒中予防については,抗凝固療法のほうが抗血小板療法よりすぐれていることが示されているが,心筋梗塞一次予防のための至適抗血栓療法は明らかになっていない。本研究では,全国規模の患者登録より同定された心房細動患者において,心筋梗塞初回発症率を抗血栓療法の種類により調査し,脳卒中リスクおよび出血リスクを検討した。主要評価項目:初発心筋梗塞。副次評価項目:脳卒中,入院を必要とする出血。
デザイン 登録研究。
セッティング 多施設,デンマーク。
期間 登録期間は1997年1月1日~2012年12月31日。追跡期間中央値4.1年。
対象患者 71,959例。当該期間に初回の心房細動の診断をうけた,冠動脈疾患の既往がなく,当該日にaspirinかつ/またはビタミンK拮抗薬を服用している患者。
【除外基準】弁膜症性心房細動,<18歳または>100歳,手技施行歴(CABG/PCI/アブレーション/除細動),脳卒中既往,血管疾患既往,clopidogrel服用。
【患者背景】年齢中央値はVKA群71歳,aspirin群80歳,2剤併用群74歳。それぞれの男性59.4%,43.0%,55.6%。併存疾患:悪性腫瘍7.8%,10.8%,7.3%,慢性閉塞性肺疾患8.7%,11.3%,9.6%。慢性心不全18.5%,20.4%,24.0%,慢性腎臓病1.7%,2.6%,2.5%,出血4.6%,7.4%,5.6%,高血圧50.3%,41.6%,65.3%,糖尿病17.1%,14.7%,21.5%。CHA2DS2-VAScスコア≧2点68.2%,81.8%,80.3%。HAS-BLED出血リスクスコア≧3点18.3%,38.9%,54.6%。
治療法 ベースライン時,37,539例(52%)はVKA単独,25,458例(35%)はaspirin単独,8,962例(13%)は2剤併用(VKA+aspirin)を投与されていた。VKAの内訳はwarfarin 96%,phenprocoumon 4%。aspirin投与例における投与量中央値は75mg。
追跡完了率
結果

●評価項目
心筋梗塞の粗発症率はVKA群0.58%/年で,他の2群のほうが高かった。
aspirin群:1.12%/年,罹患率比(IRR)1.54,95%CI 1.40-1.68。
2剤併用群:0.78%/年,IRR 1.22,95%CI 1.06-1.40。
出血は,VKA群2.00%/年にくらべ,aspirin群では同程度であったが,2剤併用群は高かった。
aspirin群:2.43%/年,IRR 0.95,95%CI 0.90-1.01。
2剤併用群:4.52%/年,IRR 1.93,95%CI 1.81-2.07。
脳卒中リスクは,VKA群1.22%/年にくらべ,他の2群のほうが高かった。
aspirin群:3.21%/年,IRR 2.00,95%CI 1.88-2.12。
2剤併用群:1.67%/年,IRR 1.30,95%CI 1.18-1.43。

●有害事象

文献: Lee CJ, et al. Antithrombotic Therapy and First Myocardial Infarction in patients With Atrial Fibrillation. J Am Coll Cardiol 2017; 69: 2901-2909. pubmed
関連トライアル ACTION Registry-GWTG triple therapy, Lamberts M et al, Lamberts M et al, Lamberts M et al, Lamberts M et al, ORBIT-AF registry triple vs. dual antithrombotic therapy, Staerk L et al
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