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Shaw J et al
結論 静脈血栓塞栓症(VTE)患者において,直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)の半減期と患者の出血リスクを考慮した周術期の中断は,安全かつ有効であることが示唆された。

目的 VTE患者に対するDOACの使用は増加している。これらの患者集団において,手技周術期のDOAC中断に関するデータは少ない。心房細動患者については,多くの研究がDOACの半減期および周術期出血リスクによる周術期の中断を評価しているが,VTE患者は通常は心房細動患者にくらべ若齢で併存疾患も少ないため,その知見をVTE患者にも適用してよいかどうかは不明である。本研究では,VTE既往患者において,DOACの周術期中断後の血栓および出血転帰を検討した。有効性主要評価項目:30日後の症候性VTE,安全性主要評価項目:30日後の大出血。
デザイン 後ろ向き登録研究。
セッティング 単施設,カナダ。
期間 試験期間は2013年1月~2015年10月。
対象患者 190例。VTE既往のため管理用量のDOAC(rivaroxaban,apixaban,dabigatran)を服用しており,手技/手術のための中断が必要な患者連続例。手技/手術は標準的リスク(虫垂切除術など),出血高リスク(癌の大手術など)の両方を含め,また入院/外来の別も問わなかった。
【除外基準】心房細動のためのDOAC服用例(VTEの適応がない)。
【患者背景】平均年齢は59.1歳。男性62.6%。DOACの適応:深部静脈血栓症(DVT)41.6%,肺塞栓症(PE)30.5%,PE+DVT 14.7%,上肢DVT 11.1%,その他3.2%。VTE:特発性80.5%,誘発因子を有する19.5%。最近(<3ヵ月)のVTE 13.7%。再発性VTE 25.3%。DOACの種類:rivaroxaban 90%,apixaban 6.8%,dabigatran 3.2%。抗血小板療法:aspirin 4.7%,clopidogrel 1.1%。血栓性素因13.2%。進行癌7.4%。心房細動合併6.3%。腎障害:中等度(CrCl 30~60mL/分)8.4%,重度(同15~30mL/分)0.5%。
治療法 DOACの中断/再開時期は担当医が判断した。通常は,標準的リスク手技では半減期3回分,出血高リスク手技では同5回分の投与を差し控え,それぞれ術後2日目または4日目に再開した。低分子量heparinまたは出血高リスク手技後1日目および2日目のDOAC予防用量投与については,担当医が判断した。
追跡完了率
結果

●評価項目
手技/手術の内訳は,標準的リスク75.8%,出血高リスク24.2%で,DOAC最終投与から手術施行までの平均時間はそれぞれ56.9時間,69.9時間,再開までの平均時間は47.0時間,80.2時間であった。施行後からDOAC再開までの期間中,41.1%に予防用量の抗凝固薬が投与された。
30日後のVTE再発は2例(1.05%,95%CI 0.29-3.8%)で,いずれも上肢DVTであった。術後の動脈血栓塞栓イベントは認めなかった。
30日後の大出血は1例(0.53%,95%CI 0.09-2.93%)で,直腸癌の大手術中に発生したものであった。
30日間の追跡期間中,死亡は認めなかった。大出血ではないが臨床的に意味のある出血は6例(3.16%,95%CI 1.46-6.72%)。

●有害事象

文献: Shaw J, et al. Thrombotic and bleeding outcomes following perioperative interruption of direct oral anticoagulants in patients with venous thromboembolic disease. J Thromb Haemost 2017; 15: 925-30. pubmed
関連トライアル Clark NP et al
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