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SOCRATES subgroup analysis
結論 事前に定められた本探索的研究により,同側アテローム性狭窄症をともなう虚血性脳卒中または一過性脳虚血発作(TIA)患者における90日後の脳卒中,心筋梗塞,死亡の予防について,ticagrelorはaspirinよりすぐれていた。脳卒中のメカニズムと原因を理解することは,安全で効果的な早期脳卒中予防を供するために重要である。
コメント SOCRATES試験のあらかじめ計画されたサブ解析である。同側のアテローム硬化性狭窄病変を有する患者におけるチカグレロール投与群は,アスピリン群に比較して,90日以内の複合イベントを32%低下させた。この患者群の全体に占める登録割合が23%であるのは,頸動脈内膜剥離術(CEA)予定者や,頭蓋内狭窄で抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)が考慮された患者が除外されたからであろう。また,脳梗塞病変分類の分析にASCOD grading systemが使われた点にも新規性がある。(岡田靖

目的 ticagrelorは冠動脈アテローム性動脈硬化症患者において有効であり,アテローム性動脈硬化を起因とする急性脳虚血患者に対する脳卒中再発や心血管イベント発症予防について,aspirinより有効である可能性がある。本研究はSOCRATES試験のサブグループ解析として,アテローム性動脈硬化症患者,特に当該脳卒中またはTIAと同側の症候性狭窄を有する可能性のある患者は,同側狭窄のない患者にくらべ,aspirinよりticagrelorにより大きなベネフィットを享受できるか検討した。また,治療と同側アテローム性狭窄症の交互作用についても検討を行った。主要評価項目:90日以内の脳卒中,心筋梗塞,死亡の複合。安全性評価項目:PLATO出血基準大出血,生命に関わる出血,大/小出血イベント。
デザイン SOCRATESは無作為化,二重盲検試験。有効性評価項目解析はintention-to-treat解析。安全性は安全性解析集団にもとづき解析した。NCT01994720。
セッティング SOCRATESは多施設(674施設),33ヵ国。
期間 登録期間は2014年1月7日~2015年10月29日。
対象患者 13,199例。40歳以上,重度でない急性虚血性脳卒中(National Institute of Health stroke scale:NIHSS≦5)または高リスクのTIA(ABCD2スコア≧4,以下[孤立性無感覚,孤立性視覚変化/浮動性めまい/回転性めまい,≧50%の同側性アテローム動脈硬化性狭窄]に限定しない)患者で,発作後24時間以内の患者。
【主要除外基準】心内塞栓,7日以内に試験薬中止を要する脳動脈血行再建術の予定(これは無作為割付時に必須条件ではなかったため,一部の患者は頸動脈血行再建術をうけた)。
【患者背景】同側狭窄あり:平均年齢はticagrelor群67.4歳,aspirin群67.9歳。各群の女性36%,37%。虚血性脳卒中既往13%,18%。TIA既往7%,8%。当該イベント:TIA 27%,29%,虚血性脳卒中73%,71%。
同側狭窄なし:平均年齢はticagrelor群65.3歳,aspirin群65.3歳。各群の女性44%,43%。虚血性脳卒中既往11%,11%。TIA既往6%,6%。当該イベント:TIA 27%,26%,虚血性脳卒中73%,74%。
治療法 SOCRATESは以下の2群に無作為割付。90日間の試験薬投与後,担当医の裁量により標準治療を行った。
ticagrelor群:6,589例。第1日に負荷用量180mg 投与後,第2~90日に90mg 1日2回投与。
aspirin群:6,610例。第1日に負荷用量300mg投与後,第2~90日に100mg/日投与。
追跡完了率
結果

●評価項目
症候性同側アテローム性狭窄症の可能性は3,081例(23%)に認められた。
同側狭窄の有無による有効性主要評価項目発症率は以下の通りで,治療とアテローム性狭窄症の交互作用が認められた(p=0.017)。
同側狭窄あり:ticagrelor群103/1,542例(6.7%),aspirin群147/1,539例(9.6%),HR 0.68,95%CI 0.53-0.88,p=0.003。
同側狭窄なし:339/5,047例(6.7%),350/5,071例(6.9%),HR 0.97,0.84-1.13,p=0.72。
同側狭窄例において,生命にかかわる出血,大出血,小出血の発生率には差異はなく,治療とアテローム性狭窄症の交互作用はみられなかった。
PLATO大出血(交互作用p=0.30)は同側狭窄あり:ticagrelor群9例(0.6%),aspirin群7例(0.5%),HR 1.31,0.49-3.52,p=0.59。
同側狭窄なし:22例(0.4%),31例(0.6%),HR 0.73,0.42-1.25,p=0.25。
正味の臨床転帰(脳卒中,心筋梗塞,死亡,生命に関わる出血)について,治療とアテローム性狭窄症の交互作用が認められた(p=0.046)。
同側狭窄あり:ticagrelor群110例(7.1%),aspirin群148例(9.6%),HR 0.72,0.57-0.93,p=0.01。
同側狭窄なし:347例(6.9%),360例(7.1%),HR 0.97,0.84-1.12,p=0.67。

●有害事象

文献: Amarenco P, et al.; SOCRATES Steering Committee and Investigators. Efficacy and safety of ticagrelor versus aspirin in acute stroke or transient ischaemic attack of atherosclerotic origin: a subgroup analysis of SOCRATES, a randomised, double-blind, controlled trial. Lancet Neurol 2017; 16: 301-310. pubmed
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