抗血栓トライアルデータベース
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ENCHANTED prior antiplatelet therapy
結論 発症前に抗血小板療法をうけていたalteplase投与例において,低用量alteplaseは転帰を改善する可能性があるが,これについてはランダム化比較試験による検証が必要である。
コメント 虚血性脳卒中発症前の抗血小板薬服用患者は多い。高齢のアジア人を多く含むENCHANTED国際試験で,低用量アルテプラーゼ(0.6mg/kg)が症候性頭蓋内出血を減少させ,転帰を改善する傾向を示した点は,日本のみならず高齢化が進むアジアにおいて,これからのrt-PA静注療法の治療選択肢に考慮すべき結果といえる。(岡田靖

目的 血栓溶解療法をうける虚血性脳卒中患者の多くは発症前に抗血小板療法をうけており,それは症候性脳内出血リスクを上昇させる可能性がある。ENCHANTEDの事前に定められたサブグループ解析では,後遺障害または死亡(modified Rankin Score:mRS 2~6)について,発症前抗血小板療法とalteplaseの用量の間にボーダーラインの交互作用(p=0.052)が認められた。本解析では,発症前抗血小板療法の有無によるalteplaseのベネフィットとリスクについて,より詳細な検討を行った。主要評価項目:90日後の後遺障害または死亡(mRS 2~6)。その他の評価項目:mRSの変化,重篤な後遺障害または死亡(mRS 3~6),症候性脳内出血。
デザイン ENCHANTEDはPROBE,2×2 quasi-factorial試験。
セッティング ENCHANTEDは多施設,複数国。
期間
対象患者 3,285例。ENCHANTED対象患者(虚血性脳卒中の診断が脳画像で確認された,各施設における発症から4.5時間以内のalteplase静注基準に合致した患者)3,310例のうち,発症前の抗血小板療法の有無が確認できた症例。
【除外基準】-
【発症前抗血小板療法をうけていた752例の患者背景】平均年齢は低用量群71.0歳,標準用量群71.9歳。それぞれの女性39.3%,39.4%。発症から無作為割付までの平均経過時間2.6時間,2.7時間。アジア人45.7%,40.0%。National Institute of Health stroke scale(NIHSS)中央値8,8。病歴:高血圧78.9%,76.2%,脳卒中既往30.7%,35.4%,心電図で確認された心房細動31.5%,26.7%,高コレステロール血症40.5%,32.5%(p=0.022),スタチンまたは他の脂質低下薬53.2%,44.0%(p=0.013)。
治療法 ENCHANTEDは以下の2群に無作為割付。
低用量群:alteplase 0.6mg/kgを,15%はボーラス,85%は60分かけて静注。
標準用量群:alteplase 0.9mg/kgを,10%はボーラス,90%は60分かけて静注。
追跡完了率
結果

●評価項目
752例(全体の22.9%;低用量407例+標準用量345例)がベースライン時に抗血小板薬を服用していた。
ベースライン時の患者特性や入院後最初の7日間における管理状況などで補正後,発症前の抗血小板療法の有無による転帰の差異はみられなかった。
mRS 2~6:補正後OR 1.01,95%CI 0.81-1.26,p=0.953。
mRS 3~6:OR 0.95,95%CI 0.75-1.20,p=0.662。
mRSの変化:OR 1.03,95%CI 0.87-1.21,p=0.770。
発症前に抗血小板療法をうけていたalteplase投与例は,SITS基準症候性脳内出血リスクが高い傾向がみられた(OR 1.82,95%CI 1.00-3.30,p=0.051)。
[alteplase用量別にみたmRS 2~6]alteplase低用量群は標準用量群にくらべ,発症前に抗血小板療法をうけていた患者のほうが転帰良好の傾向がみられた(傾向p=0.053)。
発症前に抗血小板療法あり;alteplase低用量群56.4% vs. 標準用量群60.7%,OR 0.84,95%CI 0.62-1.12。
抗血小板療法なし;52.3% vs. 48.5%,OR 1.16,95%CI 0.99-1.36。

●有害事象

文献: Robinson TG, et al.; ENCHANTED Investigators. Low- Versus Standard-Dose Alteplase in Patients on Prior Antiplatelet Therapy: The ENCHANTED Trial (Enhanced Control of Hypertension and Thrombolysis Stroke Study). Stroke 2017; 48: 1877-1883. pubmed
関連トライアル alteplase静注における治療時間の遅れ,年齢,脳卒中重症度の影響, alteplase投与後の脳内出血リスク(STT二次解析), alteplase投与後の脳内出血リスク(STT二次解析), Cappellari M et al, CASES gender, CLEAR III, DIAS-4, ECASS III, ECASS III, ECASS III additional outcomes, ENCHANTED, ENCHANTED, Gaist D et al, Garcia Rodriguez LA et al, Garcia-Rodriguez LA et al, ICARO-2, IST-3, IST-3 18-month follow-up, IST-3 brain imaging signs, IST-3 clinically important subgroups, IST-3 clinically important subgroups, IST-3 hyperdense artery sign, IST-3 mortality, IST-3 three year follow-up, J-ACT, J-MARS, Kim BJ et al, Kim BJ et al, Madrid Stroke Network, PATCH, Power A et al, Registry of the Canadian Stroke Network, rtPA静注後の頭蓋内出血に関するリスク因子, SAINT postthrombolysis ICH, SAMURAI rt-PA Registry early neurological deterioration, SITS-ISTR, SITS-ISTR unknown-onset stroke, SITS-ISTR antiplatelet therapy, SITS-ISTR antiplatelet therapy, SITS-ISTR elderly, SITS-ISTR young patients, SITS-MOST multivariable analysis, SITS-MOST multivariable analysis, 血栓溶解療法後の頭蓋内出血, 脳卒中発症後の機能的転帰の分布に対するalteplaseの影響, 白質病変が血栓溶解療法静注後の頭蓋内出血・転帰におよぼす影響
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