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Yao X et al Non-Vitamin K Antagonist Oral Anticoagulant Dosing in Patients With Atrial Fibrillation and Renal Dysfunction
結論 日常臨床において,非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)の投与量は添付文書としばしば異なっていた。この処方パターンは,重篤な腎臓病患者における安全性の悪化ならびに有効性のベネフィットがなくなること,またapixaban投与例では有効性悪化ならびに安全性のベネフィットがなくなることに関連する可能性がある。
コメント リアルワールドにおけるDOACの低用量使用が,必ずしも減量基準にあてはまらないにもかかわらず行われていることは,これまでにも報告されてきた。今回の結果では,特にアピキサバンで腎機能が正常あるいは軽度低下例で2.5mgラ2回を使用した場合,有効性に大きな支障が生じる可能性が示された(HR 4.87)。一方,ダビガトラン,リバーロキサバンでは,有効性に大きな変動はみられなかった。その理由としては(1)各薬剤の低用量設定が,アピキサバンでは標準用量の半量となっているのに比し,リバーロキサバンでは3/4(海外では15mg/20mg)であること,またダビガトランでは米国での基準がCcr 30未満で半量となっていること,(2)排泄経路が各薬剤で異なること,などが考えられる。日本ではリバーロキサバンの用量が異なること(10mg/15mg),ダビガトラン110mg×2回が使用可能であることから,本結果をそのまま当てはめるのは無理がある。ただしアピキサバンについては,安易な低用量使用は避けるべきであるという警鐘となろう。(是恒之宏

目的 腎機能障害をともなう心房細動患者では,NOACの減量投与が行われる。重篤な腎臓病を有する患者に対する用量減量の不成功は,出血リスクを上昇させる一方,明確な適応のない減量は,脳卒中予防の有効性を低下させる可能性がある。本研究では,日常臨床でNOACを投与されている患者において,減量のパターンならびに脳卒中や大出血などの転帰を検討した。有効性主要評価項目:脳卒中または全身性塞栓症。安全性主要評価項目:大出血。
デザイン コホート研究の後ろ向き解析。
セッティング 多施設,米国。
期間 試験期間は2010年10月1日~2015年9月30日。追跡期間中央値は減量適応あり群3.6ヵ月,適応なし群4.0ヵ月。
対象患者 14,865例。OptumLabs Data warehouse(1億人を超える登録者を擁する米国の大規模処方データベース)より同定された,試験期間にapixaban,dabigatran,rivaroxabanを開始した非弁膜症性心房細動患者のうち,治療開始前に血清クレアチニン検査の結果を有する症例。
【除外基準】弁膜症,推定eGFR<15mL/分/1.73m2,心房細動以外のNOACの適応(静脈血栓塞栓症など)。
【患者背景】平均年齢は腎機能による減量適応あり群77.5歳,なし群69.9歳。それぞれの女性49.5%,41.8%。平均eGFR(mL/分/1.73m2)37.8,73.4。病歴:心不全51.7%,28.3%,高血圧97.8%,89.0%,糖尿病54.2%,40.2%。CHA2DS2-VAScスコア0~1点0.5%,12.4%,2~3点15.8%,37.0%,≧4点83.8%,50.6%。HAS-BLED出血リスクスコア≧3点95.1%,39.6%。warfarin服用経験31.4%,27.2%。
治療法 治療開始1年前のもっとも直近の血清クレアチニン値より,dabigatranではeGFR<30mL/分/1.73m2,rivaroxabanでは同<50mL/分/1.73m2,apixabanでは血清クレアチニン≧1.5mg/dLの場合に腎機能による用量減量の適応ありとした(本研究では体重データが得られなかったため,apixabanの添付文書上の減量基準[年齢,体重,血清クレアチニン値にもとづく]とは異なる)。
追跡完了率
結果

●評価項目
[減量投与の適応を有する腎機能障害患者]
1,473例のうち43.0%に標準用量が投与されていた(オーバードーズの可能性)。
プロペンシティスコアを合致させた計820例の解析(NOAC 3剤統合)では,脳卒中は標準用量群2.32%/年,減量群1.85%/年で,同程度であった(HR 1.66,95%CI 0.40-6.88)。大出血は標準用量群11.29%/年,減量群5.06%/年で,標準用量投与はリスク上昇と関連していた(HR 2.19,95%CI 1.07-4.46)。
[減量投与を要する腎機能障害のない患者]
13,392例のうち13.3%に減量投与されていた(アンダードーズの可能性)。
プロペンシティスコアを合致させた計3,554例の解析(NOAC 3剤統合)では,脳卒中は標準用量群1.43%/年,減量群1.70%/年,大出血はそれぞれ5.03%/年,5.43%/年であった。
apixaban投与例(計1,110例)では,アンダードーズは脳卒中リスク上昇と関連していたが(HR 4.87,95%CI 1.30-18.26),大出血は同程度であった(HR 1.29,95%CI 0.48-3.42)。
dabigatran投与例(計824例)およびrivaroxaban投与例(計1,630例)では,有意な関連はみられなかった。

●有害事象

文献: Yao X, et al. Non-Vitamin K Antagonist Oral Anticoagulant Dosing in Patients With Atrial Fibrillation and Renal Dysfunction. J Am Coll Cardiol 2017; 69: 2779-90. pubmed
関連トライアル Abraham NS et al, ARISTOTLE according to age, ARISTOTLE major bleeding, Chan YH et al, dabigatran,rivaroxaban,apixabanの間接比較, Graham DJ et al, Larsen TB et al, ORBIT-AF II Registry off-label dosing, ROCKET AF elderly patients, ROCKET AF major bleeding, ROCKET AF temporary interruption
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