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メタ解析
頭蓋内出血後の抗凝固療法再開
結論 本観察研究において,頭蓋内出血発症後の抗凝固療法再開は血栓塞栓合併症リスク低下と関連し,頭蓋内出血再発リスクは同程度であった。頭蓋内出血発症後の抗凝固療法の真のリスク・ベネフィットを判断するためには,RCTが必要である。

目的 頭蓋内出血発症後の抗凝固療法再開の安全性および有効性については,エビデンスにもとづくガイドラインはなく,不明である。時期尚早な再開は頭蓋内出血リスクを上昇させるが,不必要な遅れは血栓塞栓合併症リスクを上昇させる。本研究では,抗凝固療法再開と頭蓋内出血再発・血栓塞栓合併症リスクの関連を検討するため,システマティックレビューならびにメタ解析を行った。主要評価項目:血栓塞栓合併症(虚血性脳卒中+心筋梗塞+頭蓋内出血再発の複合)。
方法 MEDLINE,Embase,Cochrane Libraryにて,それぞれの開始日から2016年9月30日まで検索。英語の言語フィルターは設けなかった。査読のある雑誌に掲載された論文のみを対象とし,複数の論文が出版されている場合は,もっとも患者数が多いものを対象とした。
検索対象:(1)非外傷性頭蓋内出血を主要な患者登録基準としている,(2)追跡期間中の虚血性脳卒中,心筋梗塞,頭蓋内出血再発を報告している,(3)抗凝固療法の再開を報告している,(4)18歳以上の成人患者を対象,(5)10例以上の患者を登録している研究。
対象 8研究,5,306例(すべて後ろ向きコホート研究)。
頭蓋内出血発症前の抗凝固療法の適応は,心房細動がもっとも多く(34.7~77.8%),ついで人工心臓弁(2.6~27.8%),静脈血栓塞栓症(7.9~20.8%),虚血性脳卒中既往(3.7~71.8%)。
抗凝固療法の再開は頭蓋内出血発症後10~39日後(中央値)であった。4研究では正確な再開日の記載はなかったが,大部分の患者は3ヵ月以内に再開していた。
抗凝固療法は,6研究ではビタミンK拮抗薬が投与されていたが,残りの2研究では,一部の患者に対し非ビタミンK拮抗経口拮抗薬が用いられていた。
主な結果 ・抗凝固療法と血栓塞栓合併症の関連(6研究,2,044例)
抗凝固療法が再開されたのは786例(38.4%),追跡期間は861患者・年,非再開は1,258例(61.6%),1,328患者・年。
血栓塞栓合併症発症率は再開群53例(6.7%),非再開群221例(17.6%)で,抗凝固療法再開は血栓塞栓合併症リスク低下と有意に関連していた(統合RR 0.34,95%CI 0.25-0.45)。試験間の不均一性は認めなかった(Q=5.12,p=0.28)。

・抗凝固療法と頭蓋内出血再発の関連(8研究,5,306例)
抗凝固療法が再開されたのは1,899例(35.8%),追跡期間は3,494患者・年,非再開は3,407例(64.2%),7,030患者・年。
頭蓋内出血再発率は再開群166例(8.7%),非再開群267例(7.8%)で,抗凝固療法再開による頭蓋内出血再発リスク上昇のエビデンスは認められなかった(統合RR 1.01,95%CI 0.58-1.77)。試験間に不均一性が認められたが(Q=24.68,p<0.001),出版バイアスはみられなかった(Begg-Mazumdar test p=0.55)。
文献: Murthy SB, et al. Restarting Anticoagulant Therapy After Intracranial Hemorrhage: A Systematic Review and Meta-Analysis. Stroke 2017; 48: 1594-600. pubmed
関連トライアル Albrecht JS et al, CHIRONE, Ho CW et al, Nielsen PB et al, Nielsen PB et al, ROCKET AF intracranial hemorrhage, 新規経口抗凝固薬による頭蓋内出血リスクの抑制
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