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Hellwig S et al
結論 脳卒中発症前の非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)投与は,入院時に治療域(INR≧2)であったビタミンK拮抗薬(VKA)投与例と同様に,入院時の重症脳卒中ならびに退院時機能転帰不良の確率を低下させた。
コメント 心房細動をともなう虚血性脳卒中患者において,発症前の抗凝固薬服用の効果を神経重症度と機能的転帰の面から,比較的多数例を用いて検討した研究である。NOAC服用者を対象とした研究の場合,発症前の服薬遵守状況と発症時の抗凝固状態をどう評価するかがこれからの課題である。(岡田靖

目的 心房細動患者における脳卒中発症時,治療域(INR≧2)にある場合は脳卒中の重症度が低いことがいくつかの研究で示されている。NOACも同様の効果を有する可能性があるが,まだごく小規模なデータしか発表されていない。本研究では,脳卒中重症度に対するNOACまたはphenprocoumonの発症前服薬の有無の影響を比較検討した。
デザイン 観察研究の後ろ向き解析。
セッティング 単施設,ドイツ。
期間 登録期間は2013年1月1日~2015年12月31日。
対象患者 655例。当該期間に入院した虚血性脳卒中または一過性脳虚血発作(TIA)患者連続例3,669例のうち,発症前に既知の心房細動を有し,かつCHA2DS2-VAScスコア≧2であった症例。
【除外基準】出血性脳卒中。
【患者背景】年齢中央値はNOAC群79歳,VKA(INR≧2)群79歳,VKA(INR<2)群80歳,抗血小板薬群82歳,非薬物療法なし群80歳,その他群80歳(p=0.011)。それぞれの女性46.5%,46.7%,65.9%,59.2%,59.6%,52.0%(p=0.019)。脳卒中/TIA既往50.3%,30.7%,35.4%,35.4%,30.3%,48.0%(p=0.006)。重症脳卒中(入院時のNIHSS≧11)22.0%,12.0%,29.7%,35.9%,40.4%,20.0%(p<0.001)。退院時の機能的転帰不良(modified Rankin Score[mRS] >2)54.1%,44.0%,70.3%,68.9%,72.7%,48.0%(p<0.001)。
治療法 脳卒中発症前に心房細動を有していた症例のうち,抗凝固療法をうけていたのは325例(49.6%)であった。薬剤別の人数は以下の通り。入院時INR≧2のVKA(phenprocoumon)75例,INR<2のVKA 91例,NOAC 159例,抗血小板薬206例,薬物療法なし99例,その他25例。
追跡完了率
結果

●評価項目
入院時神経重症度について,INR≧2のVKA(OR 0.23,95%CI 0.10-0.53)ならびにNOAC投与(OR 0.48,95%CI 0.27-0.86)は脳卒中予防療法をうけていない心房細動患者にくらべ,重症脳卒中(入院時NIHSS>11)の低率と関連していた。しかし,INR<2ではこの関連は認められなかった(OR 0.62,95%CI 0.33-1.16)。
退院時機能的転帰についても同様に,INR≧2のVKA(OR0.33,95%CI 0.17-0.65),NOAC(OR 0.47,95%CI 0.27-0.84)とも機能的転帰不良(mRS>2)の低率と関連していた。しかし,INR<2ではこの関連は認められなかった(OR 0.61,95%CI 0.32-1.16)。

●有害事象

文献: Hellwig S, et al. Non-vitamin K-dependent oral anticoagulants have a positive impact on ischaemic stroke severity in patients with atrial fibrillation. Europace 2017; : . pubmed
関連トライアル Hylek EM et al, North Dublin Population Stroke Study, PROSPER antithrombotic treatment and outcomes, Tziomalos K et al
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