抗血栓トライアルデータベース
home
テキストサイズ
GWTG-Stroke delays in DTN times
結論 脳梗塞患者において,診断の遅れや治療の適格性を判断するアビリティの欠如などの病院および医学上の理由は,来院-治療時間の遅れに関連していた。脳卒中に対する認識や急性合併症管理を改善することは,来院-治療時間短縮の一助になるかもしれない。
コメント t-PA血栓溶解療法における投与開始時間の遅れは,転帰不良の大きな因子である。それを改善させるために,治療チームの適格性の判断の遅れ,高血圧の治療,および院内の遅れなどの要因に対して,多くの脳卒中センターで行われているように,他職種が参加して症例ごとに振り返り,一つ一つの問題に取り組む不断の努力が求められる。(矢坂正弘

目的 米国心臓協会や米国脳卒中協会がクオリティ改善のためのプログラムを行っているにもかかわらず,脳梗塞患者の多くは依然として,病院到着から60分以上経過後にt-PA治療をうけている。本研究では,治療が遅れた理由,ならびに理由と院内転帰の関連について検討した。
デザイン 登録研究。
セッティング 多施設(1,422施設),米国。
期間 治療期間は2012年10月~2015年4月。
対象患者 55,296例。当該期間にalteplase静注をうけた脳梗塞患者全例。
【除外基準】院内発症脳卒中,発症-治療時間>4.5時間,他院からの搬送,院外でalteplase静注,データ欠損など。
【患者背景】(分類は治療法の項参照)年齢中央値は≦60分群71.0歳,理由なし遅延群72.0歳,理由あり遅延群71.0歳。各群の女性*47.68%,50.95%,52.13%。来院方法*:記録なし0.46%,0.61%,0.54%,患者個人で14.00%,22.24%,20.95%,救急医療サービス85.54%,77.15%,78.51%。発症-治療時間中央値*61.0分,57.0分,58.0分。病歴:心房細動/粗動*20.63%,21.87%,22.32%,脳卒中/TIA既往*23.47%,26.23%,28.30%,高血圧*72.07%,72.36%,74.25%。入院前の抗血小板/抗凝固療法*49.07%,52.11%,50.81%。National Institute of Health stroke scale(NIHSS)中央値*10,8,9。病院の特徴:年間脳梗塞患者数中央値*257.3例,214.2例,216.3例。年間alteplase静注実施数中央値*25.6例,18.2例,19.5例。*p<0.0001
治療法 対象患者に対しalteplase静注。
来院-治療時間により,60分以内に治療をうけた≦60分群27,778例(50.2%),遅れた理由がなく60分超経過後に治療をうけた症例を理由なし遅延群10,086例(18.2%),遅れた理由があり60分超経過後に治療をうけた症例を理由あり遅延群17,432例(31.5%)に分類し,解析を行った。
治療が遅れたおもな理由は,治療チームが適格性を判断できなかった(9.2%),積極的な治療を要する高血圧(6.9%),院内の遅れ(6.4%)。
追跡完了率
結果

●評価項目
2012年の第4四半期から2015年の第1四半期にかけて,alteplase静注例のうち来院-治療時間≦60分の割合は,42.5%から56.4%に増加した(p<0.001)。一方,理由があり治療が遅れた割合は21.8%から21.0%で,変動はなかった(p=0.20)。
来院-治療時間の遅れは,治療チームが治療の適格性を判断できなかった場合(36分の遅れ),低血糖/発作についてさらなる診断的評価を行った場合(34分の遅れ)に大きかった。
患者および施設の特徴を補正後,理由あり遅延群は理由なし遅延群にくらべ,院内死亡(OR 1.19,95%CI 1.10-1.29),症候性頭蓋内出血(OR 1.17,95%CI 1.06-1.29)退院時の自立歩行率低下(OR 0.92,95%CI 0.88-0.97)との関連がみられた。

●有害事象

文献: Kamal N, et al. Delays in Door-to-Needle Times and Their Impact on Treatment Time and Outcomes in Get With The Guidelines-Stroke. Stroke 2017; 48: 946-54. pubmed
関連トライアル GWTG-Stroke “golden hour” patients, GWTG-Stroke golden hour, GWTG-Stroke time to treatment
関連記事