抗血栓トライアルデータベース
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Gaist D et al
結論 抗血栓療法は硬膜下血腫リスク上昇と関連しており,リスクがもっとも高かったのはビタミンK拮抗薬(VKA)+抗血小板薬併用であった。2000~2015年における硬膜下血腫発症率の上昇は,抗血栓療法実施率の上昇,特に高齢者におけるVKAの使用と関連しているようであった。
コメント 抗血栓療法が硬膜下血腫リスク上昇と関連し,ビタミンK拮抗薬と抗血小板薬併用のリスクがもっとも高かった。転倒リスクを有する方では,できるだけワルファリンよりDOACを選択し,抗血小板薬の併用を避けることが望ましいと思われる。(矢坂正弘

目的 硬膜下血腫発症率は上昇していると報告されているが,抗凝固療法実施率の上昇とどの程度関連しているかは不明である。本研究では,一般の地域住民集団において,抗凝固療法および硬膜下血腫リスクの関連を評価し,さらに硬膜下血腫発症および抗血栓療法の傾向を検討した。
デザイン 症例対照研究。
セッティング 多施設,デンマーク。
期間 試験期間は2000~2015年。
対象患者 410,390例。全国規模の患者登録より同定された,2000~2015年に初発硬膜下血腫のため退院した20~89歳の患者10,010例+一般集団から年齢,性別,暦年を合致させた対照群400,380例。
【除外基準】2000年以前に硬膜下血腫の既往を有する,デンマークでの居住が10年未満。
【患者背景】年齢中央値は患者群72歳,対照群72歳。それぞれの男性65.4%,65.4%。30日後の致死率16.1%,-。患者群における外科的手技の種類:穿頭孔39.1%,開頭術14.9%,なし46.0%。併存疾患(すべてp<0.001):高血圧54.0%,46.3%,脳卒中14.2%,6.8%,慢性閉塞性肺疾患7.6%,6.3%,糖尿病12.6%,9.1%,心筋梗塞8.6%,6.9%。
治療法 患者群の47.3%に抗血栓療法が行われていた。
追跡完了率
結果

●評価項目
抗血栓薬の現在の使用は硬膜下血腫リスク上昇と関連していた。
低用量aspirin:26.7% vs. 22.4%,補正後OR 1.24,95%CI 1.15-1.33。
clopidogrel:5.0% vs. 2.2%,補正後OR 1.87,95%CI 1.57-2.24。
直接作用型経口抗凝固薬(DOAC):1.0% vs. 0.6%,補正後OR 1.73,95%CI 1.31-2.28。
VKA:14.3% vs. 4.9%,補正後OR 3.69,95%CI 3.38-4.03。
硬膜下血腫リスクは,VKAを抗血小板薬と併用した場合(患者群3.6% vs. 対照群1.1%,補正後OR 4.00,95%CI 3.40-4.70),clopidogrel+VKA併用(0.3% vs. 0.04%,補正後OR 7.93,95%CI 4.49-14.02)にもっとも高かった。
全体における硬膜下血腫発症率は,2000年の10.9件/100,000人・年(441件/4,036,965人・年)から,2015年の19.0件/100,000人・年(819件/4,301,391人・年)に増加した(傾向p<0.001)。増加がもっとも大きかったのは高齢患者(75~89歳,4,441例)においてであり,55.1件/100,000人・年(191件/346,529人・年)から99.7件/100,000人・年(382件/383,030人・年)に増加した(傾向p<0.001)。
デンマーク・フュン島地域の地域住民(2009年の人口484,346人)から得られたデータによると,一般住民における抗血栓薬使用率は,2000年の31.0/1,000人から,2015年の76.9/1,000人に増加した(傾向p<0.001)。
硬膜下血腫診断から30日後の死亡率は,2000~2004年の17.9%から2013~2015年は13.1%へ低下した。しかし,この低下は20~64歳および65~74歳の患者集団のみでみられ(いずれも傾向p<0.001),75~89歳の患者集団では低下しなかった(傾向p=0.40)。

●有害事象

文献: Gaist D, et al. Association of Antithrombotic Drug Use With Subdural Hematoma Risk. JAMA 2017; 317: 836-46. pubmed
関連トライアル Garcia Rodriguez LA et al (Circulation), Lamberts M et al, Lamberts M et al, Lamberts M et al, Sørensen R et al, ビタミンK拮抗薬の硬膜下血腫リスク
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