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CROMIS-2 outcome of ICH
結論 国際共同の統合解析において,非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)関連脳内出血のベースライン時の血腫量,血腫拡大,90日後の死亡率,機能的転帰は,ビタミンK拮抗薬(VKA)関連脳内出血と同程度であった。
コメント 本研究では,血圧の急性期管理や,地域間の治療の差異に関する情報が記されていない点が残念である。DOAC療法中の血腫が小から中等度で大きくなりにくい傾向を有するとの本邦における複数の臨床研究と異なった結果になっているのは,血圧などの急性期管理が地域ごとに異なるためかもしれない。それでも,中和剤のあるワルファリンと比較して,中和剤の準備されていなかったDOAC間で転帰に差異がなかったことは,DOACにおける中和剤の必要性を示唆するとともに,それによる転帰の改善を期待させるものでもある。(矢坂正弘

目的 NOACの第III相試験サブ解析より,NOAC関連脳内出血の死亡率はVKA関連脳内出血と同程度と示唆されている。しかし,日本の単施設研究(Stroke 2014; 45: 2805)や英国の小規模研究では,NOAC関連脳内出血の血腫量はVKA関連脳内出血にくらべ少なく,退院時の機能的転帰は同等または良好と報告されている。本研究ではCROMIS-2のデータを用い,NOAC関連脳内出血について,VKA脳内出血との関連により臨床および放射線学上の特性,ならびに転帰について検討を行った。主要評価項目:90日後までの死亡。
デザイン 登録研究。
セッティング 多施設,10ヵ国(日本含む)。
期間 登録期間は2012年4月28日~2015年8月18日。追跡期間中央値60日。
対象患者 500例。18歳以上,経口抗凝固療法(NOAC/VKA)中に脳内出血が発症した患者。VKA関連脳内出血では入院時のINR≧1.3,NOAC関連脳内出血ではNOACを服用してから24時間以内に脳内出血の臨床的兆候があった症例。
【除外基準】二次性脳内出血(頭部大外傷から24時間以内,血管奇形,腫瘍,海綿腫,動脈瘤,その他の既知の凝固障害,梗塞の出血性変化など),おもにくも膜下の出血。
【患者背景】年齢中央値はNOAC群80歳,VKA群80歳。各群の男性55%,49%。脳内出血の部位:脳葉39%,39%,テント上深部41%,49%,小脳13%,6%,脳幹6%,5%。Glasgow coma scale中央値14,15。病前のmodified Rankin Score(mRS)中央値1,0。心房細動のための抗凝固療法99%,80%。VKA群のINR中央値2.7。
治療法 脳内出血発症時の抗凝固療法は,NOAC 97例(apixaban 13例,dabigatran13例,rivaroxaban 69例),VKA 403例。
追跡完了率
結果

●評価項目
90日後の死亡率はNOAC群33%(95%CI 24-44),VKA群31%(95%CI 27-37)で,同程度であった(p=0.64,補正後HR 0.93,95%CI 0.52-1.64,p=0.79)。
その他についても,補正後は有意差を認めなかった。
ベースライン時のICH量中央値:NOAC群14.4 mL(IQR 3.6-38.4),VKA群10.6 mL(IQR 4.0-27.9),p=0.78。
血腫拡大(ベースライン時から72時間以内に>33%または>6mLの血腫量増加)の割合:NOAC群29/48例(40%),VKA群93/140例(34%),p=0.45,補正後OR 1.38,95%CI 0.46-4.18,p=0.57。
退院時の機能的自立:NOAC群23%,VKA群10%,p<0.001,補正後OR 0.47,95%CI 0.18-1.19,p=0.11。

●有害事象

文献: Wilson D, et al.; And the CROMIS-2 collaborators. Outcome of intracerebral hemorrhage associated with different oral anticoagulants. Neurology 2017; 88: 1693-700. pubmed
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